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藝大コレクション展2019(東京藝術大学大学美術館)

2019年05月03日 | 展覧会(日本美術)
藝大コレクション展2019
第1期:2019年4月6日〜5月6日
第2期:2019年5月14日〜6月16日
東京藝術大学大学美術館
 
   藝大春のコレクション展の第1期に行く。
 
 
   第1期の目玉は、池大雅《富士十二景図》の全12幅展示。
   所在不明であった九月の幅が昨年再発見されて藝大美の収蔵となったことを記念し、藝大美所蔵8幅と兵庫県芦屋市にある滴翠美術館所蔵4幅が展示されるもの。
   面白いのは、他11幅にはある「雨垂れのような滲み」が、再発見の幅にはないこと。他の11ヶ月は雨続き(雨だと富士は見えないけど)に対し、9月だけはなんとか晴れ間が見えました、という感じ。修復により除去されたらしい。


   個人的には「イギリスに学んだ画家たち」コーナー(通期)。
 
   高木背水が模写したロセッティ《ベアタ・ベアトリクス(婦人図)》。
   ロンドン・ナショナル・ギャラリーやヴィクトリア&アルバート博物館でひたすら模写を繰り返して独学で油彩画法を習得したという原撫松の《裸婦》および《バイオリンを弾く男》。第2期にはレンブラント「使徒パウロ」の模写が出るようだ。
   ホイッスラーのノクターンシリーズそっくりの南薫造《夜景》。
(なお、本コーナー外であるが模写作品ということでは、ルーヴル美術館にて岡田三郎助が模写したホルバイン(子)「カンタベリー大司教ウィリアム・ウォーラム像」も展示。 )
 
   そして、気になったのが、フローラ・ライオンというイギリスの女性画家。
   1878年ロンドン生、1958年ロンドン没。肖像画家として成功した画家。
   社会的地位の高い人物の肖像画を主に、本展出品作《母子》のような作品も手掛け人気を博したようだが、解説によると、第一次大戦中にイギリスの情報省からの注文により国内戦線における工場の情景を描いたという。どんな作品なのか確認する。
 
(参考画像2点:本展出品作ではない)
Women's Canteen at Phoenix Works, Bradford
1918年
 
Building Flying Boats
1918年
   いずれもイギリス帝国戦争博物館所蔵。
 
 
   名品コーナーでは、藝大美の定番、高橋由一の重文《鮭》を主に見る。
 
 
   5/14からの第2期では、「池大雅」コーナーが退場し、「起立工商会社工芸図案」と「東京美術学校日本画科の風景画」コーナーが登場する。「イギリスに学んだ画家たち」コーナーは通期(一部入替えあり)。
 
 
   本展は地下2階の展示室1のみのコンパクト展示。その分観覧料も一般430円と抑えめ。カラー版8頁の解説パンフレットも追加料金なしで無料配布される。
 


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