美を紡ぐ 日本美術の名品
-雪舟、永徳から光琳、北斎まで-
2019年5月3日~6月2日
東京国立博物館(本館特別5・4・2・1室)
「両陛下展」に続く「美を紡ぐ」展。会場が特別5・4室に加えて特別2・1室と、計4室に拡大している。
1階の特別5室から入場→1階の特別4室(券を再提示)→出てすぐの階段を上って2階の特別2室(券の再提示の必要なし)→2階の特別1室(券を再提示)が標準ルートとなる。
東京国立博物館、文化庁および宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する「日本美術の名品」たち、20点+特別出品21点の計41点。何をもって特別出品とそうでない出品に区分されたのか分からない。所蔵別には、東博16点、文化庁9点、宮内庁16点。全て通期出品。
特に楽しんだ名品5選。
《唐獅子図屏風》
[右隻]狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀
[左隻]狩野常信筆 江戸時代・17世紀
宮内庁三の丸尚蔵館
まずは大きさ。金地の屏風の大きさと、左1・右2の獅子たちの大きさ。
右隻は、狩野永徳(1543〜90)筆。元は城郭の大広間の障壁画と考えられている。秀吉から毛利氏へ贈られ、1639年に江戸に移される。
左隻は、永徳の曽孫の狩野常信(1636〜1713)が補作。右隻より随分と若くてちょっとおどけている感じの獅子が微笑ましい。
《更級日記》
藤原定家筆 鎌倉時代・13世紀
宮内庁三の丸尚蔵館
『更級日記』の原本は現存せず、本品が全ての現在写本の祖本であるという。
そんな凄い物が国宝でも重文でもないなんて、と一瞬思ったが、宮内庁の所蔵。
手帳のような小さなサイズ。開かれたページには文字が書かれているだけなのだが、そのうちに絵画を見ている感じになってくる。心地よい抽象アート。
《西瓜図》1幅
葛飾北斎筆
江戸時代・1839年
宮内庁三の丸尚蔵館
北斎80歳の作品。張られた縄に吊るされた西瓜の皮2本。画面下部には、半分に切った西瓜に和紙が被せられ、その上に包丁が置かれる。意味不明の絵。
和紙を介して接する西瓜と包丁を、川をはさんだ織姫と彦星の見立てとする説が、乞巧奠(七夕)の記述を根拠として提唱されているとのこと。吊るされた西瓜の皮は短冊なのか。江戸時代の見立ての高度なマニアックさ。
国宝《納涼図屛風》
久隅守景筆
2曲1隻、江戸時代・17世紀
東京国立博物館
瓢箪棚。太い線の男性、細い線の女性、子ども。月。夕刻のゆったりとした時間。なんとも魅力的な世界。
国宝《元暦校本万葉集 巻一(古河本)》 20帖のうち1帖
平安時代・11世紀
東京国立博物館
「令和」の出典資料『万葉集』の当該箇所を「国宝」で! と意気込んだところ、違っていた。 「令和」は巻五で、出品は巻一。
その他、狩野永徳筆の国宝《檜図屏風》東博、長沢芦雪筆《花鳥遊魚図巻》文化庁、雪舟筆の国宝《秋冬山水図》東博、円山応挙筆《牡丹孔雀図》宮内庁、伊藤若冲《玄圃瑤華》4図・東博、重文《浜松図屏風》文化庁、などを楽しむ、平成館とは違って、やや会場が狭い感、少し昭和?な感じで鑑賞。