東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)

2016年11月03日 | 展覧会(西洋美術)

ゴッホとゴーギャン展
2016年10月8日~12月18日
東京都美術館


   ゴッホの椅子とゴーギャンの椅子。随分値段が違いそう。(椅子に座っての撮影可)。

 

   この秋、一番混雑するであろう展覧会。


   ゴッホ27点、ゴーギャン19点。
   関連画家14名の作品を含め、オール油彩画の計62点。
   魅力ある作品揃い。実に楽しい時を過ごす。

 

【ゴッホ作品の所蔵者】

ファン・ゴッホ美   12点
クレラー・ミュラー美 12点
ドレント美 1点
個人蔵 1点
国内(メナード美) 1点


【ゴーギャン作品の所蔵者】

ファン・ゴッホ美 2点
オードロップゴー美(Copenhagen) 3点
スコットランド国立美 2点
E.G. ビュールレ・コレクション財団(Zurich) 2点
ビルバオ美 1点
キンベル美 1点
フィリップス・コレクション(Washington, D.C.) 1点
メトロポリタン美 1点
個人蔵 1点
国内(愛知県美2、ひろしま美、損保ジャパン美、静岡県美) 5点

 

   ゴッホ作品がお馴染みのオランダ2大美術館からの出品であるのに対し、ゴーギャン作品は世界各地から集められている。

 

第1章  近代絵画のパイオニア誕生

   ゴッホは3点、オランダ時代の初期作品。
   ゴーギャンは2点、本格的に画家の道に進む前後の作品。

   メイン・ビジュアルの一つ、ゴーギャンの1885年のキンベル美《自画像》。まだ尊大な感じはない。

 

 

第2章  新しい絵画、新たな刺激と仲間との出会い

   ゴッホは、パリ時代の作品7点。自画像3点を含む。
   ゴーギャンは2点。ブルターニュのポン=タヴェン時代、およびカリブ海のマルティニク島時代の作品。


第3章  ポン=タヴェンのゴーギャン、アルルのファン・ゴッホ、そして共同生活へ

   1888年、ゴッホはパリからアルルに移り(2月)、ゴーギャンと共同生活を始め(10月)約2ヶ月で破綻する(12月)。

   本章は、ゴッホとゴーギャンの1888年制作の作品が集められる。

   ゴッホは10点。《収穫》は、弟テオ宛の手紙で「他のすべての作品を完全に圧倒する」と述べた作品で、世界の広大さを感じる。人物像4点が並ぶ一画も魅力的。そして、《ゴーギャンの椅子》。

   ゴーギャンはアルル時代など6点。オードロップゴー美《ブドウの収穫、人間の悲惨》は、エミール・ベルナール宛の手紙で、「そこに、ブルターニュの女性を配した。実際にないことだがかまわない。今年描いた最高の絵画だ」と述べた作品。ゴーギャンは前方で座り込む女性を「物乞い女」と呼んだとの説明があって、ミレーの《落穂拾い》を想起して当時の社会環境を思う。


   ビルバオ美《アルルの洗濯女》も、ゴッホとは異なる装飾系描写に見入る。

 

   ここに、損保ジャパン美《アリスカンの並木道、アルル》が並ぶ。この作品の素晴らしさ、日本にあることの有難さを再認識する。

 

第4章  共同生活後のファン・ゴッホとゴーギャン

   ゴッホは、ゴーギャンとの共同生活が破綻した以降の、アルル、サン=レミ、そして終焉の地となるオーヴェル=シュル=オワーズ時代の作品7点。絵具の盛り上がりに目が行く風景画3点のほか、友人郵便局員の肖像、ゴッホには珍しい?若い一般女性の肖像など。

   ゴーギャンは、ゴッホとの共同生活が破綻した後、再び赴いたブルターニュ時代、1889年制作の3点。
   フィリップス・コレクション《ハム》はハムである、と皆さん言っている。

 

第5章  タヒチのゴーギャン

   ゴーギャン作品6点。1891年にタヒチに向かい、1893年フランスに戻り、1895年再度タヒチに向かう。

   スコットランド国立美《タヒチの3人》。人物の肌の色彩、特に男性の背中。二人の女性の表情、特に左側の見返り美人。緑のリンゴと赤い衣服の対比。実に素晴らしい作品である。

 

   ビュールレ・コレクション《肘掛け椅子のひまわり》は、ゴーギャンが1901年にゴッホを偲んで制作した「ひまわり」シリーズ4点のなかの1点。これがないと本展は成り立たなかっただろう。

 

   オードロップゴー美《タヒチの女》とビュールレ・コレクション《タヒチの牧歌》も興味深そうだが、照明なのかガラス額なのか作品状態なのか、光って見えづらいのが残念。

 

   ゴーギャン期待の訪問であったが、その期待は充分満たされる。
   ゴッホもゴーギャンとのコラボにより改めてその魅力を認識する。
   見応えのある作品の並ぶ展覧会。再訪したい。 



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