ポスターのちから
変化する役割と広がるデザイン
2021年7月17日〜9月5日
昭和館
本展は入場無料。
場所は3階の特別企画展会場。広くはないがらも、前期はポスター40点強と関連資料30点強が展示されている。
【本展の構成】
1 「図案家」の確立とポスター
(1)美人画ポスターから「図案」へ
(2)ポスターの多様性
2 戦争と国策ポスター
(1)国策宣伝の進化
(2)戦時体制の強化と国策ポスター
3 戦後復興期のポスター
(1)戦後復興と公共広告
(2)商業ポスターの復活
エピローグ:オリンピック東京大会と東京パラリンピック
1は、大正期の商業広告ポスターを見るプロローグ的な章。2がメイン章。3(1)は引揚者救護、募金など戦後5年ほどの公共広告を見る準メイン章。3(2)は戦後10年ほどの商業広告を見るエピローグ的な章。最後に1964年東京オリンピック4点・パラリンピック2点のポスターを置き、広告ポスター界において戦後の区切りがついたような形となっている。
印象に残るのは、やはり2章の戦時中のポスター。
初めて知ったのは、昭和17年の大政翼賛会「おねがひです。隊長殿、あの旗を射たせて下さいッ!」。
物語を読ませるポスター。その荒唐無稽な物語に驚く。当時の人々はこれをどう受け止めていたのだろうか。
このようなプロバガンダ広告が並ぶ一方で、当時の商業広告が、限定的な展示数であるが興味深い。
静岡県茶業組合聯合会議所の「健康にお茶」。
戦う2人の兵士の姿を描いたポスターのタイトルが「健康にお茶」とは、あまりにも似つかわしくなさすぎることに感嘆。
サブタイトルに「慰問袋にお茶」、なるほど。「健康にお茶」は同会議所お決まりの宣伝文句、販売促進先として慰問袋を狙ったものなのだ。
もう1点、東亜工業社の「ダシの素」。
飛ぶ戦闘機、投下される落下傘、その落下傘で降下中の「ダシの素」瓶。そのシュールぶりに感嘆。
食料資源が貴重であるなか、醤油もカツオも昆布も入らない調味料「ダシの素」をどうぞ、という旨の宣伝文句が添えられている。戦時中でも化学調味料だったら手に入りやすかった、ということはあるまい。
昭和館の入館には名前と連絡先電話番号の記入が必須。
途中30分間の休憩時間が設けられている(13:30〜14:00)。一斉清掃を行う時間とのこと。