カラヴァッジョ展
2019年12月26日〜20年2月16日
あべのハルカス美術館
カラヴァッジョ
《執筆する聖ヒエロニムス》
1605-06年、116×153cm
ボルゲーゼ美術館
2001年のカラヴァッジョ展以来、19年ぶり2度目の来日、大阪会場限りの出品である。
カラヴァッジョの真筆であることに異論のない作品。しかし、本作品が話題となることはほぼないような印象。画面内に語りたくなるようなドラマ的な要素が少ない、画面外でも制作や来歴に関する逸話が少ない、ということであろうか。
作品は「簡潔」。禿げ頭と骸骨、衣の鮮やかな緋色と布地の白色、痩せた身体と分厚い書物、それらを結ぶ左に長く伸ばされたペンを持つ聖人の右手。落ち着いた対照。良い作品である。
1605年7月末、画家は公証人パスクワーレを襲い、けがを負わせる。訴えられた画家はジェノヴァに逃亡する。その後告訴が取り下げられ、8月末にはローマに戻る。この事件を画家に有利に調停したのがシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿。この年の5月に叔父が教皇パウルス5世として即位したことで、7月に枢機卿になったばかりの27歳である。
本作品は、感謝の印として画家が枢機卿に贈ったとする説が有力である(枢機卿が直接画家に注文したという説もある)。枢機卿が初めて入手したカラヴァッジョ作品である。
以降、本作品はずっとボルゲーゼ家のコレクションにあって、コレクションの国への売却後は、ボルゲーゼ美術館に所蔵されている。
秘匿していたのか模写を許さなかったのか、カラヴァッジョ作品としては珍しく、本作品についてはコピー作品が1点も確認されていないらしい。