美の法門 -柳宗悦の美思想
2016年1月9日~3月21日
日本民藝館
《築島物語絵巻》展示中と、NHK日曜美術館のアートシーンで知り、日本民藝館を訪問する。
2013年夏の、やはり 《築島物語絵巻》が主役の展覧会「つきしま かるかや-素朴表現の絵巻と説話画」以来の訪問である。
《築島物語絵巻》 16世紀・室町時代 は、2巻10図からなるが、私の訪問日の展示は、上巻の第1図と第2図。この先展示替えがあるかは不明。
「画技を習得しない描き手による、特異な素朴表現を持つ絵画」。
単なる稚拙にとどまらない。
上品である。
よくこういうふうに対象物を描けるものだと思うが、線はしっかりとしている。
当時としては良質な顔料が使われているらしく、色彩が実に綺麗。図版ではわかりづらいが。
大人の見識で子供の腕前。その腕前は、未熟・発展途上ではなく、確立したものである。
【あらすじ】
〈第1図〉
平清盛は、福原遷都後、和田の岬に港のための人工島を造成することとする。
〈第2図〉
近隣の山の岩石を崩し、岬へ運び、海に埋めようとするが、潮の関係で、工事が進まない。(画像は部分)
〈第3~7図〉
工事成就のため三十人の人柱を立てることとし、ある道を通る者たちを捕らえ、投獄する。
父親が人柱に取られたことを知った娘。身代わりになる決意で兵庫に向かう。
〈第8~10図〉
それを知った夫は妻を追う。
人柱の日。身代わりを懇願する夫妻。父親を解放し、残る二十九人は予定どおり沈めることとする。その時、平清盛に仕える松王健児が、一万部の法華経とともに自らが三十人の人柱の身代わりになることを申し出る。
再度の人柱の日。松王健児は、船に乗せられ法華経とともに沈められる。
また、《築島物語絵巻》と同じ展示ケースには、やはり素朴表現の絵巻として知られる《浦島絵巻》が3図公開。(画像は公開対象の部分)
久しぶりの《築島物語絵巻》を堪能する。