ザ・ビューティフル-英国の唯美主義1860-1900
2014年1月30日~5月6日
三菱一号館美術館
まずは入場すぐの主催者挨拶文。
「三菱一号館美術館における「唯美主義」の展覧会開催について」と題する館長の挨拶文に驚く。
他の2つの挨拶文と比べると、ボリュームが2倍ではきかない。
本展は、ヴィクトリア・アンド・アルバート(V&A)博物館、オルセー美術館、サンフランシスコ美術館で開催された「カルト・オブ・ビューティ(美の崇拝)展」を、「平明」「コンパクト」「独自性」でもって新たに構成したもの。
三菱一号館は、1894年竣工の、ヴィクトリア朝時代に設計教育を受けたコンドルによって設計された建物であり、それを復元した三菱一号館美術館で本展を開催する、というのもポイント。
心して見よう。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点の展示。どんな作品に出会えるのか。
本展の項立ては次のとおり。
序
第1章 芸術のための芸術
・美術職人集団
・新たな美の探求
・攻撃-「詩の肉体派」論争
・遠い過去、遥かなる場所1 ジャポニズム
・遠い過去、遥かなる場所2 古代文化という理想
・ホイッスラーとゴドウィン
・ホイッスラーのエッチング
第2章 唯美主義の流行
・唯美主義とグローヴナー・ギャラリー
・「美しい人々(上流人士)」と唯美主義の肖像画
・ハウス・ビューティフル
・「美術産業作品」-唯美主義デザイナーと営利企業
第3章: 世紀末美術に向かって
・オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺
・「美しい書物(ブック・ビューティフル)」
・唯美主義におけるデカダンス
・輝かしい落日-唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」
なんといっても、ホイッスラー。
テイト美から油彩画≪ノクターン:黒と金-輪転花火≫が出品。
ホイッスラーについては、これまで関心が薄く、どんな作品を見たことがあるのか、オルセー美の母親の肖像を除けば、記憶に残っていないが、今年ホイッスラー展が京都と横浜で開催されると知り、気になりはじめている画家。
今回、音楽用語シリーズの作品1点を見ることができたのは実に幸運。
エッチングも展示されている。
テムズ・セット(3点展示)は、なかなか見応えがある。
ヴェニス・セット(4点展示)やアムステルダム・セット(3点展示)も、観光土産的でもあるが、水辺の街を描いた雰囲気は好みである。
このシリーズも、ホイッスラー展に出品されるか。
本展は、ワッツ≪内奥の世界の住人≫とムーア≪真夏≫で締めくくられる。
出品中止となったムーア≪夢見る人々≫も、これら2点と並んで展示される予定だったのかなあ。