此処で

■此処で

改札を出たら　街が笑った
ボクの夢の終わりを　軽くいなして
帰る気持ちだけ　引き連れて
まだ言い訳は見つからない

メガネ越しの風景に　自転車の波
見慣れたはずの　モノクロフレーム
だけどボクのまわりを
漂いはじめる　下向きの風

川向こうの小さな公園
路地裏の古い看板
人待ち顔のキミを映す
レンタルショップのガラス窓

ここに来れば　みんな詩人
浮かんで消える　ありふれた言葉
笑い飛ばしたつもりでも
うるむ誰かの後ろ姿

午後の電車で　時を戻す
上を向いたまま　泣いたとしても
たぶん恥ずかしくはないだろう
動かない場所を忘れないだろう