東京でカラヴァッジョ 日記

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「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(国立新美術館)

2022年02月18日 | メトロポリタン美術館展2021-22
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年
2022年2月9日〜5月30日
国立新美術館
 
 オミクロン株拡大下、大阪市立美術館での大阪展を無事に完走した「メトロポリタン美術館展」。
 2/9、国立新美術館での東京展が予定どおり開幕した。
 非常に嬉しい。
 
 
 大阪会場の会期初日の鑑賞から約3ヶ月ぶりとなる今回の鑑賞は、東京会場の会期初日。
 大阪会場では、開館とともに入場して一般客としてのカラヴァッジョ一番乗りを狙った朝一番の時間帯。今回の東京会場では、閉館時刻間際の貸切に近い状態での鑑賞を狙った午後の後半の時間帯である。そしてその狙いは成功する。
 
 以下、大阪会場と比較しての東京会場の印象。
 
 
 大阪会場は、展示室の数、広さ、形状など、どうしても制約がある。だから、流れがやや輻輳したり、何故この作品がここに?という配置があったり、が一部に見受けられた。
 東京会場は、展覧会に応じたカスタマイズが可能な国立新美術館の大展示室。展示作品の時代・地域・特性にあわせて(数え方にもよるが)11の展示コーナーが用意される。
 15-16世紀北方絵画のみを集めた展示室とか、ル・ブラン、ドニーズ・ヴィレール、レノルズの3点による18世紀末肖像画の展示コーナーとか、ものすごく良い。
 
 作品の展示順も異なる。
 東京会場では、カラヴァッジョとラ・トゥールが隣り合わせとなる一方で、レンブラントとフェルメールは引き離された。
 クールべとジェローム、およびゴヤとマネが並べて展示されるのは、両会場共通である。
 
 参考までに、出品リスト掲載の会場案内図に、展示作品の出品番号を追記した画像を掲載する。(追記内容に誤りがあるかもしれません。)
 
 
 困惑したのは、東京会場は、作品の展示位置が高くなり、かつ、鑑賞者との距離をより多く取るようになった、つまり、垂直にも水平にも画面が遠くなったこと。
 大阪会場では、画面の近くまで顔を寄せて間近で堪能することが可能であった。東京会場ではそれはできず、私の視力&単眼鏡無しでは、大阪会場で経験したような臨場感が味わえない。これは寂しい。おかげで、クリヴェッリもラ・トゥールも魅力減。最大の被害はディーリック・バウツで、この作品のどこにあれだけ興奮したのか分からなくなってしまうほど。
 大阪会場では酔ってしまったような感じであったのに対し、東京会場では落ち着いていたのは、必ずしも2度目の鑑賞であったからではなく、旅の恥は掻き捨てでは決してなく、作品との距離が原因である。
 
 一方で、展示位置が高くなったことにより、その魅力を新たに認識した作品もある。
 一つの例がシャルダン。大阪会場では、バロックの展示室に配置されたこともあってか、魅力薄。東京会場では、展示位置が高くなって、私の視線は描かれた子どもの視線に近い高さに。すると、丸く大きく綺麗に膨らんだシャボン玉、もう少し吹くと壊れるかもしれない、とドキドキしながら見る子どもの気持ちを追体験。この絵画はこの低い位置から見るべき作品だったのか、発見である。
 
 
 当初の鑑賞計画は、大阪会場ではほぼスルーした第2章後半と第3章を重点的に見るというもの。
 結果は、第2章後半、特に完全スルーしたヴァトーやブーシェなどはしっかり見たものの、第3章は観る気力が湧いてこない、見ていても第1章と第2章前半が気になって、とやっぱりそちらに足が向かう。
 
 本展の人気作品ベスト4。私の感度での鑑賞者の密集度合いによる。
・フェルメール
・クラーナハ
・ラ・トゥール
・マリー・ドニーズ・ヴィレール
 
 先の2画家は大阪会場でも同様の印象を受けたが、東京会場ではラ・トゥールとマリー・ドニーズ・ヴィレールが加わった。
 
 ラ・トゥールは、登場人物の表情も手の動きも衣装の鮮やかさも、実に素晴らしく、感嘆する。東京会場のメインビジュアルとしても使用。大阪会場では第1会場出口近くに展示され、熱心なファンは第2会場に進もうとする観客者の邪魔になるという不遇があったが、東京会場では一等地に展示。残念なのは、繰り返しになるが、作品との距離。次回訪問時は、単眼鏡が必須。去年秋の名古屋・大阪遠征時に気づいたのだが、鞄のなかにあるはずの単眼鏡が無かった。それまでにどこかで落としてしまった。古い型だったので、これも良い機会、新しめの型を購入しよう。
 
 マリー・ドニーズ・ヴィレール。大阪会場では画家の作品自体が初見で物珍しさもあっての素晴らしさで、次に見た時にはそれほどでも、となる可能性を想像していたが、違った。再見しても素晴らしい。第2章後半の作品群のなかで一番光っている。実に魅力的な作品であることを確認する。
 
 
 
 東京会場の最後には、大阪会場には無かった映像コーナーが登場する。
 
 本展示はメトロポリタン美術館ヨーロッパ絵画部門の所蔵品のデータをビジュアライズ化した年表映像です。
 映像に登場する絵画は本展の展示作品ですが、絵をかたちづくる無数の小さな点は、メトロポリタン美術館が所蔵する約2500作品の縮小画像です。
 西洋の長い歴史を彩ってきたマスターピースの点が寄り集まってひとつの絵画となり、集合離散を繰り返しながら次の時代の絵画へとかたちを変えていきます。
 それぞれの作品が制作された年代、手法や地域を世界の歴史とともに時代を追って投影しています。
 
 撮影可だが、ここに到着した時点で閉館時刻まであと数分。ミュージアムショップに多くの客がいることをいいことに、少しだけ粘って、少しだけ撮影する。
 
 
 
 
 次はいつ行こうか。
 


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