高野光正コレクション
発見された日本の風景
2023年8月17日〜9月3日
日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
2021〜23年にかけて、京都、東京、愛媛、長野の4会場を巡回した高野光正コレクション展。
私は、東京会場である府中市美術館で見た。
府中では、展覧会の名称も、章構成も、他の3会場とは異なっていて、出品点数は360点余りと京都会場の280点余りを大きく上回り、大変なボリュームであった。
2023年8〜9月に日本橋高島屋と大阪高島屋を巡回する第2弾は、出品点数は110点余りと、府中に比べると3分の1。それでいて、入場料(当日一般)は、府中の700円に対して、高島屋は1200円。
ただ、1度に見るには高島屋くらいのボリュームがちょうどよいのかもしれない。
今年2023年は、国立西洋美術館とSOMPO美術館にてフランス・ブルターニュのイメージを、国立西洋美術館にてスペインのイメージを主題とする展覧会が開催された。
本展は、日本のイメージを主題とする展覧会と言えるだろうか。
欧米人に対して日本のイメージを伝えた美術品として、まず浮かぶのは、浮世絵。
次に、本展出品作品群のような、「西洋の画法」を学んだ日本人画家が、「外から見るかのように、外へ見せるために」日本の風景や風俗を描いた作品。
欧米人が見たい日本、欧米人に売るための日本を、日本に滞在した外国人画家やその影響を受けた日本人画家が描いた作品群。
当時の日本人から見れば違和感しかなかったのだろうけれども、現代の日本人から見ると、エキゾティック、懐かしい、やさしい、美しい、となるのだろう。
【本展の構成】
序章 明治洋画史を眺める 12点
1章 明治の日本を行く 54点
2章 人々の暮らしを見る 36点
3章 花に満たされる 13点
笠木次郎吉の水彩画は、本展には11点出品されているが、うち10点は府中でも見た記憶が残っている。
油彩であるかのような濃さ、インパクトがある作品群。
笠木は、外国人向けに制作し、その作品が国内に残らなかったことで、その名も作品も全く忘れられていたが、高野氏による収集と調査によりその存在が明らかになり、その後の研究につながったという。
笠木以外の作品は、府中の記憶はほとんど残っていないが、拙ブログ記事を確認すると、概ね同じ作品に反応しているのが面白い。
本展解説によると、「子守りをする子ども」、年長の子どもが小さい子どもを背負う姿などは、当たり前の光景で、江戸時代にはほとんど描かれることはなかったが、日本に来た外国人により、画題として発見されたのだという。
そのような視点でも楽しみたいところ。
府中鑑賞時の記事