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【画像その1】生誕130年記念 北川民次展」(世田谷美術館)

2024年10月03日 | 展覧会(日本美術)
生誕130年記念 北川民次展
メキシコから日本へ
2024年9月21日〜11月17日
世田谷美術館
 
 
 北川民治(1894-1989)。
 静岡県(現・島田市)生まれ。
 1914年、20歳のときに早稲田大学予科を中退し、兄を頼って渡米。NYの劇場で働きながら美術学校に通う。
 1923年、メキシコに移る。メキシコ壁画運動の影響を受ける。野外美術学校の教員(のち校長)を務める。1933年には藤田嗣治夫妻の訪問を受けている。
 1936年、帰国。22年ぶりの日本。
 当時の日本の社会情勢を目の当たりにして帰国を後悔した、と画家はのちに振り返っている。
 
 
 1937年、二科会に出品し、藤田の推薦で二科会会員となる。
 以下、帰国してから1945年8月までの主な展覧会への出品状況。
 ★は本展出品作。その多くは、発表時と現在で作品タイトルが変わっている。
 
 
第24回二科展 1937年(昭和12年)
「メキシコの三人娘」★
「メキシコ、タスコの祭日」★
「メキシコ、銀鉱の内部」
「メキシコ、悲しき日」
「瀬戸の工場」
 
 
《メキシコ三童女》
1937年、愛知県美術館
 「独特のぬめりのある表現」に強く惹かれる。
 
 
《タスコの祭》
1937年、静岡県立美術館
 祭りを楽しむメキシコの民衆の姿。
 
 
 
 第25回二科展 1938年(昭和13年)
「メキシコ舞踏図」★
「静物」★
「見物人(メキシコ)」
「戦後図(メキシコ)」 ★
 
 
《ランチェロの唄》
1938年、東京国立近代美術館
 帝政ローマ時代の小説「黄金の驢馬(ASNO DE ORO)」の、ロバの姿になった主人公が下層階級の悲惨な状況を目撃する、と重ねられているという。
 武器を傍に置き楽器を弾く男性は、国家権力を象徴し、国民を軍国主義に踊らせているらしい。
 
 
《メキシコ静物》
1938年、東京国立近代美術館
 発表時の画家のコメント「静物をアレゴリックに描いただけで別に感想もありません」。寓意的な包丁、鋏、銃。
 
 
《メキシコ戦後の図》
1938年、宮城県美術館
 タイトルの「戦後」とはメキシコ革命後を指す。発表当時、大砲を向けられている山(ポポカテペトル)が富士山に似ていることから、反国家的な合意を疑われたという。
 
 
 
 
第1回聖戦美術展 1939年(昭和14年)
「銃後の少女」★
 
《鉛の兵隊(銃後の少女)》
1939年、個人蔵
 少女のモデルは画家の長女。進撃するおもちゃの兵士たちは日の丸を掲げ、逃げ惑う兵士たちのもとには中国国民党の旗が倒れている。少女が背負っているのは「青い目の人形」。
 
 
 
第26回二科展 1939年(昭和14年)
「大地」★
「ゆあみ」 
 
《大地》
1939年、新潟県立近代美術館・万代島美術館
 ゴーギャン&タヒチを、北川&メキシコに変換?
 
 
 
第27回二科展 1940年(昭和15年)
「南国の花」★
「琉球首里城外の森」
「薔薇」 
 
《南国の花》
1940年、愛知県美術館
 花の静物画、と思ったら、花瓶は、険しい岩山の上。巨大花瓶の後ろには、蝶を追うミニサイズ少女もいる。
 前年、大日本海洋少年団の嘱託画家として練習船・海王丸に同乗、沖縄に寄ったときに描いたスケッチをもとにしているとのこと。
 
 
 
紀元二千六百年奉祝美術展 1940年(昭和15年)
「岩山に茂る」★
 
《岩山に茂る》
1940年、個人蔵
 画家いわく、「窮乏にたえる民族を、不毛の土地にねばり強く生きる植物にたとえた」。
 前年、海王丸の練習航海に同乗した際に、南洋諸島で描いたスケッチをもとにしているとのこと。
 
 
 
第28回二科展 1941年(昭和16年)
「生活三題の内 学修」
「生活三題の内 勤労」★
「生活三題の内 舞妓」★
 
《芸者》
1941年、郡山市立美術館
 芸者たちの厚化粧。その背後で彼女たちを静かに見ている小女。
 
 
《赤津陶工の家》
1941年、名古屋市美術館
 瀬戸市赤津の窯元「霞仙陶苑」に取材。成形、釉薬掛け、窯入れなどの工程を一画面に収める。
 
 
 
第29回二科展 1942年(昭和17年)
「浜に行く道」 
 
 
 
第30回二科展 1943年(昭和18年)
「鉱士之図」★
「農漁之図」★
 
《鉱士の図》
1943年、刈谷市美術館
《農漁の図》
1943年、東京都現代美術館
 戦時下で開催された最後の二科展出品作は、銃後の労働を描く。
 
 
 
第6回新文展 1943年(昭和18年)
「秋の農園」
 
 
 本展の構成は、テーマ別であるので、時系列にしてみた。
 「メキシコ帰り」主題から、時世を反映し、「銃後の生活」主題へと移っていく。


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