【小選挙区制は独裁者を生む!】「1人区」52.6%が無投票当選?!死票は2500万票以上?!少数意見を無視する小選挙区制の弊害~一部の熱狂的支持さえあれば自民党政権は強気でいられる~
■「一度当選するとずっと無投票」都道府県議選1人区、自民の基盤に
朝日新聞 2023年3月4日
https://www.asahi.com/articles/ASR345QPBR2XOXIE01Y.html
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直近の47都道府県議選で、当選者の4分の1が無投票で決まっていた。
とりわけ定数1の「1人区」では、半数以上の52・6%が無投票だった。
地方政治に対する有権者の選択の機会が失われる一方、国政選挙での自民党の基盤強化につながっているとの指摘もある。
専門家や議会からは選挙制度の見直しを求める声が上がるが、改善の機運は広がっていない。
・全国の都道府県議、4分の1は無投票当選 1人区は半数超の216人
昨年4月、首相の諮問機関として地方の行財政制度を審議する地方制度調査会の会合が都内で開かれた。
地方議会への女性や若者の参画について意見が交わされる中、全国都道府県議会議長会会長を務める柴田正敏・秋田県議会議長(72)が、こんな話を始めた。
「1人区でAさんが当選すると、ほとんどの場合ずっとAさんで続くのです。その地域にはもっと別の発想を持たれている方がいらっしゃるかもしれない。だけれども、大体無投票でAさんが決まってしまう」
秋田では2019年の前回県議選で五つの1人区のうち、四つで自民の公認候補が無投票再選した。
自民は議会の最大会派で、柴田氏も自民所属。
それにもかかわらず、1人区では多選によって民意の多様性が阻まれかねないと、議長会のトップが公的な場で指摘する異例の発言だった。
これに対し、出席者からは女性や若者らの政治参加を念頭に「リーダーを養成し、新たな展開を作っていかなければならない」と賛同する意見があがった。
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「一度当選するとずっと無投票」都道府県議選1人区、自民の基盤に
朝日新聞 2023年3月4日
https://www.asahi.com/articles/ASR345QPBR2XOXIE01Y.html
■小選挙区制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%81%B8%E6%8C%99%E5%8C%BA%E5%88%B6
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小選挙区制
・概要
小選挙区制は議会などの2人以上の人員を要する機関を構成するとき、定員と同数の選挙区を区分けし、一選挙区につき1人の当選者を選ぶ選挙制度の総称である。
現代の日本では、選挙方法に単記非移譲式投票を用いた単純小選挙区制を指すことが多い。
・性質
選挙区につき1人しか当選できないため、区割りとの相関が低い意見の対立は、議会に持ち込まれにくく、多数代表の性質が強くなる。
一方、各選挙区は別々に分かれて選挙を行うため、区割りとの相関が高い意見対立は再現されやすく、少数代表の性質が強い。
いずれにせよ、選挙候補者は二大政党に所属していたほうが選挙で当選する可能性は高くなる。
したがって、特定地域の支持者を背景に政界に新規参入しようと欲する候補者は、対立候補者が二大政党の片方から既に立候補していた場合には、政策・主張の差異があろうが無かろうが、もう片方からの立候補を検討する必要に迫られる。
その結果として政策論争がないがしろにされる懸念が生じる[1]。
・小規模政党の国政からの排除
ある特定の政治問題で独特なスタンスをとる小規模政党が選挙区で苦戦を強いられ、政治的に少数派の意見が国政に反映されにくい[2]。
・利点と欠点
・利点
選挙のたびに政権を選択して、強力で安定した政権をつくれること
デュヴェルジェの法則の効果により二大政党制を作りやすく、不満であれば選挙民は最大野党に投票して政権交代を起こしやすくなるので、与党は真剣にならざるを得ないこと
・欠点
候補者が僅差で当選、あるいは落選した候補者の票が多数を占める選挙区では、多くの死票が発生する。
日本では1996年の衆議院議員選挙で小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、2012年までの6回のうち3回で死票が5割を超えている[4]。
2012年衆議院議員選挙の死票率は53%であり、死票率が70%を超えた選挙区が2ヶ所、60%を超えた選挙区が76ヶ所あった[5]。
各政党の得票率と実際の議席占有率との乖離。例えば、単純小選挙区制の2005年のイギリスの下院総選挙では、第一党となった労働党(得票率35.2%で355議席)と第二党の保守党(得票率32.4%で198議席)の得票率の差が2.8%しかなかったのにも関らず、獲得議席数では157議席も差が出ている[6]。
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小選挙区制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%81%B8%E6%8C%99%E5%8C%BA%E5%88%B6
■小選挙区制、問題浮き彫り
日本経済新聞 2023年1月17日 立命館大教授 小松浩氏
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67625250W3A110C2PD0000/
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小選挙区比例代表並立制の導入は英国の二大政党制をモデルとし、政権交代を容易にすることでそれぞれが政権運営能力を磨く理想があった。
2009年の政権交代は初めて民意によって起きたもので一定の評価はできる。
旧民主党は基地移設や脱原発を巡り実行力に欠けた。
「政権交代したけど何も変わらない」とかえって政治不信を招いた。
その後の自民党の長期政権は「1強多弱」の状態で消極的に自民党が支持されているにすぎない...
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小選挙区制、問題浮き彫り
日本経済新聞 2023年1月17日 立命館大教授 小松浩氏
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67625250W3A110C2PD0000/
■安倍一強は小選挙区のせい? チルドレンもベテランも沈黙
AERA dot. (アエラドット) 2017/06/23
https://dot.asahi.com/aera/2017062100057.html
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委員会採決省略の強行採決、実在した「怪文書」……。
「安倍一強」のもと、自民党はなぜここまで傲慢になってしまったのか。
その源流を「政・官の関係」「派閥弱体化」「小選挙区制」の現場で考察し、いかにして現在の一強体制が作られていったかを明らかにする。
AERA 2017年6月26日号では自民党を大特集。
政治改革の掛け声のもと小選挙区制が導入されて21年。
生み出したのは対抗勢力すら存在しない「一強」政治だ。
サボり、暴言、不倫に重婚まで──2012年初当選組のスキャンダルがここ数年で頻発し、「2012年問題」とまで言われている。
「自民党の部会で若手議員が『なんで日米が北朝鮮のミサイルをつぶせないんだ』と小学生でも言わないような発言をして、それを誰もとがめない。質の低下を感じます」(政界関係者)
総選挙のたびに資質を問われるような議員も含め多くの初当選議員が誕生し、その大半が国会に定着せず永田町を去った。
この現象をもたらしているのが、小選挙区制だ。
自民党から政治改革を訴えて離党し、民主党で国対委員長を務めた渡部恒三氏は「小選挙区制になって政治がつまらなくなってしまった」とし、こうこぼす。
「中選挙区時代は戦う相手は自民党で、政策以外にも人間性、人柄で争っていた。今は政治家は誰でもよくなってしまった」
・政治の雰囲気も変えた
小選挙区制にはもう一つの弊害もある。
党幹部が公認権や比例順位の決定権、選挙資金の配分を握るようになり、党執行部に政治家が逆らえない状況を助長してしまうことだ。
「もともと小選挙区には反対だった」とする当選10回の自民党・村上誠一郎衆院議員は言う。
「安倍さんが一強と言うが、この制度なら選挙に勝ちさえすればだれでも一強になる。99人が反対してもトップがやれと言ったら反対できない制度です」
政治改革の推進役を担った山口二郎・法政大学教授も、今の一強体制は小選挙区制の弊害の表れと認める。
「中選挙区制時代は敵の存在を許容する政治運営で、少数派を尊重する風潮が今より強かった。小選挙区制は、政治の雰囲気そのものを変えた。安倍政権の妥協を許さない政権運営は、小選挙区で相手を殲滅するやり方と同じ論理。野党も戦意喪失しています」(山口教授)
では、なぜ政治改革へと進んだのか。
自民党元幹事長の石破茂衆院議員は「1991年に湾岸戦争が起き、国際社会が激変する中で地元の利益誘導ばかり考えて防衛や外交、財政といった天下国家を論じられないようではダメと考えた」と振り返る。
・民主党凋落が側面支援
また党内は割れてもいた。
前年に消費税の存廃を巡り解散総選挙を実施。
この時、ベテランも含め少なくない自民党議員が選挙区では消費税反対を訴えた。
「同じ党議員と戦うから差別化のため党と違う意見を言ったり、集会に出たり年賀状を出したりと経費もかかる。小選挙区制はそういった問題を解消する仕組みと考えていた」(石破氏)
だが石破氏は、「いま考えれば、政治改革の動きは権力闘争だったと思います」という。
現状、制度の弊害が目立っているのは、小選挙区制の理念が徹底されるために必要だった二つの制度が、いまなお整備されていないためだともいう。
「地方分権と『政党法』です。地方分権が徹底されなければ国会議員は地域利益の代弁者であり続ける。また、政党助成金を受け取るのですから綱領や党運営の透明化など政党であるための厳格な要件も、本来作る必要がありました」(石破氏)
政治改革で自民党離党後、民主政権で防衛大臣を務めた北沢俊美氏は、「党内で派閥の力で疑似政権交代をすればまた資金やポスト争いになる。簡単に小選挙区制が悪いとすると一党支配に逆戻りする」と小選挙区制の重要性を語る。
そのために必要なのは野党の力だ。
一度党が下野すれば、政策こそ大切だという本質に気づくというのも北沢氏の考えだ。
とすれば、民主党の激しい凋落が安倍一強体制を側面支援しているとも言える。
民主党政権下で財務大臣だった藤井裕久氏は、政権が短命に終わった理由を、「与党経験のある政治家が少なく、議論ばかりして決めきれない。官僚を敵に回したのも原因」とする。
一方で、こうも言った。
「安倍一強体制は小選挙区制のせいではない。どんな選挙制度でも強権的な政治家は誕生する。安倍首相は外国の脅威などを利用し『空気』をつくるのがうまい。これを許してはいけない」
(編集部・福井洋平、山口亮子)※AERA 2017年6月26日号
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安倍一強は小選挙区のせい? チルドレンもベテランも沈黙
AERA dot. (アエラドット) 2017/06/23
https://dot.asahi.com/aera/2017062100057.html
■小選挙区制は独裁者を生む
小林よしのりオフィシャルwebサイト 2015.07.05
https://yoshinori-kobayashi.com/7985/
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小選挙区制は独裁者を生む。
党内が全体主義化して、議員個人の意味が全くなくなる。
自民党が共産党と同質になってしまった。
自民党の議員は全員、安倍首相の駒に過ぎない。
あの議員たち一人一人は、個人ではない。
自由に意見も言えないし、国民と議論もできない。
政権交代が簡単に出来ると言って、小選挙区制を選んだ我々国民は反省しなければならない。
カネがかかっても中選挙区制の方が良かった。
さらに「決められる政治」を望んだ国民も、独裁者がアメリカと「夏までに決める」と約束したら、もう止められないというこの状態をよく見て、反省しなければならない。
議論はもういい、さっさと決めるという独裁を望んだのは、「決められる政治」を選んだ国民だ。
「ねじれ国会」はダメだと言った者は、独裁を望んだのだ。
麻生太郎が、ナチスドイツがワイマール憲法を形骸化させた方法論に学べばいいと言っていたが、あの時点でここまでの戦略を安倍首相シンパの官僚たちが考えていたのだろう。
まさにその通りの方法論で、立憲主義が瓦解している。
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小選挙区制は独裁者を生む
小林よしのりオフィシャルwebサイト 2015.07.05
https://yoshinori-kobayashi.com/7985/
■そろそろ中選挙区制に戻してみてはいかが?
アゴラ 2019.01.28 早川 忠孝
https://agora-web.jp/archives/2036933.html
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・中選挙区制度復活を公約とする政党の誕生を願う
自主憲法制定を党是として発足したのが自由民主党だと理解しているが、政治の現実の世界では変容せざるを得なかったと言わざるを得ないだろう。
その変容自体を批判する気にはならないが、自主憲法制定を訴える立党の精神には現在でも共感することが多い。
今頃自主憲法制定とはなんとまあ古めかしいことだ、などと批判を受けるかも知れないが、自主憲法制定というスローガンには何か人の心を動かすような力があることは確かである。
自分たちの力で新しい国づくりを始めたい、自分たちの力で自分たちの本当の憲法を作りたいという思いは、いつまでも失いたくはないものだ、と思っている。
もっともどういう国づくりが一番いいのか、どういう憲法にするのが一番いいのか、ということはないそう簡単には決められないので、私は「時代に合った新しい憲法を創る」「時代に合った新しい国をみんなで創ろう」ということを訴えたくなる。
なんだ、中身がないじゃないか、などと言われてしまうだろうが、大事なことは、これからみんなでより良い国を作っていきましょう、みんなの力で新しい憲法を創りましょう、ということだ。
そのために、今の選挙制度を変える必要がありそうだ、というのが私の感想である。
・小選挙区制の弊害あれこれ
かつてと比べれば、金権まみれの人はいなくなったんじゃないかなと思っている。
中選挙区制の時代の選挙区はとにかく金がかかったと聞いているので、選挙にそうそう金がかからなくなったというのは、政治に夢を持っておられる方々にとってはいいことである。
私も中選挙区制の時代であれば国政選挙に挑戦しようとなど考えなかっただろう。
いくら憧れがあっても、先立つものがなければ立候補は出来ない。
地盤、看板、鞄なしでの国政挑戦は無謀以外の何者でもない。
中選挙区制から小選挙区制に移行して最初の衆議院議員選挙に私が自民党の公認を得て立候補することになったのは、現職の衆議院議員がいる選挙区に新人が挑戦しようとしてもまず当選する可能性がないと大方の人が知ってからである。
そういう選挙だからこそ、地元出身でなく、地元に知人、友人、親戚もいない私が自民党の公認候補として衆議院議員選挙に挑戦することになった。
そういう意味では小選挙区制選挙だから私に国政挑戦のチャンスが巡ってきたと言っていいだろう。
もっとも、こういう状態で新人が当選できるはずもなく、選挙の実際に通じた方々は冷ややかに見ておられたはずである。
国政選挙に挑戦して3度敗れ、4度目の挑戦でようやく当選を果たしたのだから、若い方々に私と同じような道を歩むようにお勧めすることはとても出来ない。
しかし、それでも若い方々には何とかして政治への道を志していただきたいなあと願っている。
その時にガンとなるのが、現在の小選挙区制度である。
おいおいおい、これでは若い方々の出番がどこにもないじゃないか。
どんなに有能な若い人がいても、現職の衆議院議員がいる選挙区では新人が自民党の公認を得て立候補することは出来ない。
もっといい候補者がいるんだがなぁ、と思っても、選挙区に空きがないから、本来保守の政治家の人が野党の候補者になるしか立候補のチャンスを掴むことが出来ない。
将来的にはこれが政治家の劣化になるだろうし、いずれは政治そのものの劣化にも繋がるだろうと心配している。
政治資金規正法の改正や公職選挙法の改正で選挙に金が掛かるという中選挙区選挙時代の悪弊は相当解消されてきたと言っていいのではなかろうか。
そろそろ中選挙区制度に戻してみては如何ですか、というのが、私の現時点での率直な感想である。
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そろそろ中選挙区制に戻してみてはいかが?
アゴラ 2019.01.28 早川 忠孝
https://agora-web.jp/archives/2036933.html
■大量の死票を生み出し、有権者の声が反映されない小選挙区制に疑義~宇都宮健児氏らが「国民が主権者であることを実感できる」公正な選挙制度の構築を呼びかけ
IWJ 2015.2.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/229811
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・小選挙区の是非を検証する時期
戦前からある弁護士集団の自由法曹団は、1994年の小選挙区導入時から、これに反対している。
小選挙区が20年を経て導入の是非が検証できる時期がきたと山口氏は言う。
昨年2014年の衆議院選挙は、政権与党による延命の為の党利党略の都合に合わせた選挙だったことから、選挙を道具にしてしまう最大の原因は小選挙区制度だと山口氏は指摘した。
・民意が反映され国民主権が実感できる選挙制度の必要性
山口氏は、国民主権や参政権の実質化の観点から、制度設計する必要があると述べる。
主権者である国民の選挙活動の自由を保障することや、政治への積極的な関与、民意の反映を保障する必要性をあげている。
そのためには、憲法を基盤に国民意思と国民に選ばれた代表意思の事実上の類似が求められると主張。
政権の選択や政治の安定は政治の技術的問題であり、選挙制度とは質が違うと指摘し、国民主権というスタートラインから考えて、民意の反映が犠牲になってはいけないと山口氏は言う。
憲法が示している「選挙制度は、国民が主権者であることを実感できる制度」だと語った。
・前回の総選挙における死票は2540万票
衆議院における選挙は、議席全体の61.5%を占める小選挙区中心の制度である。
参議院は、選挙区中心の制度で、選挙区の約半分が実質的に小選挙区だ。
山口氏は、小選挙区制の危険な本質として、得票率と獲得議席との差が虚構の多数を作り、大量の死票を生み出すと言う。
前回の総選挙における死票は、実に2540万票にのぼる。
また、供託金の問題から個人では立候補が難しいため、小選挙区で立候補できるのは政党だけという問題も生じ、有権者は選択の自由が奪われることになる。
加えて、1票の価値の平等も実現できていない。1996年、初めて小選挙区制が導入から、すでに2.32倍の格差が生じているという。
・自民党に有利な小選挙区制の実態が明らかに
2014年12月に行なわれた総選挙が小選挙区ではなく、比例配分で行なった場合の比例代表の得票率を使ったシミュレーションでは、自民党以外の政党は皆、議席を増やすことになる。
そして、与党である自民党の議席数は実際の獲得議席と比例配分の差では133議席も水増しされていると山口氏は説明。
これは、自民党に有利な小選挙区制度であることを象徴している。
さらに、このシミュレーションでは、自民党、民主党と第三極、非保守諸党とを三分割に分けて見ると、議席数は均衡しているという。
山口氏は、このような議席配分だった場合、今の一強多弱な国会とはかなり違った政策に対する論戦の様相がみえてくるのではないかと推察する。
2013年7月の参院選も衆院選と同様、1人区の選挙区では無所属2名を除いて全て自民党が勝っており、2~3人区では自・民で票を分け合い、4~5人区では多党化が顕著になる特徴だったという。
・能力・経験の低さだけでなく、話題性や知名度、キャラクター重視になる政治家
小選挙区制が生み出す議員は、当選倍率の低下により選挙の風に左右されやすく、能力・経験の低下が指摘されている。
選挙に受かるために話題性や知名度、キャラクター重視になり、選挙資金・政党助成金を割り振ってくれる政党執行部に顔を向けてしまう傾向がある。
国民の声を汲み取る努力をして、経験を積み重ねる候補者がいなくなり、政治・政治家の劣化を生むと山口氏は言う。
・衆議院は比例代表制、参議院は大選挙区制
求められる選挙制度の要件として、山口氏は、適切な規模の選挙単位、適切な議員の定数、政党政治の発展と個人の立候補の自由の保障、二院制の有効性の発揮をあげた。
具体的には、衆議院はブロック単位の比例代表制により1票の格差も是正される17ブロック定数20~30人、参議院は定数の大きい大選挙区制で7ブロック定数20~45人を提案した。
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大量の死票を生み出し、有権者の声が反映されない小選挙区制に疑義~宇都宮健児氏らが「国民が主権者であることを実感できる」公正な選挙制度の構築を呼びかけ
IWJ 2015.2.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/229811
■一部の熱狂的支持さえあれば安倍政権は強気でいられる。民意と乖離した権力を生む小選挙区制の弊害
ハーバー・ビジネス・オンライン 2018.08.16
https://hbol.jp/pc/172929/
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衆議院選挙に、小選挙区比例代表並立制が導入されてから四半世紀(24年)が過ぎました。
この間、8回の衆院選が実施されました。
うち7回で、自民党を中心とする与党が議席の多数を占め、政権の座につきました。
どの政権も成立直後は、支持率が高く出るものの、小泉政権を除けば、次第に50%を切っていくのが通例になっています。
大半の政権は、支持率の低下で党内の求心力も低下し、内閣総辞職に至っています。
しかし、2012年末に成立した安倍政権は、支持率が50%を切っても、党内や支持者の求心力は低下しないどころか、ますます高まっているように見えます。
こうした状況をもたらしているのは、支持率が低下しても、選挙に負けないという政府与党と支持者の強気な自信が、背景にあると考えられます。
実際、2017年10月の衆院選では、支持率と不支持率が拮抗するような状況であったにもかかわらず、選挙結果では与党の大勝となりました。
これを可能としているのが、小選挙区制を中心とする現行の選挙制度です。
そこで、小選挙区制とはどのような選挙制度なのか、政治学を学んだことのない方でも理解できるよう、初歩の初歩から解説します。
・主権者とは何をする人?
選挙制度とは、主権者自らが行うべき法令の制定や執行などについて、それらの役割を代行してもらう人を、主権者の投票で代理人として指名するシステムです。
といっても、これはちょっと難しい表現ですね。
かみくだいて説明しましょう。
法律をつくったり、それを社会に適用したり、税金を集めたり、それを使ったりする権利を持つ人、それを「主権者」と呼びます。
かつての日本やヨーロッパでは「国王」や「天皇」が主権者でした。
それが、革命や戦争での敗北などによって、国王等から「国民」に主権者が替わりました。
国王等が主権者といっても、法律をつくるなどの業務(立法と行政)を、すべて一人で行っていたわけではありません。
国王等が、代理人を自ら指名して「あなたに頼むよ」と業務代行してもらうこともあれば、適当な方法で選ばれた代理人に「よきに計らえ」と、代理人の指名から業務代行までの一切を丸投げすることもありました。
後者の適当な方法の一つに、国王等が一定の条件で選んだ人々(例えば、貴族や金持ちなど)に、すべてを任せるものがありました。
・選挙制度は「代理人」を選ぶ仕組み
国王等が貴族たちに「任せた」といっても、貴族たちだけでもたくさんの人数がいて、全員が集まって何かを決めたり、実行したりするには、現実的でありません。
そこで、国王等から立法と行政を任された人たちで、少数の代理人を決め、代理人たちが実際に立法と行政に携わることになりました。
その代理人を選ぶ方法が、選挙だったのです。
ただし、国王等が主権者の時代、すべて貴族たちに任せたといっても、最後には国王等へ伺いを立てて決まっていました。
国王等には、形式的であっても拒否権もありました。
しかし、主権者が国民となると、常に主権者たる国民に伺いを立てていては、立法と行政が現実の課題に対応できません。
そこで、原則として「代理人たちの決定」を「主権者たる国民の決定」と見なすことにしました。
この考え方を「議会制民主主義」といいます。
原則としてというのは、極めて重要な案件や国民の一定数が求めたときには、代理人たちの決定の後、主権者たる国民自らの参加による決定のプロセスを経ることもあり得るからです。
憲法改正手続が、そうなっています。
ちなみに、主権者が国民であるとしても、選挙に参加できる「有権者」は、国民の中から一定の条件で限定されています。
現在の日本では「18歳以上の日本国籍を有する人」となっています。
有権者の条件をどうするかは、選ばれる公職ごとに違っていいのですが、本論から外れるので、ここでは便宜的に「主権者=国民=有権者」という前提で話を進めていきます。
要するに、選挙制度とは有権者の代理人を選ぶ仕組みということです。
・小選挙区制は「有権者の総取り」システム
小選挙区制の最大の特徴は、一つの地域(選挙区)から一人の代理人を選ぶことです。
視点を変えれば、その地域のすべての有権者の意思を一人の代理人が、代表します。
その地域のすべての有権者が、その代理人を支持していると見なすわけです。
その代理人を支持しない有権者の存在は、無視されます。
例えば、10万人の有権者がいるA選挙区で、投票した有権者が6万人で、そのうち4万人が与党候補者、2万人が野党候補者に投票したと仮定しましょう。
A選挙区の代理人たる当選者は、与党候補となります。
この場合、A選挙区10万人の有権者すべてが、与党を支持したことを意味します。
野党候補に投票した2万人と棄権した4万人は、衆院での意思決定において考慮されません。
すなわち、存在しないものと見なされます。
つまり、小選挙区制は、選ばれた一人の代理人が「有権者の総取り」をするわけです。
・「単純」小選挙区制が状況を複雑にする
小選挙区制といっても、代理人の選び方は一つでありません。
日本の小選挙区制は、すべて「単純小選挙区制」と呼ばれます。
これは、1位の票を得た候補者が当選する方式です。
加えて、一定の得票数(法定得票数)を上回らなければならない条件もありますが、これも本論から外れるので、省略します。
フランス下院のように、小選挙区制であっても、1回目の投票で過半数を得る候補者がいなければ、上位2人による決選投票が実施される小選挙区制もあります。
例えば、投票総数10万票で、保守A候補4万票、保守B候補5千票、革新C候補3万5千票、革新D候補2万票だと、A候補とC候補で決戦投票となり、D候補がC候補の支援に回って、C候補が当選することもあります。
日本のように、単純小選挙区制だと、A候補の当選となるところですので、議会の構成がずいぶんと変わることになります。
さて、単純小選挙区制のメリットは、分かりやすいことと、選挙を盛り上げやすいことです。
とにかく1票でも多い方が当選するというのは、社会科で選挙制度を学ぶ前の小学生でも理解できるでしょう。
また、互角の支持を持つ候補の対決となれば、選挙運動する人も、投票する有権者も、メディアも、みんな盛り上がるのは間違いありません。
デメリットは、民意を反映しにくく、民意と代理人の間にかい離を生みやすいことです。
これも例で示しましょう。
ここに、それぞれ10万人の有権者で構成される、10の単純小選挙区があるとしましょう。
それぞれA党とB党の候補だけが立候補したと仮定します。
《10の単純小選挙区でかい離が生まれる例》
いかがでしょうか。
当選者数で見ると、A党がB党を大きく上回り、圧勝しています。
けれども、得票総数は、B党がA党を上回っているのです。
A党の得票総数は、B党の74%でしかありません。
加えて、最大の総数は、棄権者なのです。
投票率にすると、62.5%となります。
ちなみに、2018年の衆院選の投票率は53.68%でしたので、この仮定が特に低い投票率というわけでもありません。
もちろん、この仮定では、選挙区ごとに有権者数が異なる、いわゆる一票の格差もありません。
これは仮定ですが、実際に同様のことは起きうるのでしょうか。
実は、2016年のアメリカ大統領選挙が、まさにこうした状況でした。
得票総数では、ヒラリー候補が上回っていましたが、当選したのはトランプ候補でした。
アメリカ大統領選では、州ごとに第一位の候補が、獲得ポイント(選挙人)を総取りします。
ヒラリー候補は、カリフォルニア州やニューヨーク州などの勝利した州で、トランプ候補に圧勝しました。
一方、トランプ候補は、勝利したほとんどの州で、僅差でヒラリー候補に競り勝ちました。
大差で勝っても、獲得ポイントは増えませんし、僅差で勝っても、獲得ポイントを総取りできるのです。
アメリカ大統領選は、50の単純小選挙区で選ばれる代理人が、それぞれの保有ポイントを投じてリーダーを選ぶ仕組みなのです。
これで、単純小選挙区制が、民意と代理人との関係を複雑にし、民意を政治に反映させにくい仕組みと、分かるでしょう。
・たくさんいる「小選挙区制」の代理人
このように書くと、衆院の小選挙区制の問題はあるとしても、衆院の比例区や参議院があり、自治体の知事や市区町村長、議員もいるので、小選挙区制だけで日本の政治が動くわけではないと、指摘する人もいるでしょう。
そこで、日本にどれくらい小選挙区制の代理人がいるのか、調べてみました(2018年8月現在。参院は2018年の法改正前の定数。福島県、岐阜県は複数定数区としてカウント)。
衆院:289人(465人中)
参院:58人(242人中)
都道府県知事:47人(47人中)
都道府県議会議員:442人(2704人中)
市区町村長:1747人(1747人中)
意外に思われたかも知れませんが、一つの選挙区から1位の得票の候補を代理人として選ぶ小選挙区制は、衆院小選挙区の他にも数多くあるのです。
知事や市区町村長は、すべて小選挙区制です。
また、参院の1人区、都道府県議会議員の1人区も、小選挙区制なのです。
また、都道府県議会の小選挙区は、都市圏に多いのです。
小選挙区選出議員が20人を超える議会は、7府県あります。
茨城県は定数63のうち22人、埼玉県は定数93のうち27人、千葉県は定数95のうち20人、愛知県は定数102のうち25人、大阪府は定数109のうち31人、兵庫県は定数87のうち21人、福岡県は定数86のうち20人が、小選挙区の選出です。
逆に少ない県は、地方圏に目立ちます。
小選挙区選出議員が2人以下の議会は、5県あります。
富山県は定数40のうち2人、滋賀県は定数44のうち1人、和歌山県は定数46のうち2人、鳥取県は定数35のうち2人、沖縄県に至っては定数48のうちゼロです。
さらに、目に見えない小選挙区の代理人は、もっとたくさんいます。
カウントはできませんが、ほとんどの市区町村議会議員です。
彼ら・彼女らのほとんどは、自治会や町内会、集落等の単位で候補者を選定し、選挙運動をします。
見えない小選挙区の区割りが、あたかも存在するかのように「オラが地域の候補者」を選出するのです。
つまり、小選挙区は衆院にとどまらず、実態としては日本に多く存在しているといえるでしょう。
・首相指名も小選挙区制
首相指名は、465人の衆院議員を有権者とする小選挙区制です。
首相指名では、衆院の議決が参院に優先します。
参院で誰を指名しようと、衆院の指名者が首相になるわけです。
衆院の定数465のうち、小選挙区選出議員は289人(62.15%)です。
その衆院で多数を得た人が、首相になるわけです。
実質的に、小選挙区の二乗のようなことが、首相指名で起きているわけです。
その分だけ、民意とのかい離が起こりやすいことも意味します。
自民党から選出される首相は、行政の長であることに加え、自民党総裁として、国会多数派の長、都道府県議会多数派の長、市区町村議会多数派の長となります。
なぜならば、衆院、参院ともに自民党が第一党です。
都道府県議会でも、市区町村議会でも、たいていの場合、自民党議員(あるいは自民党の国会議員を支援する無所属の保守系議員)で構成する会派が第一会派です。
また、小選挙区(1人区)選出の議員は、国会と都道府県議会を問わず、多くが自民党議員です。
そして、自民党の選挙では、小選挙区選出の衆院議員が支部長として、あらゆる選挙に臨みます。
衆院選はもちろん、参院の全県区、知事・市区町村長、都道府県議会議員、市区町村議会議員と、衆院の小選挙区を要とした「選挙マシーン」がフル稼働します。
つまり、現在の自民党政権は、小選挙区制に支えられているといっても過言ではありません。
小選挙区制は、自民党の生命線なのです。
・国会・議会に比例の要素を増やす
しかしながら、小選挙区制の民意を反映しにくい点は、選挙制度として致命的な欠点です。
首相指名、都道府県知事、市区町村長の選挙が小選挙区であることを避けられないとすれば、それ以外の選挙を民意に比例的な選挙制度とし、より多様な民意を反映できる立法と行政を実現する必要があります。
民意に比例的な選挙制度とは、簡単にいえば、30%の考え方は30%の議席、20%の考え方は20%の議席と、考え方の支持割合と議席割合を近づける制度のことです。
それでも、行政の長は小選挙区制(多数派)で決まるので、完全に世論に比例的な立法や行政になるわけではありません。
ただ、国会・議会が世論に比例的な構成であれば、行政も国会・議会を軽視しにくいのではないでしょうか。
そして、その背後にいる有権者の意見も軽視しにくくなり、より対話と合意形成に基づく政治・行政が展開されることでしょう。
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一部の熱狂的支持さえあれば安倍政権は強気でいられる。民意と乖離した権力を生む小選挙区制の弊害
ハーバー・ビジネス・オンライン 2018.08.16
https://hbol.jp/pc/172929/
■『さよなら! 一強政治』
著者:三井マリ子 2020/08/31
https://a.r10.to/hN9WJO
https://www.junposha.com/book/b527782.html
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いまの政治は正当な民意なのだろうか?
民主主義を壊す小選挙区制に迫る。
マイノリティや女性の声の反映する民主主義社会を築きたいのであれば、比例代表制が好ましいのは議論の余地がない。
しかし、小選挙区制から大きな恩恵を受けている政党からすれば、それに代わる比例代表制の話にはおいそれと乗らないだろう。
でも、私は変えたい。変えなくてはいけないと思う。
・「はじめに」より
日本の政治は、腐臭ただよう泥沼にはまっている、と私は思っている。
例えば森友学園事件。安倍政権は、学校法人「森友学園」のために、大阪府豊中市にある国有地を8億円も値引きしてこっそり売却しようとした。
なんでこんなえこひいきを企んだのだろう。理由は想像できる。
「森友学園」を建てようとしていた塚本幼稚園は、「日本民族のための日本民族の憲法の創出」を掲げて、子どもたちに戦前の教育勅語を暗唱させていた。
安倍晋三・昭恵夫妻は、その教育方針にいたく感銘を受けたのだろう。
「内閣総理大臣夫人」昭恵は、ある時は園児たちが唱和する姿を見て感涙にむせび、ある時は園の保護者たちに講演をし、あげくは森友学園の名誉校長まで引き受けた。
しかし8億円の値引き闇取引は、木村真豊中市議の執念の発掘作業で明るみに出た。
安倍首相は、2017年2月の国会で野党から厳しい追及を受けると、「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁した。
ここから、官僚たちの忖度改ざん作業が始まった。
財務省は売却にかかわる14件の決裁文書から、安倍首相や妻・昭恵の“におい”を削除した。改ざんを命じたのは、佐川宣寿財務省理財局長(当時)だとみられたが、2018年6月に出た財務省の調査報告書は、佐川局長は「改ざんの方向性」を決定づけたなどと、あいまいな表現でお茶をにごした。
ところが今年になって、改ざんを命じられて苦悩の末に自殺した財務省近畿財務局職員の妻が、夫の遺書ともいえる手記を公表した。
手記には、公文書改ざんは「すべて、佐川局長の指示です」と書かれていた。
手記公表後の世論調査は、森友学園を巡る公文書改ざんについて「再調査する必要がある」は73.4%、「必要はない」は19.6%(共同通信2020/3/28)。
再調査を要求していた野党に加えて、この圧倒的国民の声。
ところが安倍首相も麻生太郎財務大臣も、「再調査の必要はない」と突っぱねた。
なぜこんな、やりたい放題が通用するのか。
それは、自民党が圧倒的な数の議席を保持しているからである。
だけど、この一党独裁が正当な民意なのかは極めて疑わしい。
2017年の衆院選を見てほしい。
第一党の自民党は、小選挙区での得票率が5割に満たなかったのに、289選挙区の218選挙区で当選者を出すことができた。
これは7割以上にあたる。「小選挙区制選挙」という現在の制度のもとでは、5割以下の支持で7割、8割の当選者を出せる。
つまり小選挙区制選挙によって生まれた国会の多数派は、「虚構の多数派」といえるのではないか。
虚構の多数派を生み出す選挙制度が続く限り、森友事件も、いや、桜を見る会事件も、加計学園事件も、小渕事件も、甘利事件も、カジノ汚職事件も、河井夫妻の公職選挙法違反事件も、黒川検事長の定年延長事件も……なくならないだろうと私は思っている。
ではどうしたらいいのか。
選挙制度を、民意がほぼ正確に反映する比例代表制中心に変える以外にない、と私は心から確信するようになった。
法律を変えるのは国会であり、国会議員の多数が変えようと思わない限り変わらないのだから、その困難さはわかっているつもりだ。
しかし、この腐臭のする政治のままでいいと考える人は少ないはずだ。
平塚雷鳥は、一九一一年九月、雑誌『青鞜』創刊号に「元始、女性は太陽であった」で始まる宣言文を寄せて、女性解放ののろしをあげた。
彼女は、その最後をこう結んでいる。
「烈しく欲求することは事実を産むもっとも確実な真原因である」
そうだ、「比例代表制に」と烈しく欲求することから始めよう、と心に誓って、私はこの本を書いた。
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『さよなら! 一強政治』
著者:三井マリ子 2020/08/31
https://a.r10.to/hN9WJO
https://www.junposha.com/book/b527782.html
■『ここまできた小選挙区制の弊害―アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』
著者:上脇博之 2018/2/3
https://a.r10.to/hURYtx
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/222619
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1994年に小選挙区制が導入されて24年になるが、2012年の総選挙でたった4割強の得票率だった自民党が8割近い237議席を獲得。
その結果“つくられた多数派”の虚構の上げ底政権が戦争法や共謀罪法などの立憲主義を蹂躙する違憲の法律を次々と制定し、独裁国家と実質変わらない政治がまかり通っている。
昨年10月の衆議院総選挙でも小選挙区制の重大欠陥が効果を発揮し、安倍政権の改憲への暴走をもたらしている。
憲法学者の著者は、財界が望む「完全小選挙区制」導入の問題点を指摘し、「参議院の合区」や「1院制」論を批判しながら、今こそ憲法違反の小選挙区制を廃止し、民意を最大限に尊重する「完全比例代表制」にかえ、衆議院は定数600、参議院は定数300に増員すべし、と明快に説く。
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得票率50%未満の自公が議席「3分の2」を独占できるカラクリ。
そして、膨大な死票が生まれ、国民を選挙から遠ざけ投票率は低迷…。
その元凶が小選挙区制度であることを徹底分析します。
世界の多く、先進諸国の多くは比例代表制です。
今こそ、憲法違反の小選挙区制を廃止して、シンプルで民意を最大限反映する完全比例代表制に!
と筆者は訴えます。そして、その道筋を提案します。
そして、異常に高い日本の供託金。
政党助成金のとんでもなさ。
選挙制度研究の第一人者の筆者が、日本の選挙制度の諸問題を解き明かします。
データ、図表満載。分かりやすさ抜群です。目からウロコの一冊!
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『ここまできた小選挙区制の弊害―アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』
著者:上脇博之 2018/2/3
https://a.r10.to/hURYtx
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/222619