河野通勢(1895-1950)
《竹林之七妍》1923年
「俗世を離れて竹林に集い清談を交わす古代中国の7人の賢者「竹林の七賢」が、鮮やかな衣装を纏った女性に変えて描かれている」。
この河野の作品名にちなみ、「竹林之七妍(ちくりんのしちけん)」と題されたコーナーは、7名の女性作家を紹介する。
1名を除き、1920年代(大正11〜昭和4年)生まれ。
1 高木敏子(1924-87)
2 間所(芥川)紗織(1924-66)
3 福島秀子(1927-97)
4 漆原英子(1929-2002)
5 小林ドンゲ(1926-2022)
6 朝倉摂(1922-2014)
7 前本彰子(1957-)
私のお目当ては、間所(芥川)紗織。
1953年頃から41歳で亡くなるまで、前衛的な表現で活躍した女性アーティスト。
今年(2024年)は、芥川(間所)の生誕100年で、生誕100年の大回顧展は開催されないようであるが、全国の10美術館が、それぞれの所蔵作品により、常設展示(コレクション展)にて小企画を順次開催するプロジェクト「museum to museum 生誕100年記念 芥川(間所)紗織 軌跡を回顧する旅へ」を実施している。
・川崎市岡本太郎美術館(4/18〜7/7 済)
・栃木県立美術館(4/20〜6/16 済)
・豊橋市美術博物館(6/8〜7/21 済)
・刈谷市美術館(6/20〜7/21 済)
・名古屋市美術館(6/29〜9/8 済)
・高松市美術館(7/13〜9/29 終了間近)
・横須賀美術館(7/13〜10/20)
・東京都現代美術館(8/3〜11/10)
・東京国立近代美術館(9/3〜12/22)
・国立国際美術館(11/2〜1/26予定)
先般の東京国立近代美術館に引き続き、東京都現代美術館を訪問したもの。
東京都現代美術館が所蔵する間所(芥川)の作品は、2点。
数は多くはないが、「女シリーズ」「神話・民話シリーズ」各1点と、バランスが取れている。
間所(芥川)紗織
《女XI》1955年
《イザナギノミコトの国造り》1955年
前者は驚きの表情であろうか。
後者はイザナギとイザナミによる国生みを描く。「男神と女神の壮絶な闘いを通じて、現代にも通じる男性と女性の関係や、埋められない溝を描こうとしているといえるだろう」(*)。
*『烈しいもの。燃えるもの。強烈なもの。芥川紗織 生涯と作品』(2024年5月刊、東京新聞)所収の工藤香澄「芥川紗織の歩み」より。
本コーナーでは、ほかに、漆原英子(撮影不可)と小林ドンゲを主に見る。
小林ドンゲ(1926-2022)
《自画像》1949年
画像下のスケッチ作品は、伊坂芳太良(1928-70)による1947年の小林の肖像。
35点ほどの展示。(展示風景)
知人の僧から、三千年に一度咲くという、優曇華(うどんげ)の華に由来する「ドンゲ」という名を贈られたことから、以来この名前で作品を発表するようになったという。
2019年に佐倉市立美術館で個展が開催され、研究の基礎が整えられたとのこと。
本コーナー以外のコレクション展示では、中園孔二の作品3点を見る。
中園孔二(1989-2015)
《ポスト人間》2007年
《無題》2012年
《無題》2010年
隣の作品とは異なる雰囲気。
限られた時間であったが、楽しい鑑賞となる。