2024.07.26(金)
熱気に包まれた街。
ATMの前で人を待っていたら、脳性麻痺と思われる男性が杖1本を頼りに不安定な歩行を続けていた。
不随意運動が見られたのでそう判断したけれど、そうではない障害かもしれない。
この暑さの中、一人で歩くのにどれだけのエネルギーが必要だろうか。
足が微妙に絡むような歩行に、もしここで彼が転倒するようなことがあったら、私はどうすればいいだろうか、とふと想像する。
何年か前、知り合いの友人の脳性麻痺の男性に尋ねたことがある。彼は発語にも障害があったが、こちらが余裕をもってゆっくりと対応すると、発言の内容を八割方理解することができた。
そのとき彼は、「突然からだに触れられると怖いので、『何かできることがありますか』『どうすればいいか教えてください』というようにゆっくりと尋ねてほしい」と言っていた。
そんなことを思い出していたら、その男性は、私の前を何ごともなく通り過ぎていった。
2、3分ですむところを倍以上の時間をかけて、今にも転倒しそうなのに、でもしっかりと一歩一歩進む姿は、とてつもなく力強く見えた。彼はきっと、もう何年も何十年もあんなふうに一人で、そしてできれば時には誰かの助けを借りて、街を歩いている。
街には、誰にも認識されないドラマが無数に転がっているのだろう。
★『ミライヘキミト。』にスピッツ「青い車」
人生のさまざまなポイントで転機を迎えた「彼女たち」を取り巻く家族の物語・・・とあります。
脚本・監督:ウエダアツシ
出演:川島鈴遥/平祐奈/西田尚美/斉藤陽一郎/福山翔大/福松凜/カトウシンスケ/浅田美代子
『ミライヘキミト。』本予告|マイナビ50周年記念 オリジナルWEB映画
エンディングテーマに、スピッツのほぼ30年前の楽曲「青い車」。
歌詞からさまざまなシチュエーションが想像されて、単に疾走感のある爽やかな曲ではないのかもしれないけれど、この予告編のように突然曲が流れると、心の中に凛とした気持ちのいい風が吹くのは、なぜなんだろう。
これがスピッツ!と言える所以?
明日は母の施設でケアマネジャーさんと話す。
食事や日々の暮らしへの意欲の衰えが見えるここ一か月あまりの母。
施設にコロナ陽性者が出て、2週間ほど面会ができない状態が続いていたが、その間にも母の状態はかすかに下降線をたどる。
それでも毎日しっかりと車椅子に座って暮らすことは、母の矜持なのかもしれない。大げさな表現だが、母にはふさわしい。
娘としての思いではなく、母がかつて希望していた自分のゆく道を進めるように、母の思いをくみとり想像し守ることが私のこれからの役目。
蝉の声が元気だ。ひたすら元気。
私は見ていないけれど、ドラマ『スカイキャッスル』のロケに使われているらしい。
今日の夕方、ちょっと煙って見えた景色。