カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館
カラヴァッジェスキの画家について。
2016年のカラヴァッジョ展では、7つのテーマ+1つのミニセクションを設定し、それぞれのテーマごとに、カラヴァッジョ作品とカラヴァッジェスキ作品を配置している。
カラヴァッジェスキ作品は、30画家の39作品。
2001年の東京都庭園美術館のカラヴァッジョ展では、最初にカラヴァッジョ作品、次にカラヴァッジェスキ作品を「画家」単位で並べており、「画家」重視の展示であった。
カラヴァッジェスキ作品は、20画家の31作品。
2001年のカラヴァッジェスキの画家は、次のとおり。
☆印は2016年出品あり、×印は2016年出品なしを示す。また、生没年・地が2行になっている画家は、上が2001年、下が2016年での説明である。この間の研究の進展が伺われる。
☆ジョヴァンニ・バリオーネ
(ローマ、1571-1644)
(ローマ、1566頃-1643)
☆アンティヴェドュート・デッラ・グラマティカ
(シエナ1571-ローマ1626)
(ローマ1569-ローマ1626)
×トンマーゾ・サリーニ
(ローマ、1575頃-1625)
☆オラツィオ・ジェンティレスキ
(ピザ1563-ロンドン1639)
☆カルロ・サラチェーニ
(ヴェネツィア、1579頃-1620)
☆オラツィオ・ボルジャンニ
(ローマ、1578頃-1616)
(ローマ1574-ローマ1616)
×スパダリーノ
(ローマ、1585-1652)
×チェッコ・デル・カラヴァッジョ
(不明、1601-2、1620にローマで記録あり)
×リオネッロ・スパーダ
(ボローニャ1576−パルマ1622年)
☆タンツィオ・ダ・ヴァラッロ
(アラーニャ1580頃-ヴァラッロ・ディ・セジア1633)
(アラーニャ1582頃-ボルゴセジア?1633)
×マリオ・ミンニーティ
(シラクサ、1577-1640)
×アロンソ・ロドリゲス
(メッシーナ、1578-1648)
☆バッティステッロ・カラッチョロ
(ナポリ、1578-1635)
☆バルトロメオ・マンフレーディ
(オスティアーノ1582-ローマ1620)
(オスティアーノ1582-ローマ1622)
☆ジュゼペ・デ・リベーラ
(バレンシア1591-ナポリ1652)
(ハティバ1591-ナポリ1652)
×ヴァランタン・ド・ブーローニュ
(クロミエ1591-ローマ1632)
☆シモン・ヴーエ
(パリ、1590-1649)
×ニコラ・トゥルニエ
(モンペリアール1590−トゥールーズ1639以前)
×ニコラ・レニエ(帰属)
(モーベージュ1591−ヴェネツィア1667)
×ディルク・ファン・バビューレン
(ユトレヒト、1594/95--1624)
10画家が連続選出、10画家が不選出と、半々。
2001年に惹かれた(あるいは気になった)チェッコ・デル・カラヴァッジョやスパダリーノ、シチリアのマリオ・ミンニーティやアロンソ・ロドリゲスが不選出なのは、結構残念である。
2016年新登場は、20画家となる。
以下、2016年のカラヴァッジェスキの30画家。☆印は、2001年選出を示すが、作品のかぶりはない。
チゴリ
(チゴリ1559-ローマ1613)
☆オラツィオ・ジェンティレスキ
(ピザ1563−ロンドン1639)
☆ジョヴァンニ・バリオーネ
(ローマ、1566年頃-1643)
☆アンティヴェドュート・デッラ・グラマティカ
(ローマ1569-ローマ1626)
☆オラツィオ・ボルジャンニ
(ローマ1574-ローマ1616)
☆バッティステッロ・カラッチョロ
(ナポリ、1578-1635)
☆カルロ・サラチェーニ
(ヴェネツィア、1579頃-1620)
ドメニキーノ
(ボローニャ1581-ナポリ1641)
パンフィロ・ヌヴォローネ
(クレモナ1581-ミラノ1651)
☆タンツィオ・ダ・ヴァラッロ
(アラーニャ1582頃-ボルゴセジア?1633)
☆バルトロメオ・マンフレーディ
(オスティアーノ1582-ローマ1622)
ジョヴァンニ・ランフランコ
(パルマ1582-ローマ1647)
マッシモ・スタンツィオーネ
(オルタ・ディ・アテッラ1585-ナポリ1656)
バルトロメオ・カヴァロッツイ
(ヴィテルボ1586-ローマ1625)
ジョヴァンニ・フランチェスコ・グエリエーリ
(フォッソンブローネ1589-ペーザロ1657)
グエルチーノ
(チェント1591-ボローニャ1666)
アルテミジア・ジェンティレスキ
(ローマ1593-ナポリ?1654以降)
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
(ナポリ1598-ローマ1680)
ピエトロ・パオリーニ
(ルッカ1603-ルッカ1681)
〈スペイン〉
☆ジュゼペ・デ・リベーラ
(ハティバ1591-ナポリ1652)
〈オランダ〉
ヘンドリク・テル・ブリュッヘン
(ハーグ/ユトレヒト1588-ユトレヒト1629)
ヘリット・ファン・ホントホルスト
(ユトレヒト1592-ユトレヒト1656)
マティアス・ストーム
(ユトレヒト近郊1600年頃-シチリアまたは北イタリア?1652頃)
〈フランス〉
☆シモン・ヴーエ
(パリ、1590-1649)
クロード・ヴィニョン
(トゥール1593-パリ1670)
ラ・トゥール
(ヴィック=シュル=セイユ1593-リュネヴィル1652)
〈逸名画家〉
ハートフォードの静物の画家
(17世紀初頭ローマで活動)
アクアヴェッラの静物の画家
(1615-40年頃ローマで活動)
蝋燭の光の画家(ジャコモ・マッサ?)
(1633-35にローマで活動記録)
《羊飼いへのお告げ》の画家(ジョヴァンニ・ドー?)
(1625-50頃ナポリで活動)
グエルチーノについては、2015年国立西洋美術館での回顧展には出品されていない作品をバルベリーニ宮国立古典美術館から持ってきてくれている。
ラ・トゥールやベルニーニといった、カラヴァッジェスキと呼ぶには抵抗がある美術史上のビックネームもある。前者は国内所蔵の2点、後者はカラヴァッジョが描いた人物の35年後を描いた肖像画である。
蝋燭の光の画家は、近年、ジャコモ・マッサと同定されたばかりであり、ジャコモ・マッサの名を付して展覧会に出品されるのは、本展が初めてとのこと。気合い充分、カラヴァッジェスキ最多の3点出品。
個人的には、アルテミジア・ジェンティレスキ作品1点の出品、カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》の隣に展示、が嬉しい。と思ったら、なんと、作者はグイド・カニャッチ(1601-1663)説が優勢らしい。現に2008年にイタリア・フォルリで開催のグイド・カニャッチ展に、カニャッチ作として出品されている。劣勢な自説、日本で「新発見の真筆」の隣に展示し、挽回を図る、ということだろうか。