隠れ家-かけらの世界-

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「パジャマの少年」は、ブルーノ、きみのことだったのか~映画 「縞模様のパジャマの少年」

2010年03月28日 00時09分48秒 | 映画レビュー
縞模様のパジャマの少年」 (2008年 イギリス/アメリカ)
“THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS”

監督 マーク・ハーマン
出演 エイサ・バターフィールド/ジャック・スキャンロン/デヴィッド・シューリス/ヴェラ・ファーミガ/アンバー・ビーティ/リチャード・ジョンソン/シーラ・ハンコック


 はじめて「禁じられた遊び」を観たときに通じる衝撃。
 映画のコピーや感想に「友情」という単語が踊っていたけれど、その二文字で表してしまうとなんだか違う気がしてしまう。
 二人の少年(ドイツ人少年ブルーノとユダヤ人少年シュムール)の目が、今を生きる私たちに何かを訴えている。無垢で無知であるがゆえに、その目は限りなく真実を見ているということか。
 ドイツ純血主義を教える家庭教師のユダヤ人差別の言葉の数々と塀の中にいる友の姿にどうしても違和感を抱くブルーノが、「キミのお父さんはいい人?」と尋ねるところに、人として生きるいちばんの大事なポイントがあるように思える。自分の目で見たものを信じる…。一方、姉はまた違った意味で純粋であるがゆえに、歪んだ愛国心を育てていくことになる。さりげなく描かれているけれど、これもとても怖い。
 少年の母は理想的な軍人の妻であり、ユダヤ人差別をどこかで受け入れているはずだったのに、夫の勤務する収容所で行われているのがユダヤ人の強制労働ではなく虐殺であることを知ってからは、立派な軍人の妻を演じられなくなっていく。
 その果ての破綻…。
 冒険者であるブルーノがためらいもなく忍び込んだ塀の中の世界。まさか、再び帰ることができなかったとは。追い立てられるように、まるでドキュメンタリーのように、なんの感傷のなく事が進んでいくさまの恐ろしさ。
 「THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS」はもちろんユダヤ人の少年シュムールのことだと思っていたけれど、これはブルーノのことだったのか?
 ガス室の前でわが子の名前を叫ぶ父親(将校で、収容所の所長)。悲しいシーンであるはずなのに、なんて愚かな…と、一瞬吐きそうなほどその父親を嫌悪していた。
 いつも何かを問いかけ、何かを探ろうとしているまっすぐなブルーノの目が心に焼きついている。その「?」の気持ちが彼を塀の中へ誘い込んだのだ。

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