狩野山楽・山雪
2013年3月30日~5月12日
京都国立博物館
関西プチ美術旅行を敢行した。
行き先は、京都で開催中の、関東に巡回しない展覧会2展である。
最初の行き先は、京都国立博物館の狩野山楽・山雪展。
山楽、山雪といっても、その名前すら全く認識していないほど日本美術に疎い私。
彼らの大規模な回顧展は稀有な機会であるらしいので、今回の訪問先の一つに選択した。
JR京都駅のロータリーは観光客があふれかえっている状況。バスに乗るのはあきらめ、徒歩で京博に向かう。
狩野山楽(1559-1635)
狩野山雪(1590-1651)
桃山から江戸への過渡期。
狩野派の絵師たちもその渦中で運命を大きく左右されました。
徳川幕府御用絵師となり軽淡な画風を開拓した狩野家本流「江戸狩野」と京の地にとどまり永徳の弟子筋によって独自の画風を確立する「京狩野」の誕生です。
本展は狩野永徳の画風を受け継ぎ、見事なまでに昇華させた京狩野草創期に焦点をあて、初代山楽、二代山雪の生涯と画業を辿る初の大回顧展です。
第1室から第4室までが山楽、第4室から第10室までが山雪が展示。
大回顧展らしい、大作が多数展示室を埋める。
このような大回顧展での目玉の一つは、海外からの里帰り作品。
本展でも山雪作品4点が里帰り。
メトロポリタン美「老梅図襖」とミネアポリス美「群仙図襖」は、もと天祥院客殿の襖の表裏。
こうして表裏での展示は50年振りとのこと。50年前に何があったのだろうか。
アイルランド・ダブリンのチェスター・ビーティー・ライブラリーの上下2巻からなる「長恨歌図巻」。
その色彩は一見の価値あり!
なんとも鮮やか。
絹地の裏に丁寧な裏彩色が施されているためらしい。
玄宗と楊貴妃の悲恋という描かれた場面は横に置いて、その色彩にただ見入る。
こういう作品がダブリンという地にあるとは。侮れないダブリン。
本作品は、通期展示(ただし、上巻のみ巻き替えあり)。
熱心に眺めたつもりではあったものの、個人的には山楽、山雪のよさ、すごさ等全くわからない、まだまだ未熟だなあ。
今回はこのような感想で終わるのだろう、と思っていたところ、最後の第10室で驚きが待っていた。
正面に「寒山拾得図」。
大サイズの画面に、グロテスクな男二人。
この作品は図版で見たことがある。そうだ、辻惟雄著「奇想の系譜」だ。山雪も奇想の画家の一人だったのだ。
さらに「雪汀水禽図屏風」。
金銀の鮮やかさ。
左隻の飛翔する千鳥の列がなすリズム、右隻のカモメが思い思いにすごす様、その対照。
なによりも、胡粉で盛り上げ、そのうえに銀箔を施したという、波の描写が極めて印象的な作品。
波の描写をじっと見つめることとなった。
同室の「龍虎図屏風」も著名な作品とのこと。
訪問時の印象からは、午前中は結構混むが、午後の時間帯は快適に鑑賞できそうであった。