関東大震災と東京国立博物館
2023年7月11日〜9月3日
東京国立博物館本館特別2室
【被害の実態と被災した文化財】
震災によって、当館でも展示施設の損壊や収蔵品の破損などの被害があり、一時閉館せざるを得ませんでした。
とくに、明治14年(1881)に完成したジョサイア・コンドル設計による煉瓦造の第1号館(旧本館)は、正面玄関部分が大きく崩落して使用不可能となり、のちに取り壊されました。
地震発生時は開館中でしたが、幸いなことに死傷者はいませんでした。
収蔵品の被害は、御物が9件、寄託品が国宝(旧国宝)2件を含む39件、所蔵品が89件にのぼりました。
展示室の被害状況写真にみえる展示品の一部は、修復されて現存しています。
震災の翌年4月、博物館は一般公開を再開します。展示施設は唯一無事だった表慶館に限られました。
そして大正14年(1925)、震災によって収蔵品のほとんどを失った東京博物館(現 国立科学博物館)に天産(自然史)資料を譲渡したことで、歴史・美術博物館としての性格を明確にしました。
さらに、特別展の開催や調査研究成果の刊行、講演会や展示解説の実施など、困難な状況のなかにあって、意欲的な博物館活動を展開しました。
死傷者はいなかった、というのは素晴らしい。
収蔵品の被害も「軽少」と評価できる程度で済んだようだ。
しかし、建物の被害は、表慶館以外の陳列館(第1〜3号館)が使用不可となるなど大きかった。
《東京帝室博物館被災関連写真》
以下、展示9点の全画像。
震災後、旧本館前で撮られた職員の写真。
職員11名の氏名も記載されている。
【後日追加】
以上は8/6まで展示。以下、8/8から入替展示の9点。
続いて、被害を受けた収蔵品の展示。
被害状況を撮った写真パネルとともに5選。
《馬型埴輪》古墳時代・6世紀は、
もともと胴部の一部や脚はなかったが、
展示ケースを突き破り、ケース外に落下。
残存幅約118cmと大型で重量があった。
《子持装飾付脚付壺》古墳時代・6世紀は、
転倒し、口縁部がケースと接触して破損(現在は修復済み)。
《如来立像》飛鳥時代・7世紀、法隆寺献納宝物は、
大きな揺れで転倒。
立像は重点が高いため、多くが転倒したという。確かに周りも転倒している。
江戸時代の衣装を着せつけ、歴史風俗展示を行っていた三代安本亀八作「生人形」男女各1体、明治時代・20世紀は、
ケース内で、二人の生人形はなんとか耐えて立ち姿を保っているように見える。
一方、その周りには、倒れて破損したらしい哀れな姿の生人形たちが・・・。
仁清《銹絵山水図水差》江戸時代・17世紀は、
破損。
【本企画の構成】
・関東大震災と上野公園
・被害の実態と被災した文化財
・復興本館の建設
・文化財の模写・模造
・東京国立博物館での防災対策
・文化財防災への取り組み
-文化財防災センターの設置と活動-
本企画では、2021年12月に実施された、世界最大規模の震動実験施設「Eディフェンス」(兵庫県三木市)を利用した、博物館や美術館の地震被害を想定した初めての実験の様子が映像紹介されている。
Eディフェンスで耐震研究を進める国立開発研究法人防災科学技術研究所と、東京国立博物館や文化財防災センターが協力したもの。
再現した展示室を、阪神淡路大震災および熊本地震並みに揺らせ、展示品や展示設備への衝撃を見せる。