2024.07.28
ロック大陸漫遊記
TOKYO FM
「ごきげんいかがでしょうか。改めまして草野でございます。7月最終週、8月へ。心に余裕がある方も、意外とギリギリな方も、ちょっとした息抜きにしていただけたら幸いです」
そして今週は、【初期UKパンクの隠れた名曲で漫遊記】。
これまでロック大陸で特集したクラッシュ、ダムド、ジャム、バズコックス、シャム69、ジェネレーションX、よくかけるセックス・ピストルズとか以外の、「やや知名度低めのバンド」で特集。
「ワタクシ好みでパワーポップ寄りのバンドがちょっと多いかもしれません」
オンエア
01 ほのほ(スピッツ)
02 Answers(Neon Hearts)
03 Hong Kong Garden(Siouxsie and the Banshees)
04 Another Girl, Another Planet(The Only Ones)
05 Fairytale in the Supermarket(The Raincoats)
06 Identity(X-Ray Spex)
07 Situations(Slaughter & The Dogs)
08 Danger Signs(Penetration)
09 I'm Alive(999)
10 缶ビールとスウェードシューズ(CRACK THE MARIAN)
漫遊前の1曲は、スピッツで「ほのほ」(2005年、11thアルバム『スーベニア』)。
先日の「スピッツ アルバム1曲目」の特集(ココ)で、「春の歌」にまつわるエピソードが紹介された。
この「ほのほ」はそのときの「春の歌」の補欠的な曲だったそうで、「でも、これも改めて聴くと、キャッチーで良くない?と自画自賛ですが」
(すごく好きです。もっともっとライブで聴きたいと願っております)
そして最初の曲は、「イングランド中西部ウーバーハンプトンのパンクバンド」、Neon Heartsの「Answers」(1978年、メジャーデビューシングル)。
「知る人ぞ知る」のイギリスの初期のパンクバンド。「サックスがいい味を出しています」」
アルバムを1枚しかリリースしていないので、「知名度は低め」。
でもスピッツがアマチュアのときに新宿のライブハウスJAMで対バンしたバンドの曲の「元ネタだったんだよね。すっごいカッコいい曲だなと思って」と、軽く口ずさんでくれる。
あとでレコードを聴いて、なるほど~と思ったんですね。「あの頃はこういうの、多かった気がする。80年代後半って、こういう雰囲気の曲をやってるバンド、多かったですね~」
(耳にも体にもいい感じの曲ですよね)
次の曲は、Siouxsie and the Bansheesの「Hong Kong Garden」(1978年、デビューシングル)。
Siouxsie and the Bansheesを「スジバンって呼んでましたね、オレらの間では、略して」。
スジバンは、スージー・スーさんのバンド。スージー・スーさんは最初、「セックス・ピストルズの取り巻きをして名前が知られて」、その後自分のバンドでは「今で言うゴスなスタイルでやっていました。ゴシックロックのさきがけのような方」。
Siouxsie and the Bansheesの1stアルバムを新宿のレコード店で購入した草野くん。そのころ住んでいた府中に帰る途中、電車の網棚に忘れてしまった・・・。
新宿の忘れ物センター(京王線?)に電話して次の日の取りに行った・・・という「どうでもいいエピソードがありますね」。
「余談ですが、イントロが『天才バカボン』のイントロにちょっと似てるんですよね」
(こんなバンドです)
Siouxsie And The Banshees - Israel (Official Music Video)
次は、The Only Onesの「Another Girl, Another Planet」(1978年、デビューアルバム『The Only Ones』)。
このバンドは、「パンクのカテゴリーではないかもしれないが、バズコックスの影響を受けていたらしいので、選んでみました」。
この曲は、「パワーポップの名曲として知られているかもしれないですね」。
ロックでは定番のコード進行をZO-3で弾いてくれて、「ホントにとく使われているんですけど」とスピッツの「ハネモノ」のサビを。
そんな定番のコード進行の曲の中でも「トップクラスの胸キュンの曲だと思います。甘えた感じのボーカルのせいかも」。
The Only Ones - Another Girl, Another Planet (Video)
曲終わりで、「このあたりのジャンルに詳しい方は、『全然隠れてないよ~』と言うかもしれないですが、そのへんはご了承ください」と。
次は、The Raincoatsの「Fairytale in the Supermarket」(1978年、デビューシングル)
マッチョイズム寄りだったハードロックと違って、パンクのムーブメントは女性のアーティストが多い。
先ほどのスージー・スーさんをはじめ、その後のロックにかなり大きな影響を与えた(メンバー全員が女性の)スリッツというバンドもいた。そのスリッツに影響されて始めたのが女性によるThe Raincoatsというパンクバンド。
前衛的なスリッツよりちょっとポップ寄りで、サウンドとしてはバイオリンが特徴。
このスリッツやThe Raincoatsが日本ではゼルダ、アメリカではカート・コバーンのオルタナ・グランジ勢に大きな影響を与えることになる。「カートさんはThe Raincoatsのファンでしたからね」
The Raincoats - "Go Away" and "No Side to Fall In" live
次は、X-Ray Spexの「Identity」(1978年、デビューアルバム『Germfree Adolescents X光線と発泡スチロール』)。
草野くんは学生時代に、西新宿のレコード店で手に入れた70年代パンクロックバンドのオムニバスのアルバムで、このバンドを知った。「この曲がA面1曲目だった気がする」
サックスの音が肝のバンドで、「当時はサックスの音が入ってるのがダサイと思ったんだよね。だけど、今聴くと、演奏もタイトだしボーカルのポリー・スタイリーンさんの歌声も非常に独特で、サック入りのアレンジも含めてクセになるかな。好みも変わってきちゃったという気がします」と。
(ああ、なるほど。若いときはサックス入りがダサイと思った・・・あたりはわかる気がしますね)
メッセージコーナー。
『SPITZ,NOW! 〜ロック大陸の物語展〜』に申し込んだリスナーさんから。「親父バンドを組んでいる夫のような還暦男子も喜びそうな楽器の展示なども!と。
「そうなんですよ、やるんですよ、大展覧会」と。
「今までのスピッツのあれこれを一堂に展示したりもする」し、ライブVR体験(「コレ、オレも見たんですけど、結構エグイことになっていて」、ステージに立ってる!と体験ができるらしい)、楽器の展示、ロック大陸のブースの再現などもあり。
「この番組ともなるべくリンクさせていく予定」ですので、「ぜひ楽しみになさってください。オレも楽しみにしています」と。
次は、「知る人ぞ知る、というバンドでしょうか」、Slaughter & The Dogsの「Situations」(1989年にリリース)。
マンチェスター出身で、「見た目もオシャレなパンクス」。
この「Situations」は「すごいカッコいい曲なんです」が、レコーディング後、一時お蔵入りして、11年後の1989年にリリースされて話題になった。
キャッチーな曲なので、お蔵入りせずにリリースされていたら、「ロックの歴史も変わっていたかも、くらい考えてしまいますけどね」。
1989年リリース当時は、バンドは解散していたが、のちにCD化され、2015年にはアナログ化され、「いまだに人気の高い曲だということがわかります」。
(こんなバンドだったようです)
SLAUGHTER & THE DOGS. Live 1977 Video (BEST QUALITY)
そして次は、Penetrationの「Danger Signs」(1979年、4thシングル/2005年のベストアルバムより)。
今日紹介した中で、「日本ではいちばん知名度が低いのかなあ」。
草野くんがこのバンドを知ったきっかけは?
中学の頃聴いていたイギリスのメタルのバンド、Tygers of Pan Tangのギタリスト、フレッド・パーサーさんが「もともとパンクバンドの出身」という記事を読んで「どんなバンドで弾いてたんだろう」と興味を抱き、調べたら、それがこのPenetrationだった。
今日の曲「Danger Signs」で彼が演奏しているかは不明だが、「前知識をもとに聴いてみると、Penetrationはちょっとメタルっぽいところがある。テクニカルなギターソロもあるしね」。
この曲は「キャッチーでいい曲」と。
「パンクロックは短い曲が多いので、たくさん聴いていただこうと思います」からの、
最後は、999の「I'm Alive」(1978年、デビューアルバム『999』)。
999は、「音的には、これぞ初期のUKパンク!という曲」が多く、今も現役で活動している。
草野くんは学生の頃、X-Ray Spexの曲も入っていたオムニバスで、この999も知ったそうだ。「これもカッコいいな、と思って、よく聴いてました」
999 - I'm Alive (Live at Klub Foot in London, UK, 1984)
特集の終わりに。
草野くん曰く、「70年代の初期のイギリスのパンクロックを聴いていると、スピッツを結成した当初の熱が蘇ってくる」。
「もう年だから・・・とか言わずに、まだまだはじけていきたいな、という思いを新たにしました」
(楽しかったー! 自分がなんでスピッツのファンになってここまできちゃったか、自らあからさまに納得できた一夜でした)
そして今日の「ちょっぴりタイムマシン」は、CRACK THE MARIANの「缶ビールとスウェードシューズ」(1994年、4thアルバム『ROCK'N ROLL PEARL HARBOR』)。
(イントロは、「グリーン」。気持ちのいいスタートで一気に盛り上がれる)
CRACK THE MARIANは、「初期UKパンクを思わせる音楽性のバンド」。
スピッツがインディーズの頃参加した、ライブハウスLOFT主催の「LOFT サーキット」。
いろいろなバンドが何組も1台のバスで移動してツアーをする。バスの中ではバンドごとにまとまって座っていたが、そのときスピッツの横にいたのが、CRACK THE MARIANだった。
彼らはツアー中、ロックしりとりゲームをしたりして遠足みたいで楽しそうで、スピッツも加わりたいなと思いつつ・・・。
インディーズの頃はバンド同士の交流に消極的で、結局挨拶すらしなかった。「今だったらたぶん普通に話しかけていたと思うんですけど」
彼らは佐賀のバンドで、「(佐賀県出身の「うちの父と同じ話し方をしていた」。今思えば、「その辺を糸口に話せたかな」。人見知りなのは「自分だけではなく、スピッツメンバーだけでもなく、スピッツ以外のバンドマンも意外にそうでしたね」。
でも「ただあのとき、ニューロティカのあっちゃん(ATSUSHI)だけは唯一めちゃめちゃ社交的でしたけどね」(笑)
さて、CRACK THE MARIANは「初期UKパンクをお茶目な感じで奏でていて、実はここまでちゃんとオシャレでかわいげのあるパンクバンドってなかなかいないかもしれない」
(メロディーが強くて、いかにも!な快活な雰囲気)
そして来週は、「トルコのロックで漫遊記 Part 2」。
草野くんがコロナ禍のステイホーム中にはまっていたトルコのロック(ココで70年代からのトルコのロックをヒストリー的な感じで特集)。
来週は、2000年以降の比較的新しいナンバーで漫遊!だそうです。
そして、6月に実施したミュージックライフ・クラブとのコラボレーションプレゼントの当選者発表(ココで)。
正解は「グランド・ファンク・レイルロード」だったが、「ブルー・オイスター・カルト」とか「エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)」も候補にあがっていたらしい(笑)。
またこんな「ワクワク企画」を!だそうです。
「草野さん、『会うの3年ぶりだよね』って話してたら、10年ぶりでした」
(これ、ホントに大人あるあるです)
パリオリンピックで盛り上がっている中ですが、横綱・照ノ富士の10回目の優勝、ハラハラしながらのうれしい「おめでとう!」。
本当に、うれしい!!!
オリンピックを目指して、私なんかの想像をはるかに越える努力の日々を送ってきた選手の感情が、喜びにでも絶望にでも爆発するのは十分理解できるし伝わってくるけど、メディアやそれに携わる人々は、もう少し冷静にいてほしいもんです。
というのが私の正直な気持ち。
感動が一気に逆の方向にいってしまう。
これって、私が老いたの??
競技であれば、勝利の陰には敗北の、敗北の向こうには勝利の・・・、それぞれのドラマがある。
当事者でない私たちは、少しだけその奥まで想像してみたいと思う毎日。
大雨の被害。
あの光景は毎年見てきて、ときどき既視感があるのが怖くなります。
そしてこの異常な暑さ。途絶えることのない攻撃のニュース。
地球はどこに向かっているんだろうね。
Pete Dello And Friendsのアルバムを聴きながら・・・。