レオポルド美術館 エゴン・シーレ展
ウィーンが生んだ若き天才
2023年1月26日~4月9日
東京都美術館
出品作より、エゴン・シーレの自画像3選。
エゴン・シーレ
《抒情詩人(自画像)》
1911年、80.5×80cm
全体が褐色で塗られ、照明で光って見づらい画面。
描かれているのは画家本人で、正方形の箱に無理矢理収めるためか、首をえらくねじ曲げている。頭部の背後の白い光が斧のような形をしていて、その後光により首を切り落とされたかのようでもある。
背景と一体化した褐色の上着を着ているが、ほぼ裸の姿であるらしく、陰茎が見える。画面斜めに走る肌色は腹部だが、陰茎の形となっている。
エゴン・シーレ
《自分を見つめる人II(死と男)》
1911年、80.5×80cm
本作も、全体が褐色で塗られ、照明で光って見づらい画面。
目を閉じた中央の人物は、画家自身。
その背後に寄り添う人物は、亡霊のようだが、画家自身であるという。二重自画像。
下から突き出る手が描かれているが、その手はこの2人の人物のものではないという。
さらに、画面右側には、巨大な顔が描かれているとのこと。褐色の画面が光って判別できない、と思っていたら、ミュージアムショップにある本作のポスターでは、大きな横顔がはっきりと分かる。展示室に戻って実物を眺めるが、今ひとつ判別しきれない。上記画像ではどうだろうか。
エゴン・シーレ
《悲しみの女》
1912年、42.5×34cm
女性のモデルは、当時、画家の恋人でありモデルである4歳年下のワリー・ノイツェルとされる。
女性の顔は青白く、頬はやせこけ、眼は涙にくもっている。
背後に描かれる男性の頭部、この男性は画家自身。
女性の悲しみの原因は、背後の男性との関係にあることを表している。その後の2人の関係を暗示しているようである。
なお、ワリー本人は赤毛で碧眼であったのに、本作の女性は黒毛・黒眼で、逆に男性が赤毛であり、互いの特徴を入れ替えて描いたのかもしれないという。
この3点制作当時の画家は21〜22歳。
独自の表現主義の真っ只中で、拘り感、拗らせ感が半端ない。