千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。
京成佐倉駅から無料送迎バスで30分の距離にある。
この美術館に行くのは2度目だが、前回訪問時の記憶が全く残っていないことに驚く。
京成佐倉駅は、数年に一度くらい国立歴史民俗博物館訪問のために行くのでお馴染みであり、美術館の無料送迎バス乗り場の位置もお馴染みなのだが、バスに乗ってから以降は、途中経由するJR佐倉駅の風景も、到着してからの美術館敷地の入口も、敷地内の公園も、美術館建物の外観も、その内部の展示室も、展示品も、かすかに残っている印象とは全く異なっている。
いつ以来の訪問なのだろう。
本ブログを始める前の時期に、何かの展覧会目当てで訪問したのは確か。
ただ、何の展覧会だったのか、美術館HPに掲載されている開館以来の展覧会情報を確認しても、思い出せない。
コレクション展示室を見る。
時代や美術運動別という通常の展示方法ではなく、開催中の企画展「カラーフィールド」展と連動して、作品の色に着目した展示方法となっている。
101展示室: 青|緑
102展示室: レンブラント
103展示室: 赤+黒
110展示室: 赤|黒
104展示室: 銀|灰
105展示室: 金|黄
106展示室:ロスコ・ルーム〈シーグラム壁画〉
200展示室: 白|透明
印象に残る作品3選。
モネ《睡蓮》1907年
101展示室にて、緑色を基調とする作品たちに囲まれて展示される「睡蓮」。
モネが1907年に制作した、睡蓮のほぼ同一構図の縦長の連作15点のうちの1点。
右手に枝垂れ柳、左手にポプラの樹の影が水面に映り、流れ落ちる陽光が午後(遅く)から日没(直後)へ、時間の経過による水面の変化を表現する連作である。
直近では、2021-22年の三菱一号館美術館「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」展への特別出品時に会っている。
キスリング《姉妹》1950年
右側に立つ姉は、緑色の服。
左側に立つ妹は、青色の服。
101展示室は、青|緑の部屋として、青色を基調とする作品と緑色を基調とする作品が展示されるが、キスリングの本作品を青と緑の境界線としている。
ただ、本作品の左側が緑色の、右側が青色の作品の展示と、本作品の姉妹の服の色とは逆になっていて、それが却っていい味である。
ロスコ《シーグラム壁画》7点、1958-59年
美術館自慢のロスコ・ルーム。
狭めで暗めの展示室において、暗い色調の7点の《シーグラム壁画》に囲まれる。
狭めで暗めの展示室といっても、作品に合わせた面積&照度で、本作品鑑賞には望ましいのだろう。
前回訪問時にロスコ・ルームを見た記憶がなく、また、こんな作品だったよなというイメージとも違う。
現代美術オンチの私、2013年に売却し103億円の譲渡益を得たというバーネット・ニューマン《アンナの光》(前回訪問時はおそらくニューマン・ルームに展示されていたのだろう)と記憶が混同しているのかも。
これだけ記憶にないと、前回は一体何しにわざわざ遠征したのか不可解。
さて、適宜ソファーに座りつつ、のんびりとロスコを眺めるが、その魅力を感じるには至らず。
途中、若いカップルがロスコ・ルームに入ろうとした瞬間、彼女が「気持ち悪い」と呟くと、2人は足を踏み入れることなく即座に、文字どおり踵を返して立ち去った光景に出くわしたのは印象的。
(体調ではなく、展示室の雰囲気と理解。)
さて、企画展「カラーフィールド」展については別記事とする。