東京でカラヴァッジョ 日記

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ベラスケス-1970、1980、1987、1992年

2018年03月22日 | プラド美術館展2018
プラド美術館展
ベラスケスと絵画の栄光
2018年2月24日〜5月27日
国立西洋美術館
 
 
   過去の展覧会におけるプラド美術館所蔵のベラスケス作品の来日状況を確認する。
 
   2002年以降今回まで5回開催されているプラド美術館展におけるベラスケス作品の来日は、17作品(うち2作品が2回)。 → https://blog.goo.ne.jp/k-caravaggio/e/a71cea0230d0f12788e61c1220e76362
 
   本記事では、それ以前の展覧会におけるプラド美術館所蔵のベラスケス作品の来日状況を確認する。
   プラド美術館展ではなく、スペイン美術を紹介する展覧会で、プラド美術館が出品作の一部を担った展覧会が対象となる。
 
   私が認識したのは、次の3展覧会である。
 
スペイン・リアリズムの美:静物画の世界
1992年2月11日〜4月12日
国立西洋美術館
 
スペイン絵画・ベラスケスとその時代:スペイン国王・王妃両陛下来日記念展
1980年10月29日〜12月21日
東京国立博物館
 
スペイン美術展-ゴヤ  グレコ  ベラスケスを中心とする
1970年5月1日〜6月28日
東京国立博物館
 
 
 
 
   まず、1992年の国立西洋美「スペイン・リアリズムの美」展。
   絵画63点の出品。ベラスケス作品は2点。
 
《鹿の頭部》
1626-36年、66×52cm
プラド美術館
 
《昼食、または、食卓を囲む三人の男》
108×102cm
エルミタージュ美術館
 
 
   プラド美術館所蔵のベラスケス来日作品は、《鹿の頭部》1点プラスの18点が確認できた。
 
 
 
 
   次に、1980年の東博「スペイン絵画・ベラスケスとその時代」展は、展覧会名のとおり、17世紀スペイン絵画が紹介される。
   プラド美術館から17点、何故かフランス各地の美術館等から15点の計32点の絵画。加えて、時代が異なるものの特別出品と称して、プラド美術館所蔵のゴヤ2点《狩猟服姿のカルロス3世》、《カルロス4世王妃マリア・ルイーザ》が展示された。
 
   出品画家は、次のとおり。カッコ内はプラド美術館所蔵を示す。
 
リベーラ     3点(1点)
スルバラン  8点(0点)
コリャンテス 1点(1点)
ベラスケス  4点(3点)
マーソ          1点(1点)
アロンソ・カーノ  1点(1点)
アグエーロ   1点(1点)
ブーガ          1点(1点)
アレリャーノ  1点(1点)
ミランダ       1点(1点)
アントリーネス  2点(1点)
コエーリョ    1点(1点)
カスティーリョ  1点(1点)
ムリーリョ  2点(2点)
イリアルテ  1点(1点)
レアール      1点(0点)
バルデース  1点(0点)
作者不詳      1点(0点)
 
 
   ベラスケス作品は、
 
《使徒聖トマス》
1618-22年頃、95×73cm
オルレアン美術館
 
《狩猟服姿の王太子バルタサール・カルロス》
1635-36年、191×103cm
プラド美術館
 
《犬と道化師》
1650年頃?、142×107cm
プラド美術館
 
《マルガリータ王女》
1660年頃、212×147cm
プラド美術館
 
   ただし、《犬と道化師》と《マルガリータ王女》は、プラド美術館展2018の「プラド美術館所蔵  ベラスケス油彩作品一覧」掲載の48点のなかに入っていない。ベラスケスの真筆ではない、と現在では考えられているようだ。
 
   よって、プラド美術館所蔵のベラスケス来日作品は、《狩猟服姿の王太子バルタサール・カルロス》1点プラスの19点が確認できた。
 
 
 
 
   最後に、1970年の東博「スペイン美術展-ゴヤ  グレコ  ベラスケスを中心とする」。
 
   全143点の出品。
 
   出品番号1は、紀元前1600-1350年の《ヒリェナの宝物》から出品番号17のローマ皇帝の胸像まで考古発掘品が続く。
   次の出品番号18がアレホ・フェルナンデス(1475-1545・46)の油彩《受胎告知》、出品番号19・20がフアン・パントーハ(1553-1608)の油彩《フェリペ3世の肖像》《フェリペ3世王妃の肖像》。1000年以上飛ぶ。1970年当時のスペイン美術界にとっては、失われた1000年だったのか?
 
   出品番号21から早くもスペイン美術の黄金時代が到来。
  
   主な画家だけ挙げると、
 
エル・グレコ  4点(全てトレドから)
リベーラ  5点(全てプラド美術館から)
ベラスケス  2点(全てプラド美術館から)
スルバラン  15点(セビーリャ、カディスから)
ムリーリョ  5点(全てセビーリャから)
カレーニョ・デ・ミランダ  2点(全てプラド美術館から)
バルデス・レアール  10点(全てセビーリャから)
ゴヤ  10点(版画2点含む)(プラド美術館から3点ほか)
 
   以降、19世紀後半から20世紀の第1四半世紀に活躍した画家まで。
   最後に、16-17世紀の彫刻作品12点で締める。
 
 
   ベラスケス作品は、
 
《修道女ヘロニマ・デ・ラ・フエンテ》
1620年、160×110cm
プラド美術館
 
《足元にライオンのいる甲冑姿のフェリペ4世》
1653年頃、234×131.5cm
プラド美術館
 
   ただし、《足元にライオンのいる甲冑姿のフェリペ4世》は、プラド美術館展2018の「プラド美術館所蔵  ベラスケス油彩作品一覧」掲載の48点のなかに入っていない。ベラスケスの真筆ではない、と現在では考えられているようだ。
 
   よって、プラド美術館所蔵のベラスケス来日作品は、《修道女ヘロニマ・デ・ラ・フエンテ》1点プラスの20点が確認できた。
 
 
 
 
   もう一つ、スペイン美術を紹介する展覧会ではなく、西洋美術の空間表現を紹介する展覧会で、プラド美術館所蔵のベラスケス作品が出品されている。
 
西洋の美術:その空間表現の流れ-欧州評議会特別展
1987年3月28日〜6月14日
国立西洋美術館
 
 
《東方三博士の礼拝》
1619年、203×125cm
プラド美術館
✳︎今回のプラド美術館展2018で再来日。
 
 
 
 
   以上、私が確認できた範囲では、プラド美術館展2018の「プラド美術館所蔵  ベラスケス油彩作品一覧」掲載の48点のうち、約4割にあたる20点の来日が確認できた。
 
   複数回来日は、3点で各2回と重なりが少なめなのが特徴かなあ。
 
 
 
   さて、非来日作品は28点。
   《ラス・メニーナス》の来日はまずありえないので、それ以外の27点。
   待てば来日してくれることがあるのか。
   約50年間の7回(2011年のゴヤ展を除く)のプラド美術館コレクション展で20作品の来日なのだから、一度の人生では難しい話だ。
 
 
   やっぱり、プラド美術館へ行きたい。
 


2 コメント

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1970年  (エリザベート)
2022-11-17 13:01:36
ゴヤ、グレ、。ベラスケス絵画展 拝見しました。

4歳の娘と二人でかなり長い時間 素晴らしい時間を過ごせました。
その時 写真集も購入しました。 

何度も引越ししましたので 手元にないのが残念です。

偶然この記事を見て思い出しました。  

50年前の美術館は とてもすいていました。

詳しい情報ありがとうございました。
 
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Unknown (k-caravaggio)
2022-11-20 08:05:24
エリザベート様
コメントありがとうございます。
この記事は、図書館で見た図録をもとに記載しましたが、実際にこの展覧会をご覧になられた方からコメントをいただけるとは嬉しいです。
1970年、大阪万博の年、東京国立博物館と京都市美術館で開催された、おそらく日本初の総合的なスペイン美術の展覧会。
今この展覧会が開催されるならば、相当の人が集まるでしょうね。
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