東京でカラヴァッジョ 日記

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【後期】「北宋書画精華」(根津美術館)

2023年11月30日 | 展覧会(東洋・アジア美術)
北宋書画精華
2023年11月3日~12月3日
根津美術館
 
 
「きっと伝説になる」
 
 日本で初めての開催だという中国・北宋時代(960〜1127)の書画の展覧会。
 
 11/19放送のNHK日曜美術館「北宋絵画 ベールを脱ぐ中国芸術の最高峰」にて復習&予習。
 
 本展の企画者で、東京大学東洋文化研究所教授の板倉聖哲氏のご説明。
 
 「現代の美術が鑑賞としては一瞬にして分かること(「一瞥」)を大事にしているが、この時代の作品は「凝視」することによって本当のメッセージが伝わるように作られている。」
 
 「凝視」をテーマに、会期最終週に再訪する。
 
 番組で紹介された作品の一つ、《喬松平遠図》李成(款)、三重・澄懐堂美術館蔵 は、展示期間が終了済み。当初は前期(〜11/19)展示予定が、11/23まで延長したようである。
 
 
 
 後期からの展示作品を中心に凝視する。
 
国宝《孔雀明王像》
中国・北宋時代11世紀、京都・仁和寺蔵
 
 大画面に、羽を大きく広げた孔雀の上に置かれた蓮華座に坐す孔雀明王が描かれる。よく分からないながらも、「繊細なグラデーションを伴う彩色が全身にほどこされて」「圧倒的な実在感を誇る」「北宋仏画の名品」を凝視する。
 「一面四臂の像が多い日本の孔雀明王とは異なり、三面六臂像に描かれ、左右面は慈悲相の正面とは対照的に暴悪相に表されている」(京博サイト)。
 
 
《猫図》(伝)徽宗
中国・北宋時代12世紀、個人蔵
 
 期間限定、11/28〜30の3日間の出品となる真ん丸の猫。2014年の三井記念美術館「東山御物の美」展以来9年ぶり2度目の鑑賞。
 余白の少なさやポーズから、一回り大きな画面を切り詰めたと考えられ、本来猫は左下方に描かれた何かを見つめていたのかも、との説明。
 第一展示室の一番人気と想像していたが、それほどでもなく他の作品と変わらない。と思っていたら、閉館直前、本作の前だけに人だかりができている。
 
 
重文《秋塘図》(伝)趙令穣
中国・北宋時代11〜12世紀、大和文華館蔵
 
 水面に遊ぶ鴨が描かれているとの説明だが、単眼鏡でも見えない。図録(見本)の図版で鴨の位置を確認したうえで改めて凝視するも、この辺りらしいところがちょうど皺くっきりの状態で、やはり見えない。少し色の異なる点々がそれっぽい。
 
 
 通期展示では、次の作品を中心に凝視する。
 
 
重文《寒林重汀図》(伝)薫源
中国・五代10世紀、兵庫・黒川古文化研究所蔵
 
 NHK日曜美術館にて、「人物が描かれている、傘をさした人物も描かれている」旨の説明があったが、人物自体が見つけられない。
 「近年の研究で白い顔料が確認され、雪の景であることが分かった」旨の説明もあったが、白い顔料を探し漏れた。
 
 
国宝《弥勒菩薩像》&《霊山変相図》
中国・北宋時代 984年&10世紀、京都・清凉寺蔵
 
 清凉寺の国宝《釈迦如来立像》の像内納入品の一つである版画。
 むろさん様からコメントにてお教えいただいた《霊山変相図》の「中央、釈迦三尊の両側に立つ金剛力士が奈良・東大寺南大門の運慶・快慶作仁王像の元になった画像」に注目する。確かにそうだ。ちょっとくだけた感じの描写という印象。
 
 
《孝経図巻》李公麟
中国・北宋時代1085年頃、メトロポリタン美術館蔵
 
 儒教の聖典のひとつ「孝経」の全18章のうち3章を除いた場面からなる5メートル近い巻物。
 経年劣化により私の目では何が描かれているのか判別しにくく、図版パネルの助けも借りて凝視するが、正直ピンとこないのは前回訪問時と変わらず。
 
 
《五馬図巻》李公麟
中国・北宋時代 11世紀、東京国立博物館蔵
 
 人だかりが凄くてなかなか近づけないが、閉館時刻30分くらい前、少しは小さくなってきたところで加わる。なかなか進まないのも一興。
 5頭の馬とその縄をひく人物の描写の魅力を再認識する。
 
 
 
 会期最終週の平日の会場内は、会期2日目で週末であった前回訪問時より人が多い。中国の方も多いが、NHK日曜美術館の効果だろうか、日本の方の数もかなり増えたようで、異国の美術館にいる感はかなり減少。余談だが、板倉氏らしき方も見かける。
 
 「凝視」をテーマとしたが、結構な人がいるなかで長時間立ち止まりは厳しいので、1回あたりの時間はそこそこに、その分回数を増やして、という形の凝視となる。
 
 結果、中国絵画の魅力に開眼!、には今回も至らず。
 
 さて、この作品のためにもう一度行くか思案中。
 
期間限定展示(12/1〜12/3)
国宝《桃鳩図》徽宗筆
中国・北宋時代 1107年、個人蔵


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