オルセー美術館展 印象派の誕生-描くことの自由
2014年7月9日~10月20日
国立新美術館
2014年のオルセー美術館展、「印象派の誕生」の私のお気に入りベスト3
・カイユボット≪床に鉋をかける人々≫
・バジール≪バジールのアトリエ、ラ・コンダミンヌ通り≫
・バジール≪家族の集い≫
以下、バジール≪バジールのアトリエ、ラ・コンダミンヌ通り≫を見る。
1870年作、印象派の揺籃期、印象派の画家たちの交流を示す1枚。
舞台はバジールのアトリエ。バジールは、画面中央に立つ長身の人物。だが、バジール自身が描いたのではない。
アトリエにやってきたマネが描き加えたらしい。おかげで、画面中央の現在論評中の作品が隠れてしまった。
画面の登場人物。
画面に描き込まれた絵。
これらは、吉川節子著『印象派の誕生』に基づく。
バジールは、1841年12月6日、南仏モンペリエの裕福な(葡萄酒醸造業)家庭に生まれる。
1862年、医学の勉強のためパリにきたが、やがて画業に専念。
モネやルノワールを経済的に支援したことで有名。
1870年、裕福にもかかわらず普仏戦争に従軍し、11月28日戦死。享年28歳。
よって、1874年開催の第1回印象派展に参加していない。
若くしてなくなったため、現存する油彩画は70点程度と少ないらしい。
画家の故郷、モンペリエのファーブル美術館が、バジールや交流のあった画家の作品を多数所蔵している。画家の父親が、息子の死後、絵を集め、それが後に寄贈されたということらしい。
同美術館改装中の2005年に、ファーブル美術館展が日本で開催された(東京では損保ジャパン東郷青児美術館)。私も見に行ったが、クールベ≪出会い、こんにちはクールベさん≫狙いであり、それ以外の作品は印象に残っていない。バジールの作品は、前述の絵に描かれたものも含め、4~5点展示されたようで、今から思えば絶好の機会を生かせなかった。
バジール≪家族の集い≫1867年
画家の母親と叔母を中心として、一族が夏の別荘(母親の実家)に集まる。画家本人も左隅にいる。
記念写真のようなモデルたちのこちら側への強い視線が印象的である。
初期の印象派らしい固めの描写。モネもルノワールもこんな感じからスタートしている。バジールがもう少し長生きしていれば、どんな作風を展開しただろうか。