2023.07.02
「ロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
「7月に入りまして、スピッツ、絶賛ツアー中でございます」
ライブやコンサートでお客さんが耳栓をつけることの是非をたまにきかれることがあるとか。
「昔は考えられなかったかも。アーティストに失礼とか考えちゃったりして。でも今では、耳栓、普通になりつつありますよね」
スピッツのツアーグッズにもあるし。
耳栓は耳を守るという役割だが、それ以外にも「爆音のバンドの音のアンサンブルをわかりやすくしてくれる」。
草野くんは昔から、ギターソロのときなどは「フレーズがすごくわかりやすくなるので、耳を押さえて聴いたりしていた」。
もちろん、「静かな弾き語りやアカペラのライブでは必要ないけれど」。
演奏しているアーティストサイドでも、「耳栓についての情報をアップデートしているアーティストは増えているだろうな」と。
耳栓しているお客さんを見ても気にならないし、むしろ意識高いお客さんだな、と思うかも。「もちろん耳栓なくても全然平気という人は、そのままお楽しみください」
今回のテーマは、【NWOBHM(ニューウェーブオブブリティッシュヘビーメタル)で漫遊記】。
「NWOBHM」と書いて、ニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘビー・メタル(New Wave of British Heavy Metal)。
1980年ごろブームとなった、当時の新しいハードロックのムーヴメント。オールドウェーブなハードロックバンドとは一線を画した、パンクロックのフィルターを通過したと思われる80年代前半の主にイギリスのメタルバンドたちの曲を中心に。
オンエア曲
01 手鞠(スピッツ)
02 Iron Maiden(Iron Maiden)
03 Shellshock(Tank)
04 C'mon Let's Go(Girlschool)
05 Euthanasia(Tygers Of Pan Tang)
06 Hollywood Tease(Girl)
07 Lady of Mars(Dark Star)
08 Lonely Guys(X-RAY)
09 醒めない(スピッツ)
漫遊前の一曲は、「手毬」(2023年5月17日リリースの17thアルバム『ひみつスタジオ』)。
今日は重くて激しめな曲が多いので、「軽やかに演奏した」この曲を。
(優しいサウンドと揺れるボーカル。でも歌詞は結構深くてグサリとくるところもあり、そのアンバランスというバランスが気持ちいい。)
最初の曲は、Iron Maidenのデビュー曲、「Iron Maiden」(1980年、デビューアルバム『Iron Maiden 鋼鉄の処女』)。
「ハードロックの様式美とパンクの荒々しさを持ち合わせた」ニューウェーブオブブリティッシュヘビーメタルの代表格。
「ニューウェーブオブブリティッシュヘビーメタル」と言えば、Iron Maiden。これは「UKパンクと言えば、セックス・ピストルズ」みたいな「代名詞的バンド」と。
とくに、ポール・ディアノさん(ココで特集)がボーカルだった初期! 彼の「パンクフレーバー漂う、吐き捨てるようなボーカル」がハイテンポなメタルサウンドに乗っかるというスタイルは、「当時は衝撃的だった。これは発明と言える」
リーダーのベーシスト、スティーヴ・ハリス氏は、「実はパンクロックは意外とお嫌いだった」が、ポール・ディアノ氏はもともとパンクスだったので、「これは意図せずに起こった化学反応だったのかもしれない」。
ロック評論家の伊藤政則さんも「パンクムーヴメントを経たハードロック、ヘビーメタルだからこそ、キッズたちの絶大な支持を受けることができた」的なことをどこかで語っていた。
「粗削り、スピーディー、曲が短め」・・・、「みんなでワイワイ盛り上がるための曲でしょうか」と。
次の曲は、Tankの「Shellshock」(1982、デビューアルバム『Filth Hounds Of Hades』/モーターヘッドのエディ・クラークがプロデュース)。
草野くんとしては、Iron Maidenに続く、「このシーンの代表バンド。まさにパンクを通過したハードロック」。
中心メンバーのアルジーさんは、パンクバンドのThe Damnedに在籍していた。
「モーターヘッド・インスパイア系のバンド」とも言える。
モーターヘッドにインスパイアされたバンドは多数ある。例えば、モーターヘッド風ロックにパンク風味を加えたG.B.H.、モーターヘッド風ロックに悪魔崇拝テイストを加えたヴェノムなど。
それで言えば、「モーターヘッド風サウンドにイキった若さをプラスしたのがTankか」。
だから「ちょっと聴くと、これパンクじゃない?」となるが、「メタルのギターソロもあり、見た目もロン毛なので、これはメタルなんだなと識別できる」。
Tank - Turn Your Head Around (HQ audio)
次の曲は、「女性4人によるメタルバンド」、Girlschoolの「C'mon Let's Go」(1981年、2ndアルバム『Hit and Run』)。
女性のみのラウドなロックバンドというと、それまでにもアメリカのザ・ランナウェイズ、UKパンクのバンドとしてはスリッツなどがいたが、「メタルのバンドではこのGirlschoolがパイオニア」。
このバンドは、「サウンドはTankと同じくモーターヘッドインスパイア系だけれど、さらにパンクっぽいラフさがあってカッコいいです」。
現在の現役で活動を続けている。
(ココで、田村くんリクエストでMotörhead Girlschoolの「Please Don't Touch」をかけていて、Girlschoolについても思い出話をしています)
Girlschool - C'mon Lets Go (Official Music Video)
(カッコいいです!)
次の曲は、Tygers Of Pan Tangの「Euthanasia 安楽死」(1980年、デビューシングル/1980年、1stアルバム『Wild Cat』)。
ココでテツヤくんが「寅年」にちなんだ特集で取り上げたバンド。
初期のボーカルはジェス・コックスさんで、「1stアルバムは、パンクロックの魅力でもあるヘタウマの雰囲気があって、まさにオレの思うブリティッシュヘビーメタルの感じ」。
ボーカル以外も「なんかドタバタした演奏で、味わいがあります」。
2ndアルバムからは「西城秀樹ばりのシャウト系のボーカル」、ジョナサンン・デヴァレルと、バカテク速弾きギタリストのジョン・サイクスが加入して、「普通にかっこいいメタルバンドになって、1stアルバムのヘタウマ感はなくなるんですよね」。
今日の曲は、この「ヘタウマ時代の曲」。
そして、メッセージコーナー。
待ち合わせの時間に行くのが苦手のリスナーさん。いつも30分以上も相手を待たせてしまうらしい。(あれれ)
まさに約束の時間に家で靴を履いていたりすることもあって、そんなときには「群青」の替え歌で「僕はここにいる~ すでにもう遅刻~♪」とか歌ってるとか(笑)。
そこで「マサムネさんは時間を守れるタイプ? どうしたら守れますか?」
(昔はひどい遅刻魔だったというエピソード、いろいろある人ですよね。本屋でおもしろい本を見つけてしまって立ち読みして、予約したスタジオでの練習に終わるころ来て、「おもしろい本を置いとくんじゃないよ!」と本屋の責任にしたとか)
若いころは朝や午前中がすごく苦手で、それで遅刻することが多かった・・・と。でも30代後半くらいから朝が大丈夫になってきて、「遅刻はしなくなりました」。
「最近は30分前とか1時間前とかに着いちゃって、時間を持て余すことが多いです」(極端だなあ)
「だから、時間にきっちり着くのは苦手なのかな」と。
でも、これは生まれついての気質ということもあるから、「時間を守るのが苦手だということをあらかじめ周囲の人に周知させておく」のは?と。
本当は1時間くらい前に着くようなつもりで出かければいいのかもしれないけど・・・。「これができないんだよね」
でも日本で生活していると、ルーズだと損するだけなので、打算的に「遅れると損だよ」と考えて行動するのも手かな。「そうすると、損はしなくないという気持ちが働いて、時間を守れるかもよ」
それでも無理なら、「遅刻を許してくれるような人とだけ付き合うとか・・・。ま、それも人生だと思いますから」。
(遅刻経験豊富な人の回答ですな)
高校のときからスピッツファンだけど、ずっと金銭的な理由からファンクラブには入っていなかったリスナーさん。「今からでも入っていいの?」
「もちろん、いつからでも大丈夫。大歓迎ですが、でも会費をいただいていますから、コスパ的にどうなのかはオレ本人からはなかなか言いづらい」(笑)。
でも入れば楽しいこともあるので、「ぜひご参加ください」
(ファンクラブに入ったからといって、チケットが絶対にゲットできるわけではないけれど(最近はとくに厳しい)、でもあの会費であの会報で、ファンクラブツアーもある・・・ということで、ワタクシ個人としてはコスパ的にオススメだと思いますけど)
「会費ちょっと高いんじゃない? コスパ的にいいんじゃない?っていうのは入ってから考えて・・・、どうでしょうか。お待ちしています」
(うーん、良心的な・・・)
次は、Girlの「Hollywood Tease」(1980年、1stアルバム『Sheer Greed』)。
このバンドは、「きっちりとお化粧をしていて、中世的なビジュアルが売りでした」。
見た目は、当時人気のあったJapanとかデヴィッド・ボウイとか、のちのニューロマンティックのデュラン・デュランやヴィサージ、日本のビジュアル系のバンドにも通じるような雰囲気をもったバンド。
最初は音楽雑誌でビジュアルだけが紹介されて、「話題沸騰だった記憶があるなあ。『ミュージック・ライフ』も次世代のスターとして煽っていたような・・・」。
でも「音はストレートなヘビーメタル、というギャップがよかった」。来日公演もあったし、「日本ではすごい人気があったのでは?」。
ボーカルのフィリップ・ルイスさんが「特に美しくて、オレもこんなふうに生まれたかったなあ、と当時憧れてましたね。ギターのジェリー・ラフィさんもかわいらしい感じでステキなんですよね」。
で、のちに「フィリップ・ルイスさんはL.A.ガンズというバンドでこてこてのロックンロールを歌うバッドボーイになっちゃったし、ギターのフィル・コリンさんはいちばん出世して、デフ・レパードでマッチョなチョイ悪親父のギタリストになっているので、Girlのニューロマンティックの路線は作られたものだったのかもしれない」。
Girl - Hollywood Tease
最後の曲はは、Dark Starの「Lady of Mars」(1981年、デビューアルバム『Dark Star 暗黒の星屑』)。
このバンドだけはパンクっぽさはほとんどないけれど、「当時ニューウェーブオブブリティッシュヘビーメタルのインフルエンサーだったDJのトニー・ケイさんが推してたバンド」と雑誌に書いてあったそうだ。
草野くんはそれでレコードを買って聴いたそうだ、「伊藤政則さんも推してたような記憶がある」と。
「70年代のハードロックのオイシイところを濃縮したようなサウンド」のバンド。
そして、「イントロから出てくる三連フレーズがすごく印象的です」とZO-3で。「ハードロックでは定番フレーズ」で、ディープ・パープルの『紫の炎』にも出てくる。
「スピッツの『恋する凡人』にも似たようなフレーズが出てきますが」と。
特集の最後に。
今日の漫遊のテーマのキーワードは「パンクムーヴメントを経てのメタル」ということで、「ポップでキャッチーがウリのデフ・レパードとか、プレイング・マンティスはあえて外しました」。
また暗黒系のヴェノムというバンドも、「その後の影響力を考えるとすごく重要なバンドなんですけど、ちょっとラジオ向きじゃないかな、ということで外しました」。
また当時すでにキャリアがあったサクソンやジューダス・プリーストもニューウェーブオブブリティッシュヘビーメタルに加える人もいるそうですが、「サクソンについてはそのうち特集したいなと思っています」と。
(ジューダス・プリーストはすでにココで特集していましたね)
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナーは、X-RAYの「Lonely Guys」(1983年、デビューアルバム『魔天-Hard Section』)。
(イントロは、「ガーベラ」だ!!
このコーナーも「メタルでいきます!」。
若きギターヒーロー、湯浅晋さんを中心に結成されたバンド。デビュー当時、湯浅さんは17歳!
当時中学生だった草野少年は、「すげーなあ、湯浅さん、うらやましいなあ、と思って聴いてました」。
「こんなにきれいにプレイできてて、曲もハードなんだけどちゃんとキャッチーで・・・。X-RAYを聴いて、オレはメタルギタリストへの夢を諦めましたね」と。
今聴くと、その後のビーイング系の音にも通じるし、「もっと人気が出てもよかったのでは・・・と思うのですが、時代を先取りしすぎていたのかもしれない」と。
来週は、【検索アプリで出会った曲で漫遊記】です。
スマホの楽曲検索のアプリはここ10年くらいで精度が上がり、「オレね、それで出会った曲が多いんですよ」。
そんなナンバーを紹介してくれます!
「草野さん、珍しい石を拾ったんですけど、これって値打ちありますかね?」
それにしても、まだ梅雨なのに夏みたいな日が続く。
山口や熊本では、線状降水帯の被害が大きい。
みなさんのところでは、いかがですか?
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