隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

「どうやって思い出したらいいんでしょう」~『朝日新聞』 「人脈記」 より

2009年02月18日 23時46分34秒 | 日記
2009年2月18日 (水)

 世の中ひどいことになっていても、日常はスルスル、ギクシャク…と過ぎていく。やっぱりいつもの私を続けていかなくちゃならないわけで。
 朝起きて、いろいろ忙しく動き回るあいまに広げる新聞。そのときの私も毎朝、同じように見えて、案外違っていたりする。
 今日一日がなんとなく楽しみだったり、理由もなく末期症状だったり、いろいろ…。
 このところ「人脈記」(『朝日新聞』夕刊)のテーマが「心の鉄路」。鉄道を愛してやまない人たちの記録。
 とくにオタクではないけれど、やっぱり鉄道はいい。鈍行を乗り継いで九州に行って途中ストで足止めをくらったこととか、北海道で廃線になった鉄道の線路の上で食べたトウモロコシとか、初めての一人旅の夜行で出会った佐藤浩市似の人とか(別に何もなかったんですが)、思い出せばきりがない記憶の宝庫。
 記事では、冬の間24時間体制で雪から信号を守る70代の男性の熱い思いや、ブルートレインの食堂で長年勤務していて廃止になる寂しさを語る男性の深い思いや、そして今夜は、古い列車の保存に東奔西走し若くして亡くなった岸さんが蒔いた種が息づいているようすが…。
 「中川財務相、問責…」とか「辞任」とか「野党追及」とか、そんなトップ記事が連日並んでいて、そんなことしてる場合かっ!!と怒ったりあきれたりしている私がふっと目をやると、目立たないところで真摯に生きている人の笑顔が並んでいたりする。
 北の信号を守っていう人や、ブルートレインにこだわり続けた宇都宮さんだってたくさんの失敗をされてきたんだろうけど、きっと忘れてはいけないこととか、これだけは守っていこうということを、普通に携えて生きてこられたんだろう。
 別にえらくなんかなくても、真摯に暮らしている人の側にいられたらいいな、と思ったりする。
 傲慢な私がときどき、すごく素直になるのは、そういう人に出会えたときだ。

 ブルートレインが廃止されて、宇都宮さんは言う。「車輪がレールの上できしむ音を、これからどうやって思い出せばいいんでしょう」
 何千回と聞いているはずなのに、降りるとどうしても思い出せなくなるそうだ。
 久々に心に残るひと言。一級品の切なさだ。

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