幻想絶佳:アール・デコと古典主義
2015年1月17日~4月7日
東京都庭園美術館
2014年11月のリニューアルオープン後、初めての訪問。
本展は、アール・デコ様式の旧朝香宮邸を最大限活かした東京都庭園美術館らしい企画。
本館。
アール・デコ様式の内装をみせることをメインに、展覧会としての出品作品は、数を控えめに、調度品のように配置されている。
そのため、展覧会出品作品よりもむしろ、部屋の内装に注目してしまう。
1室だけ、撮影可能な部屋がある。
2階の妃殿下居間。当館所蔵作からの「インスピレーションによる妃殿下のティー・タイムのセッティング」が展示。
新館のギャラリー1。
展覧会一般的なホワイト・キューブ仕様。
名前を聞いたことがない、画風も奇妙で馴染みのない、画家・彫刻家たちの作品が並ぶ。
本展のメイン・ビジュアル、ウジェーヌ・ロベール・プゲオン ≪蛇≫もここにある。
なんでも、パリ国立美術学校(アカデミー)で学び、ローマ賞を受けて、ローマのヴィラ・メディチで学んだ、いわばエリートであって、博覧会や各種建築、豪華客船などの大型装飾プロジェクトに多く携わった、両大戦間期におけるフランスの花形芸術家であったらしい。
当時、エコール・ド・パリの画家やピカソ、マティス、バルテュスなどが活躍していたが、世間的にはこちらのほうが「芸術」だったのかなあ。
アール・ヌーヴォーにもアール・デコにも特段関心を持ったことがない私には、今回の展示作品についての感想は特段ない。
ただ、旧朝香宮邸。
これまでの東京都庭園美術館への訪問は、もっぱら展覧会観賞のためで、建物公開!時には訪問したことがなく、展覧会時の館内は展覧会仕様になるので、本来の内装を(見ようと思えばある程度見れただろうが)意識して見たことはないに等しい私、随分遅いけれども、その魅力に触れられた。
また、今回、長年の持病であるカラヴァッジョ展病(東京都庭園美術館で展覧会を鑑賞していると、ふとカラヴァッジョ展の展示風景が思い浮かび、妙に切ない気分になる)は現れず。本来の旧朝香邸の内装に触れた効果か、それとも単に時間が癒してくれたのか。
<展覧会サイトより>
アール・ヌーヴォーに人々が退屈し、ドイツやオーストリアから新しいデザインの潮流が押し寄せてきた1910 年前後、フランスの装飾美術界では自らの伝統に立ち返った「新様式」を模索する動きが生まれました。その下敷きとなったのは、彫刻家ブールデルや画家のモーリス・ドニ、アンドレ・ドラン、そしてピカソらも新しい可能性を見いだした古典主義でした。
第一次世界大戦によって約10 年も実施が遅れたアール・デコ博覧会は、1925 年にようやく開かれ、アンリ・ラパンら装飾美術家協会による《フランス大使館》とリュールマンの《コレクター館》では、モダンに洗練された古典主義のアール・デコ様式として成熟した姿を現します。1933 年に建てられた朝香宮邸でも、内装デザインを担当したアンリ・ラパンは静謐さと祝祭性、優雅さと安らぎの両面を表現するためにこのスタイルを選択しました。
本展はアール・デコにおける朝香宮邸の位置づけを明らかにしながら、古典主義のアール・デコ作家たちの豊かなイマジネーションから生まれた世界-幻想絶佳-を、フランスの美術館所蔵品を中心とした33 作家による家具、磁器、銀器、ガラス、ドレス、絵画、彫刻など、80 余点の作品から紹介します。
<謎の芸術家たち>
ジョルジュ・ポール・ルルー
Georges Paul Leroux
ジャン・デュパ
Jean Théodore Dupas
ルイ・ビヨテ
Louis Billotey
ロベール・プゲオン
Eugène-Robert Poughéon
ジャン・デピュジョル
Jean Despujols
アンドレ・メール
André Maire
アルフレッド・クーム
Alfred Courmes
カルロ・サラベゾール
Carlo Sarrabezolles
アンリ・ブシャール
Henri Bouchard
アルフレッド・ジャニオ
Alfred Auguste Janniot
レイモン・ドラマール
Raymond Delamarre