大英自然史博物館展
2017年3月18日~6月11日
国立科学博物館
1 博物館サイトより
本展は、大英自然史博物館から始祖鳥をはじめとする至宝約370点を厳選して展示します。ほとんどが日本初公開で、ロンドンで常設展示されているのも17点のみ。貴重な標本を間近に見られる絶好の機会です。
これが、大エルミタージュ美術館展だったら、
本展は、出展される油彩85点すべてがエルミタージュ美術館の常設展示作品、すなわち美術館の顔ともいうべき作品群です。
世界が違う。
2 目玉は「始祖鳥」ロンドン標本
私が本展に関心を持った理由は、「大英」自然史「博物館」というブランドと、「始祖鳥」ロンドン標本の出品。
No.86《始祖鳥》ロンドン標本
ドイツ
ジュラ紀後期、1億4700万年前
1861年、ドイツで発見されたロンドン標本。なお、これまで発見された始祖鳥の化石は全て、ドイツのバイエルン州のゾルンホーフェン近郊の石灰岩堆積物中から出土しているという。
1874年発見のベルリン標本、2005年発表のサーモポリス標本など、
これまでに10個体ほどの標本が発見されていますが、脳と三半規管の形が復元出来るのはこのロンドン標本だけです。
(2004年、ロンドン標本のCTスキャンを使用した研究で復元)
2011年、ロンドン標本が始祖鳥のネオタイプ標本に指定される。新しい化石が始祖鳥に分類されるのかどうかは、まずロンドン標本と比較されることとなった。
ロンドン標本にたいへん満足するが、造形的にはベルリン標本の方が好み(レプリカしか見たことがないけど)。
3 ピルトダウン人
英国で「発見」され20世紀前半期の古人類学研究に多大な悪影響を与え迷走させたという「ピルトダウン人」。2015年国立歴史民俗博物館の「大ニセモノ博覧会」で初めて知る。
1910年前後、アマチュアの考古学者チャールズ・ドーソン(1864-1916)が大英自然史博物館に持ち込んだのがスタート。
当時、1856年のネアンデルタール人、1891年のジャワ原人、1920年代の北京原人やアウストラロピテクス・アフリカヌスなど、各地で様々な進化段階の化石が出土・発見された時代。
懐疑的な見方はあったが、ヒトと類人猿をつなぐもので、人類進化を考えるうえで非常に重要な化石であると考えられた。
その後、1953年に科学分析により、現代人の頭骨と現生のオランウータンの下顎骨を合成した偽物であったと判明。
西洋美術界におけるハン・ファン・メーヘレンによるフェルメール贋作のような事件か。
以降、真犯人(黒幕)究明で諸説紛々、盛り上がり状況のようだ。
偽物の実物を実見できてなんか楽しい。
No.175《ピルトダウン人の頭骨復元》
No.176《ピルトダウン人の頭骨片》
No.177《ピルトダウン人の犬歯》
No.178《ピルトダウン人の下顎骨》
4 整理券での対応
国立科学博物館は、混雑時対策として、 3月22日より整理券での対応を実施している。
特別展の入口付近でチケットを提示すると、15分単位で入場時間が指定された整理券が渡される。
入場制限がない場合は、渡される整理券には即入場可能な時間が記載(←私)。
入場制限中の場合は、記載された時間まで館内(常設展、カフェなど)で自由に時間調整する。入場後の混雑を考えると、入場前の並ぶ時間を減らせるのは有難い。
なお、整理券配布は閉館時刻の2時間前の回までで、その回の配布が終了した時点より、列に並ぶ通常の方式となる。
閉館時刻の30分前までに並ぶと入場可は、今では一般的。
混雑状況、整理券配布情報は、公式Twitterで発信されている。
表の柄は、ネコのミイラ。柄は何種類かあるようだ。
(続く。)