東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「超写実絵画の襲来-ホキ美術館所蔵」(Bunkamuraザ・ミュージアム)

2020年03月24日 | 展覧会(現代美術)
超写実絵画の襲来-ホキ美術館所蔵
2020年3月18日~5月11日
Bunkamuraザ・ミュージアム
 
 
   2010年に写実絵画専門美術館として千葉市緑区に開館したホキ美術館。私も開館してしばらくしてからの時期に一度行ったことがある。
   最寄駅はJR外房線の土岐駅。そこからバス。乗車時間5分とのことだから、徒歩も可能そうではあるけれど、初めての土地では無理せず、1時間に2本のバスを待つ。バスの窓からは造成を待つ土地が広がる。美術館の隣には、緑以外に何もない大きな土地(後日、千葉市の昭和の森という公園だと知る)。よくこんな寂しいところに美術館を作ったものだと思う。今は開発が進んで雰囲気も変わったであろうか。
    しかし何故だか、本ブログには訪問記がない。既に本ブログを始めており、また、そのコレクションを楽しんだ記憶が残っているのだけれど。そのうちまた行こう。自宅から非常に遠いので気合いが要るけれど。
 
 
   と思っていたら、2019年10月25日の台風19号。
   豪雨による水害の影響により、ホキ美術館は休館となる。現在も休館中で、再開時期も未定。再開時期は、再開日の2ヶ月前頃を目処に発表するとのことなので、まだ先のこととなるようである。
 
 
   と思っていたら、Bunkamuraでホキ美術館所蔵品展が開催されるとのこと。
   私の自宅から相応の時間と交通費をかけて千葉市の先まで行かずとも、あの写実絵画コレクションの一部を味わえる。
 
 
   と楽しみにしていたら、臨時休館。
   Bunkamuraは、国立博物館に続いていち早く、2/28からの臨時休館を発表する。国立美術館より1日早い臨時休館入り。「ソール・ライター展」は会期10日を残しての閉幕。大繁華街の渋谷だし、美術館のみならず、コンサートホール、舞台劇場、映画館もある総合的な芸術施設で、美術館単体での判断はできないのかも。臨時休館は長期化するかなあ。
 
 
   と思っていたら、ホキ美術館展は開催。
   当初開幕予定日の3/18と3/19の2日間は休館するが、3連休が始まる3/20からは夜間開館時間帯も含めて通常どおり開館するという。
 
 
   変更後会期の2日目に訪問する。
 
   次の28作家の全68点の出品。
 
森本草介
青木敏郎
中山忠彦
羽田裕
野田弘志
生島浩
磯江毅
石黒賢一郎
五味文彦
島村信之
大矢英雄
小尾修
大畑稔浩
原雅幸
安彦文平
冨所龍人
諏訪敦
藤原秀一
塩谷亮
廣戸絵美
松田一聡
渡抜亮
藤田貴也
三重野慶
山本大貴
松村卓志
鶴友那
小木曽誠
 
   素直に楽しんだのはやはり、若い女性を描いた画。
   出品作は、ヌード画は1点のみ、バルテュス少女風のポーズをした女性の画もあるが、総じておとなしめの選抜。ホキ美術館で見た際はヌード風の画がもっと展示されていた印象。
   それから、緻密に描かれた静物画。
 
   そんな軽い観客の私でもさすがと感じた画家。
 
磯江毅
《地の音》
2000年
    アフリカの古楽器が2種類、それぞれ対になって、埃だらけの古い机の上に置かれている。それだけなのだが、他の出品作とは一線を画す高い芸術性のようなものを感じさせられる。
    1954年生まれの画家は、1974年にスペインに渡り、写実の巨匠アントニオ・ロペスと交流するなどスペイン・リアリズム美術を探求。国内外で高い評価を受ける。日本に完全に拠点を移した矢先の2007年に死去。2011年の練馬区立美術館での回顧展を見ているが、魅力的な作品が並んでいた記憶が残る。
   鳥の死骸を吊って鳥よけとするスペインの習慣を踏まえ、吊られた二羽の鳥を鉛筆と水彩で緻密に描いた《ETPANTAJAROS》も良い。あと《横たわる男》(これは今ひとつピンとこない)と計3点の出品。
 
 
   その他、印象に残るのは、
 
島村信之
《籐寝椅子》
2007年
   籐寝椅子に横たわる「若い女性」を描いた絵。「若い女性」を描いた絵なのだが、この絵の主人公は、隣家の奥様の母親の形見であった、職人技が光る「籐寝椅子」だ、と画家に強く主張されると、高級そうな「籐寝椅子」が主人公のように見えてくる。
 
 
石黒賢一郎
《存在の在処》
2001-2011
   黒板に書かれた文字や画鋲でとめられた紙などの迫真的な写実描写に感嘆させられる一方で、この男性は、定年を迎える高校教師である画家の父親であると聞かされると感慨深くなる。
 
 
諏訪敦
《玉眼(大野慶人立像)》
2018年
   舞踏家を仏像スタイルで描く。が、成功したのかなあ。
 
 
   本展で撮影可能な作品は最後に展示される1点のみ。
 
小曾木誠
《森へ還る》
2017年
    福岡と佐賀の県境、佐賀市富士町にある「下合瀬の桂」と呼ばれる樹齢1000年を超える巨木に、モデル2人を立たせたという作品。それで何?という感じかな。
 
    本展では現在、コインロッカーの閉鎖、筆記用具の貸出の停止などの措置が取られているので、その備えが必要となっている。
 
 
 


2 コメント

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私も興味を持っています。 (てんちゃん)
2020-03-24 13:10:49
最近超写実絵画の話が多く、ホキ美術館は私も興味を持っていて、千葉への出張の際に行こうと思っていたのですが、やはり台風の影響で閉館中でした。

超写実というのは、シュールレアリズムにつながると言われますが、以前礒江さんの作品を見てそう思いました。
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てんちゃん様 ()
2020-03-24 22:10:54
てんちゃん様
コメントありがとうございます。
大変な状況のなか、予定どおり巡回展を準備対応していただいたホキ美術館に感謝です。
再開しましたら、訪問したいと思います。
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