東京でカラヴァッジョ 日記

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《五馬図巻》を見に行く-「顔真卿 - 王羲之を超えた名筆」展(東京国立博物館)

2019年02月22日 | 展覧会(東洋・アジア美術)

 

顔真卿
王羲之を超えた名筆
2019年1月16日〜2月24日
東京国立博物館
 

  フリージャーナリスト野嶋 剛 氏の記事『東博「顔真卿展」でメディアが報じない名画・五馬図巻の「奇跡の発見」 』をネットで読む。
 
  氏は、元朝日新聞記者で、著書『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)は大変楽しく読ませてもらった。

  氏は、2/24まで開催中の東博「顔真卿」展に出品されている《五馬図巻》について語る。

 

  「中国から日本へ明治期に伝来し、大戦で失われたともいわれ、その後、一切表に出なかった幻の名品「五馬図巻」の突然の出現」
 
  「この絵がその後の中国絵画で馬の描き方のスタンダードになったと言われるほど美術史的にも重要な作品」「北宋の著名な書家・黄庭堅の跋文も付されているので、書をテーマにした今回の展示に入る形になっている」
 
  「タイトルがごとく、五匹の馬の連作だ。毛筆の線だけで描く「白描」という画法で、李公麟はその第一人者」
  「絵から飛ぶ出すような馬のリアルな生命力に、背筋がピンと伸びる気持ちになった」
 
 
  そんな作品が存在することすら知らなかったし、「顔真卿」展に出品されていることも知らなかった。
  出品リストを確認すると、第5章「宋時代における顔真卿の評価 ―人間性の尊重と理念の探求―」にある。前回訪問時は、後半の第4〜6章はほぼパスしたので、おそらく近づきもしていないだろう。
 
 
《五馬図巻》(ごばずかん)1巻
李公麟筆
北宋時代・11世紀
東京国立博物館
 
 
  そんな凄い作品なら見たい。ただ、現在の所蔵者は東博(平成29年度に前所蔵者から寄贈受)だから、何年か待てば、空いた常設展で見れそう。早々にGWの国宝・重要文化財新指定展に登場するかもしれない。
 
  しかし、お祭り好きの私を、公式ツイッターの頻繁なつぶやきが誘う。《祭姪文稿》は「馬の耳に念仏」だから長時間並んで短時間見るのは無駄だとしても、会期末の盛り上がり状況も見たい気もする。
 
  思案のうえ、会期最後の平日、訪問することとする。
 
 
 
  朝8:45、東博に到着。開館待ちの列が2つある。どちらだろう。並んでいる人が、こちらはチケットを持っているほうの列だと(私に対してではないが)教えてくれる。最後尾につくと間もなく係員が登場し、横4人並びに再編成。私の前は50人強くらいか。
  7年ぶりの東博開館待ち列への参加。7年前のときは凄く寒かったなあ。前夜の雪が積もっていて、東博の係員が開館時刻前に雪掻きしていたなあ。今回は晴れで、寒くもない。
 
   9:20、敷地内入場。
 
   9:30、平成館入館。チケットもぎり、エスカレーターで2階へ、2階のコインロッカーに荷物を預け、第一会場に入り、第一会場の最後の展示室に向かって早歩き、列に並び、《祭姪文稿》の前を一瞬で通り過ぎる。この時点で9:41。入館から僅か11分。
 
   9:42、《祭姪文稿》の最後尾はまだ展示室内で、30分待ちの案内。再度並ぶ。途中に《祭姪文稿》に接近するポイントが3回ある。特に最接近する2回目、運良く鑑賞者たちの隙間が大きく、並び列も何故かしばらく動かず、ほぼ真正面から全体像を見ることができる。やや距離はあるが、ここからの鑑賞が一番良いかも。ただ、行き来する係員がしばしば立ち止まって視界を遮る、わざとか?《祭姪文稿》を再度一瞬で通り過ぎる。きっちり30分後の10:11。この時点で最後尾は展示室外、待ち時間は60分の案内。
 
 
  だいぶ寄り道したが、ここで本来の目的に戻り、第二会場で《五馬図巻》を探す。ここに展示していたのか。短いながらも待ち列ができている。やはり中国の方に人気のようだ。ここでも係員からの少しずつ動けとの声を受けながら5頭の馬を見る。計3回並んで見る。並び直すたびに人が増えている。落ち着かない。将来あるだろう常設展での展示の機会を期待しよう。
 
  次にこれまた待ち列ができている懐素《自叙帖》の列に並んで見る。
 
  そのうち会場内はさらに混雑。その日で一番混雑する時間帯になってきたようだ。3点しか見ていないけど、そろそろ引き際か。
 
   11:15、退出。この時点で《祭姪文稿》は80分待ち。入館自体も70分待ちで、表慶館までの長い行列ができている。
 
 
  会期最後の2日間となるこの週末。開館前から待つのが良さそうだが、8:45では既に大行列になっていそうな雰囲気である。
 


2 コメント

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Unknown (左京区)
2019-03-09 23:47:22
K様

 お世話になっております。

 李公麟《五馬図巻》ですが、絵師唯一の真筆ともいわれる名品中の名品です。
 中国美術の絶頂期とも言って良い北宋時代の絵画であり、歴代皇帝が手元に置いた作品です。

 日本には、徽宗《桃鳩図》(個人)、牧谿《観音猿鶴図》(大徳寺)、同《雪中帰牧図》(大和文華館)、燕文貴《江山楼観図》(大阪市立美術館)、李迪《紅白芙容図》(東京国立博物館)など、中国絵画の名品が多数あります。
 一度で良いから、日本にある中国絵画の名品を一堂に集めた展覧会を開催して欲しいと思っています。
 これまでは、日本の国宝展として、東山御物を紹介する展覧会として、紹介されることが多かったですが、ド直球で「中国絵画展」として見てみたいと思います。
 もう少し贅沢を言うと、影響を受けたであろう雪舟、狩野正信、狩野元信など、室町期の日本人画僧や絵師の作品との繋がりが分かるようなものだと面白いのですが。

 失礼いたします。
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左京区様 ()
2019-03-10 07:33:53
左京区様

コメントありがとうございます。

《五馬図巻》はそれほど凄い作品なのですね。
中国美術は長年スルーしてきたのですが、一昨年くらいから話題になっている展覧会・作品は見ておこうと心がけているところです。左京区さんがおっしゃるような展覧会が実現すれば、是非通わせていただきたいと思います。
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