オリンピック・ランゲージ
デザインでみるオリンピック
2021年7月20日〜8月28日
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
オリンピックのポスターやエンブレム、ピクトグラムや聖火トーチ、メダルは、オリンピックのビジュアル・アイデンティティの一部として大会ごとにデザインされます。それらは開催都市や国の文化や精神、歴史に影響を受けてきました。
本展は、スイス、ローザンヌにあるオリンピック博物館で2018年5月10日から2019年3月17日に開催された展覧会「Olympic Language: Exploring the Look of the Games」を巡回するもので、デザインの面で画期的だった1964年東京、1968年メキシコシティ、1972年ミュンヘン、1994年リレハンメル、2004年アテネ。5つの大会に焦点を絞り、各大会のデザインがどのように統一感と個性を表現してきたかを探ります。
東京オリンピックの開会式で話題となったらしい「東京オリンピック・ピクトグラム・パフォーマンス」。
1964年の東京オリンピックにて、初めてピクトグラム・システムが導入され、競技やクローク・シャワー室・郵便局・トイレなどの諸施設が絵文字化される。この時を境に、その後の全てのオリンピック大会で独自のピクトグラム・システムが使われるようになったという。開会式のパフォーマンスは、そういう意味では、オリンピック・ピクトグラム誕生の地・東京での2回目のオリンピックにふさわしいものだったと言えるかもしれない。
本展の展示は、ポスター、エンブレム、聖火ポーチなど多岐に渡るが、以下では、競技ピクトグラムに限定して見ていく。
【1964年夏季・東京】
【1968年夏季・メキシコシティ】
19競技とオリンピック村1つの計20。
アスリートの姿ではなく、競技用具がメイン。
それぞれの競技に付けられた独自の色が、出版物やチケット、ボランティアのユニフォームや道路標識にも使用され、会場に向かう人たちの利便を図ったという。
マッチ箱にもなる。
【1972年夏季・ミュンヘン】
21競技。
各シルエットは、微細なグリッド上に円と直線で描かれ、水平・垂直・斜め方向の3つの角度で表現されたボディーランゲージアルファベット(頭・胴・腕・脚)を構成。現在もヨクシュ(デザイナー)のデザインはオリンピック以外の場所でも使用されており、世界で最も知られるピクトグラム・システムの1つであるとのこと。
コースターにもなる。
隣の気になるワンコは、公式マスコット「ヴァルディ」。古代バイエルンからの血統を受け継ぐ犬種バセットハウンド。
【1994年冬季・リレハンメル】
ノルウェー北部のロドイ島で発見された4,000年前の岩絵に触発された競技ピクトグラム。
メダルにもなる。
スキージャンプ(金メダル)
バイアスロン(銀メダル)
クロスカントリースキー(銅メダル)
【2004年夏季・アテネ】
古代キクラデス文化の芸術を想起させる。黒絵式の壺の黒とオレンジ、陶器の破片を連想させる不規則な形。
以下、部分。
オリンピック大会は、アスリートたちの闘いの場であるが、一方で、デザイナーたちを含む文化活動の闘いの場でもあった。
2021年の東京オリンピックは、将来に何を残せるのだろうか。