東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「ピーター・ドイグ展」(東京国立近代美術館)

2020年03月10日 | 展覧会(現代美術)
東京国立近代美術館は、2/29から3/15まで臨時休館中です。
 
 
ピーター・ドイグ展
2020年2月26日〜6月14日
東京国立近代美術館
 
   1959年スコットランド生まれの画家ピーター・ドイグの日本初個展。初めて知る名前だが、しばしば「画家中の画家」と評されるらしい。現代のベラスケスですか?
   結果として臨時休館前の駆け込み訪問となる。
 
   私は音声ガイドを使わない派である。鑑賞コストを抑制したいというのが一番大きな理由だが、イアホンで耳を塞ぐのは自分の世界に閉じこもる感があって苦手なこともある。追加料金不要で鑑賞者がほぼ全員使用していたフェルメール展(石原さとみさん)やバスキア展(吉岡里帆さん)などを除くと、音声ガイドを借りたのは、これまで2015年のグエルチーノ展のみで、今回のピーター・ドイグ展(のんさん)が5年ぶり2度目。ふんわりした癒し系の声はナビゲーター向きだと思うが、固い専門用語が続く場面ではこの手の声は不利かも。本展企画者で当館主任研究員の桝田氏による特別解説もある。
   眼鏡+マスク+音声ガイドで完全閉じこもり状態での鑑賞。さらにiPhoneでの撮影(本展は全点の撮影が可能とは知らずに訪問)。出品作の多くが大型サイズの作品で良かった。なんでも開催にあたってはそのサイズに起因した輸送費確保が課題であったとのこと。
 
 
本展の構成
1章:森の奥へ  1986年〜2002年
2章:海辺で   2002年〜
3章:スタジオフィルムクラブ - コミュニティとしてのスタジオフィルムクラブ   2003年〜
 
   出品数は、1〜2章に約30点の大型(一辺2〜3メートル級)油彩画を中心とする作品、および3章に約40点の油彩スケッチ。
   音声ガイドの解説対象作品は10点。その10点のうち6点の画像を掲載する。
 
 
 
《のまれる》
1990年、台湾・ヤゲオ財団コレクション
   水面に浮かぶ小舟とそこに力なく横たわる1人の人物のイメージは、映画「13日の金曜日」(見たこと無し)の最後のシーンに由来するとのこと。
 
 
 
《スキージャケット》
1994年、テート
   トロントの新聞に掲載された日本のスキーリゾートの広告写真を参照して描いたとのこと。
 
 
 
《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》
2000-02年、シカゴ美術館
 
   ドイツのダム湖を写した古い白黒の絵はがきを参照して描いたとのこと。また、人物の姿は、ドイグの学生時代、英国国立歌劇場の衣装係として働いていた際に撮った写真に由来しているとのこと。
 
 
 
   2002年から活動拠点をロンドンからトリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインに移す。
 
 
 
《ペリカン(スタッグ)》
2003年、個人蔵
 
   画家がリゾートを楽しんでいる時に遭遇したペリカンを狩猟する一人の男の記憶をもとに描いたとのこと。
 
 
 
《ラペイルーズの壁》
2004年、ニューヨーク近代美術館
   ポート・オブ・スペインの中心地にあるラペイルーズ墓地の壁沿いを歩くパラソルの男。小津安二郎の映画「東京物語」(見たこと無し)における計算された静けさも念頭に置いていたとのこと。
 
 
 
《ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)》
2015年、作家蔵
   建物はイギリス植民地時代にポート・オブ・スペインの中心部に建てられた拘置所/監獄がもととなっているとのこと。また、街中を徘徊するライオンは、アフリカを出自に持つ人々の地位向上を目指すラスタファリ運動の象徴としてカリブ諸国に流布しているユダの獅子に由来しているとのこと。
 
 
 
   わずか3日間の開催で臨時休館入りした本展。
   「画家の中の画家」たる所以、今回はその魅力をよく消化できなかったので、再開館したら、マスク&音声ガイドなしで再チャレンジしたい。

 



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