隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

エレカシ、どこまで行くんだろう~新春 武道館

2022年01月16日 09時20分09秒 | ライブリポート(音楽)

2022.1.12
「エレファントカシマシ 新春ライブ 2022」
 at 武道館


 11月ごろからコロナも少し落ち着いたように見えて、じゃ、エレファントカシマシの新春ライブのチケット、頑張ってみようかなと思ったけれどもなかなかとれなくて。
 数年前はそれでももう少し楽にとれたのに、だんだん難しくなってきて、そこにきて宮本浩次ソロが評判で新しいファンも増えただろうし・・・、無理かなあと諦めかけた頃に、バックステージのチケットに引っかかった。
 邦楽洋楽問わずどんなバンドも、武道館で良席がとれた経験はないけれど、「真後ろ」は初めてだった。
 でも宮本さんは何度も後ろを振り返ってくれた。

 360度解放! 全方位から見られるように工夫されて、バックからわかる範囲で、「ステージも照明もシンプル」。
 私の席からは、宮本さんのパフォーマンスと、すれすれメンバーの後ろ姿までは見えて、金原さんたちの演奏もサポートメンバーの皆さんも見えなかったけれど、そんなこと何も気にならない、圧巻のあっという間の2時間あまり!
 耳と身体に伝わるもので、年初めにふさわしい力ももらえたんだ。

 ビフォーコロナを錯覚させるような座席の詰まり具合や熱気だけれど、オーディエンスはみなしっかりマスクをして、突き上げるコブシと拍手だけで自身を鼓舞させていたように思う。ある意味、行儀のいい私たち。
 興奮して宮本さんに声をかけてしまったのも、たった一人だったように記憶している。


★セットリスト★
【第1部】
01 うつら うつら
02 奴隷天国
03 デーデ
04 星の砂
05 いつものとおり
06 浮雲男
07 昔の侍
08 この世は最高!
09 珍奇男
10 月の夜
11 風
12 シグナル
13 生命賛歌
14 悲しみの果て
15 旅立ちの朝
16 RAINBOW

【第2部】
17 ズレてる方がいい
18 風に吹かれて
19 ハナウタ~遠い昔からの物語~
20 笑顔の未来へ
21 桜の花、舞い上がる道を
22 ガストロンジャー
23 俺たちの明日
24 友達がいるのさ
25 so many pepole
26 四月の風
27 ファイティングマン

【アンコール】
28 待つ男


★第1部★
 いつものように、いつの間にかメンバーが登場し、それぞれが楽器を手にして、音が鳴る、ライブがスタートする。
 畳みかけるように続くのは、初期のエピック期の楽曲たち。武道館というより、野音のセトリ?
 エピック期も、ボニーキャニオン時代も、東芝EMIのころも、そして現在のユニバーサルからも、懐かしくても、よく知られた曲を「どうだ!」とばかりに並べてくれた曲たち。
 これぞ、エレファントカシマシ!!

 「うつらうつら」を、私は少なくともここ十数年はライブで聴いていない。ロックにのっかる日本語の言葉と風景の美しいバランスが初めての衝撃だった、今よりかなり若かった自分の日々を少しだけ思い起こす。
 「今日は何処へ行こうか 何処にでかけようか♪」
 エレカシの曲に欠かせない、「散歩」や「外を歩こう」という歌詞が、今だからこそ、よけいに胸に迫る。 

 「奴隷天国」を初めて聴いたときに心の中に渦巻いた「ムカッとした思い」を久々に思い出した。最近はちょっと慣れて、笑って聴いている自分がいたけれど。やっぱり今は「奴隷の暮らし」なんだろうか。
 「そこのおめえ おめえだよ!」「なに笑ってんだよ」がいつにもまして迫力あって、昔の怖さを思い出す。

 そこに挟まって「いつものとおり」には少しほっこりさせられる。
 そういえば、私は友達に優しくないなあ、とか思ったり。

 「もう今は吸ってないんだけど」で、すぐにわかる、「浮雲男」。
 昔聴いたときより濃ゆい濃ゆい煙草の煙を感じる。聴き入ってしまう。
 煙草の匂いは苦手になってしまったけれど、煙草をくゆらす姿のいい人は、それだけで好みだったなあ、とか。
 そういえば、30周年の『ド・ド・ドーン』でスピッツがカバーしたんだっけ(ココ)。渋いなあ・・・。
 宮本さんとバックのメンバーの演奏のずれ(っていうの? 独特の歌唱の”ため”)がエレカシのライブ感を高めて、気持ちいい。

 ノスタルジックな?熱いものを秘めた歌唱の「昔の侍」からの「この世は最高!」~「珍奇男」は圧巻。
 「この世は最高!」、背中を上から見下ろしている私には宮本さんの表情は見えないけれど、怖い目を見開いて「お前のウソもあいつのウソも全部お見通しだ♪」と客を睨んでいるんだろうなと思い浮かべる。

 そして、「月の夜」を武道館で聴くことができるとは。
 侘しくも寂しい夜は、月の光だけでholy nightにかわる。静かな思いが痛烈に響く、私には忘れられない曲。
 宮本さんには、月がよく似合う。

 2000年前半の、「」「シグナル」「生命賛歌」が並ぶ。
 「風」と「シグナル」で街を心地よくさまよう(直立不動で聴き入ってしまうエレカシの曲)。孤独に見えて、どこかオレは豊かだ。
 「死ぬのかい? オレは♪」「あと五分しか生きられぬのなら♪」、あからさまであったり、見つけにくかったりはするけれど、エレカシの曲のそばにはいつも死があって、それを眺めている目がある。
 そこからの「生命賛歌」は、宮本さんの歌唱のあまりの振り幅に、エレカシのライブに参加している実感を新たにする。会場が揺れる感じって、陳腐だけど、これがエレファントカシマシ!

 ああ、今回もまたここで涙が少し、「悲しみの果て」。
 世に数ある失恋の歌の歌詞で最も絶望的な(と私が思う)「あなたの顔が浮かんで 消えるだろう♪」からの「素晴らしい日々を 送っていこうぜ♪」がちっとも嘘っぽくないのは、彼の突き放した歌唱と、聴き慣れたあのギターのフレーズのせいなのかな。
 ライブで何度聴いても、そしてたぶん私が鈍感な年寄りになっても、この曲は絶対に響くよ、ここに・・・と言える。

 第1部のラストは、「旅立ちの朝」と「RAINBOW」。
 初期の楽曲からここまで、長い歴史があるのに、気持ちが強くつながって、会場は一気に盛り上がる。
 「~駆け抜けたヒーロー それが俺さ 嘘じゃないさ♪」って歌い続けてくれ~!

 セットリストに文句なんて言ったことないから、私はいつでも何でも「OK」なんだけど、この日の第1部のそれは、きっとこれから絶対に越えられない「うれしい流れ」だった。
 とか言いつつ、来年のライブで同じことを言ってるかもしれないけど・・・。


★第2部★
 それほど時間を置かずにメンバー再登場。
 「ズレてる方がいい」から始まって、怒涛の(ボキャ貧の書くエレカシのライブレポには便利な単語です)エレカシソングが一気に迫る。

 「風に吹かれて」と「四月の風」では、優しい空気をもらい、ここでだったか?「明けましておめでとう」のご挨拶をいただいたような。
 新春のエレカシライブに来てるんだ、今年は来れたんだ、ワタシ・・・と。

 「桜の花、舞い上がる道を」では腹の底から絞り出すド迫力の声が艶やかで、「ガストロンジャー」でのおどろおどろしさは恐怖の一歩手前。
 ハナウタ~遠い昔からの物語」に込められたメッセージを今年も受け止める。

 そして、「笑顔の未来へ」と「ファイティングマン」では、「この齢で、誰よりも力強いコブシを突き上げたぞ!」と自慢できるノリで、ここ最近の鬱憤を吹き飛ばしたぜ!なワタシでした。
 それだけで、思い切って参加してよかった、と思えた。
 そういえば、スピッツ草野くんが『ロック大陸漫遊記』で、武道館ファイティングマンを語っている(ココ)。


★アンコール★
 暗転のステージに正面センターから一筋の赤いライト。
 その中で「待つ男」。名盤『THE ELEPHANT KASHIMASGHI II』のラストの曲。
 50代半ばになったメジャーなバンドが危なっかしいナイフをひそかに振り回しながら、「お前はただいま幸せかい♪」「誰も俺には近づくな♪」と歌う。
 YouTubeで、1988年の渋谷公会堂での「待つ男」を聴くことができるけれど、今も声がまったく衰えていないことが驚異。
 曲終わりで、何も言わずにステージを去っていった宮本さん。
 あれは、初期のころの彼そのままで、猛烈にカッコよかった。
 エレファントカシマシのライブ、また待ってて大丈夫なんだな、と安堵した瞬間だった。



 歌詞はホントによく聴こえるんだけれど、しゃべると、ん? 何言ってるのかわからない。(笑)

 「(いつもは)ホッとするために後ろを向くのに、(今日は)振りむいてもお客さんがいる」って言ってたかな。

 「あけましておめでとう!」のあとで、「今年はきっとみんなにいいことあるよ!」と言ってくれた。

 メンバー紹介では。
 キーボードが細海魚さん。「『遁生』を一緒にやりました。あの頃からの友達」
 「そして、帰ってきてくれました、ヒラマミキオ!」 おお、会場が盛り上がる!
 「バンドの兄貴! パワフルドラム、冨永義之、トミー!」
 「相棒! 石くん」

 どの曲だったか、曲終わりに「(サポートメンバーも含めて)10人のエレファントカシマシでした」。

 「真剣に聴いていてくれてること、伝わってる」と何度も。


 どっしりした外連味のない演奏、これでもか!と振り絞る声(ほかにどんな形容をしたらいいのか)、それに応えるマスクの私たち。
 宮本さんは純度100%のバンドマンとして、武道館に戻ってきたんだな、ソロの宮本浩次は今日のステージには微塵も姿を見せずに。
 濃いソロツアーのあいまに、よくぞ、こんなにすごいライブを挟み込めたものだ!と、うれしさと敬愛の気持ちを贈りたい。
 久々のバンドは、今まで以上に躍動的で、「北スタンドのバック指定席」からも、輝いて見えた。
 エレファントカシマシは、どこまでもどこまでも行きそうです。

 そして、ソロツアーが無事に最後まで走りきれますように!


 エレファントカシマシ新春ライブ、結構参加しているんだなあ。
 あとで振り返ってみよう・・・。
2019年 武道館
  https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/e891237b958a51a9d7affb9edceb2053

2017年 武道館
  https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/7efadc7b03b07a1e822e466730774cac

2016年 東京国際フォーラム
  https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/31cef4c9bf89995086bb5d2936cd92c7

2015年 武道館
  https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/644953ea62fe8425f7a9bf6e550136f7

2014年(さいたまアリーナ)
  https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/f85abdc0d0a28d29cefc212005e81ff1

 そして、この日の「新春ライブ 2022」が、3月20日(日)にWOWOWで放送されるそうです。


 舌足らずなレポですみません。
 ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


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