東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

南蛮美術の光と影(サントリー美術館)

2011年11月27日 | 展覧会(日本美術)

南蛮美術の光と影 -泰西王侯騎馬図屏風の謎-  
2011年10月26日~12月4日 
サントリー美術館


展示替のタイミングを見計らって2回訪問。
非常に満足度の高い展覧会となりました。


その理由は、長い間見たかった絵画を実見できたこと。


その1つが、神戸市立博物館所蔵の「聖フランシスコ・ザビエル像」。
教科書でお馴染みだった作品。ようやく実物を拝むことができました(東京では12年振りの公開とのこと)。
想像していたより色彩が鮮やかで、ポップな感じが非常に印象的。


もう1つが、ローマ・ジェズ教会の3枚の殉教画。
若桑みどり氏の「クワトロ・ラガッツィ」でその存在を初めて知り、その後書籍で何度か図版を見かけました。
過去に来日歴があることを知り、次の来日を心待ちにしていた作品です。


「元和五年、長崎大殉教図」
「元和八年、長崎大殉教図」
「日本イエズス会士殉教図」


アクリル板(?)1枚で隔たれているだけなので、間近で隅々までじっくりと鑑賞することができます。


特にすごいのが、「元和八年、長崎大殉教図」。
処刑する側、処刑される側、その周りで嘆き悲しみながら祈る人たち。
絵のレベルはともかく、その緊迫感には圧倒されるばかり。長く足を止めてしましました。
実際に処刑の場面を見た日本人が禁教後に逃れたマカオにて制作したものだろうとのことです。

 

ほかにも印象的な作品が多数。


第1章の南蛮屏風。
会場のキャプションによると、南蛮人を「福の神」、南蛮船を「宝船」、南蛮屏風を「縁起物」とみなしたため、キリスト教弾圧後も宗教的要素を消しつつ、南蛮屏風の制作が続けられていたとのこと。
なるほど「縁起物」かと、そう思って気楽に見ると、細かな描写が実に楽しい。


南蛮屏風の現存数約90点(キャプションによる)のうち、本会場では(展示替を含め)では10点が展示されています。
長く眺めたのは。
作品番号4のサントリー美術館作品、7の宮内庁三の丸尚蔵館作品(1回目訪問時)。
3の神戸市立博物館作品、6の南蛮文化館作品(2回目訪問時)。
それから、屏風ではないですが、作品番号14のやまと絵による「万国人物図」。この時代のやまと絵は結構私の好みのようです。


第2章「聖画の到来」。展示された聖画がインパクト大。


欧州や南米で制作され日本に持ち込まれた、あるいは日本にて日本人の手で制作された聖画たち。
禁教時代を秘かに生き延びて、明治以降に奇跡的に発見される、そのエピソードの豊かさ。
作品の保存状態のよろしくなさが、奇跡さの度合いを物語っています。
当時、もう日の目を見ることはないかもしれないとおもいつつ奥深く作品を隠した人たちは、今日の状況を想像すらできなたっかでしょう。
こうして鑑賞することができるのをありがたく感ずるばかりです。


2点の泰西王侯騎馬図屏風の揃い踏みが本展の目玉ですが、それ以外のところでたくさん楽しみました。



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