日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション
2024年8月3日〜11月10日
東京都現代美術館
館の2フロアいっぱいを使った膨大な展示。
その物量に驚くが、それでも3500点を超えるというコレクションのごく一部。
数も凄いが、その大きさ・重さも尋常ではなく、形・素材もさまざま。
初期費用(購入)もたいへんだろうが、維持費用(保管・修復等)はもっとたいへん。個人のレベルではない。
また、展覧会の開催に際しても、これだけの作品を各部屋に運び込み、設置する労力も膨大であっただろう。
どう見せるか、企画も難題が多かっただろう。
まずは、以上のようなことを思い、圧倒される。
1946年生まれの高橋氏は、1990年代半ばより、日本の現代美術のコレクションを開始したという。
6章構成の本展。
戦後から高橋氏がコレクションを開始する1990年代半ばまでに制作された作品を展示する第1章から始まる。草間彌生、合田佐和子、山口はるみ、横尾忠則など。
第2章以降は、1990年代半ば以降の日本の現代美術の展開を、概ね時系列順に、時期をほぼ同じくして収集された高橋氏のコレクションにより見ていくことになる。
第1章は撮影不可、第2章以降は一部を除き撮影可。
以下、特に気になる作品を記載する。
会田誠(1965-)
《紐育空爆乃図(戦争画RETURNS)》1996年
《大山椒魚》2003年
前者の発想。
後者の藤田の乳白色。
池田学(1973-)
《興亡史》2006年
ペンとインクによる超絶細密画。身の回りのあらゆるところに無数にあるミクロの世界では、このような誕生と滅亡が誰にも知られることなく一瞬で展開されていることを夢想する。
やなぎみわ(1967-)
《案内嬢の部屋 3F》1998年
森村泰昌(1951-)
《肖像 九つの顔》1989年
同服装をした8人の人物が、何かを覗き込んでいる。そんな近似したシーンが隣り合わせ。
不気味な絵画たちの部屋
千葉昌也(1980-)《三ツ境》2008年
工藤麻紀子(1978-)《もうすぐ衣替え》2003年
左から
山中雪乃(1999-)《stretch》2022年
友沢こたお(1999-)《slime CXCI》2023年
右から
小西紀行(1980-)《無題》2007年
庄司朝美(1988-)《21.2.3》2021年
村上早(1992-)《嫉妬 -どく-》2020年
村上早《おどり》2021年
アトリウムの吹き抜け空間には、巨大サイズの作品4点のみが展示される。「崩壊と再生」。
鴻池朋子(1960-)《皮緞帳》2015-16年
青木美歌(1981-2022)《Her songs are floating》2007年
弓指寛治(1986-)《挽歌》2016年
小谷元彦(1972-)《サーフ・エンジェル(仮設のモニュメント2)》2022年
水戸部七絵
《DEPTH》2017年
鉄板の上に盛り上げた絵の具が定着しきれずに落ちてしまった。そんな失敗作を作品に仕立て上げる。それが、深い作品に見えてしまう。
最後にたどり着いたときは、くたくた。消化しきれない。
再訪し、次は逆ルートを歩きたい。