■コロナ&消費増税の「ダブル危機」で令和大恐慌へ…?
週刊現代(講談社)2020.3.12(小川匡則)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70975
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「消費増税でめちゃくちゃになっているところにコロナショックがやってきたことで、『令和恐慌』とも言える状況になってきました」
藤井氏がそう語るように、いまの日本経済は危機的状況になりかけている。
実際、政府が発表した19年10~12月四半期の実質GDPは年率換算で-7.1%という惨憺たるものだった。2月に発表された一次速報値では-6.3%。それでも衝撃的な数字だったが、それをさらに大幅に下方修正することになったのだ。
しかも、これは消費増税が始まった昨年10月から、まだコロナショックが及んでいない12月までの数字である。まさに消費増税による悪影響の結果そのものであり、日本経済はこれからさらにコロナショックの甚大な影響を受けることになるわけだ。
藤井氏はまず、昨年末の消費増税が「日本経済に与えた影響」について明らかにする。
「消費税は消費をすることへの罰金としての機能がある」
・日本経済が完全に破壊されかけている
藤井氏が言う。
「内需を示す小売販売額は昨年10-12月期で-3.8%でした。これまで過去2回の消費増税時の同時期と比較して、2倍の悪影響を及ぼしています。今回は過去2回の増税時よりも日本経済が弱体化していたため、影響が大きかった。その上、10%というキリの良い税率からくる心理的インパクトもマイナスに作用しました」
さらに、藤井氏によると今回の増税による景気悪化の深刻さは過去2回とは質が異なるという。そして、「卸売り総額」のグラフを示した。
「卸売りは内需だけでなく、外需に対しても行なっています。つまり、『小売販売額』では内需の増減を見ることができますが、『卸売り総額』は内需と外需を合わせた増減を見ることができるのです」
結果はなんと「8%のマイナス」である。
「これまで2回の増税に比べて実に5倍もの落ち込みです。過去2回は輸出が冷え込んでいなかったので、内需の落ち込みをある程度カバーしてくれていた。しかし、今回は18年の後半からずっと輸出が冷え込んでいる状況下での増税だったので、内需に加えて外需までもが大きく冷え込んだ。これはとてつもないことです。まさに日本経済が完全に破壊されるような状況にあります」
その「日本経済が破壊されている」ことを端的に示すのが次のグラフだ。これは「名目GDP」の推移である。
「実質GDPが-7.1%だったという結果が衝撃をもって報道されましたが、より注目すべきは、名目GDPが-5.8%と極端に落ち込んでいることです。
過去2回の消費増税では微増もしくは微減でした。つまり簡単に言えば、増税前に100万円使っていた人は増税後も100万円使っていたということです。だから実質GDPは下がるが、名目GPDの落ち込みはあまりなかった。ところが、今回は増税前に100万円使っていた人が増税後には94万円しか使っていないということです。これは恐ろしいことです」
・このままではサラリーマンの給与が1割も減る
こうした経済状況では当然、実質賃金も下がる一方だ。
藤井氏は続ける。
「サラリーマン給与は安倍政権が始まるまで105.7だったものが、19年時点で99.2になり、6.4ポイント下落しています。今年は通年で消費税10%に上がった影響が出るので最低でもさらに2ポイント近く下がるのは確実で、もはや安倍政権下で8%も賃金が下がることはほぼ確定でしょう。
その上、今回のコロナショックとデフレスパイラルですから、賃金の下げ幅は10%にも及ぶ可能性がある。残念ながら安倍内閣は日本を貧困化させているのです」
ところが、政府見解は「景気は緩やかに回復している」との強弁を繰り返している。これには藤井氏も怒りを隠さない。
「科学的に見ても明らかな嘘。もはや犯罪的ですらあります」
その上にコロナショックである。百貨店は今年2月の売り上げで大丸松坂屋が21.8%減、高島屋で11.7%減、三越伊勢丹で15.3%減。大丸心斎橋店に至っては、45.5%減という凄まじい落ち込みだ。
旅行や出張の需要が大幅に減少したことから飛行機や新幹線などの交通機関、宿泊施設も大幅に売り上げが減ることは明らかだ。他にも大相撲が無観客試合になり、Jリーグは開幕延期。大学の卒業式などの催しは中止となるなど経済的な悪影響は甚大である。
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■コロナ&消費増税の「ダブル危機」で令和大恐慌へ…?
週刊現代(講談社)2020.3.12(小川匡則)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70975