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■コロナ&消費増税の「ダブル危機」で令和大恐慌へ…? 週刊現代(講談社)2020.3.12(小川匡則)

2022-04-30 04:08:37 | 日記


■コロナ&消費増税の「ダブル危機」で令和大恐慌へ…?

週刊現代(講談社)2020.3.12(小川匡則)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70975


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「消費増税でめちゃくちゃになっているところにコロナショックがやってきたことで、『令和恐慌』とも言える状況になってきました」

藤井氏がそう語るように、いまの日本経済は危機的状況になりかけている。


実際、政府が発表した19年10~12月四半期の実質GDPは年率換算で-7.1%という惨憺たるものだった。2月に発表された一次速報値では-6.3%。それでも衝撃的な数字だったが、それをさらに大幅に下方修正することになったのだ。


しかも、これは消費増税が始まった昨年10月から、まだコロナショックが及んでいない12月までの数字である。まさに消費増税による悪影響の結果そのものであり、日本経済はこれからさらにコロナショックの甚大な影響を受けることになるわけだ。


藤井氏はまず、昨年末の消費増税が「日本経済に与えた影響」について明らかにする。

「消費税は消費をすることへの罰金としての機能がある」


・日本経済が完全に破壊されかけている


藤井氏が言う。

「内需を示す小売販売額は昨年10-12月期で-3.8%でした。これまで過去2回の消費増税時の同時期と比較して、2倍の悪影響を及ぼしています。今回は過去2回の増税時よりも日本経済が弱体化していたため、影響が大きかった。その上、10%というキリの良い税率からくる心理的インパクトもマイナスに作用しました」


さらに、藤井氏によると今回の増税による景気悪化の深刻さは過去2回とは質が異なるという。そして、「卸売り総額」のグラフを示した。

「卸売りは内需だけでなく、外需に対しても行なっています。つまり、『小売販売額』では内需の増減を見ることができますが、『卸売り総額』は内需と外需を合わせた増減を見ることができるのです」


結果はなんと「8%のマイナス」である。


「これまで2回の増税に比べて実に5倍もの落ち込みです。過去2回は輸出が冷え込んでいなかったので、内需の落ち込みをある程度カバーしてくれていた。しかし、今回は18年の後半からずっと輸出が冷え込んでいる状況下での増税だったので、内需に加えて外需までもが大きく冷え込んだ。これはとてつもないことです。まさに日本経済が完全に破壊されるような状況にあります」


その「日本経済が破壊されている」ことを端的に示すのが次のグラフだ。これは「名目GDP」の推移である。

「実質GDPが-7.1%だったという結果が衝撃をもって報道されましたが、より注目すべきは、名目GDPが-5.8%と極端に落ち込んでいることです。


過去2回の消費増税では微増もしくは微減でした。つまり簡単に言えば、増税前に100万円使っていた人は増税後も100万円使っていたということです。だから実質GDPは下がるが、名目GPDの落ち込みはあまりなかった。ところが、今回は増税前に100万円使っていた人が増税後には94万円しか使っていないということです。これは恐ろしいことです」

 

・このままではサラリーマンの給与が1割も減る


こうした経済状況では当然、実質賃金も下がる一方だ。

藤井氏は続ける。

「サラリーマン給与は安倍政権が始まるまで105.7だったものが、19年時点で99.2になり、6.4ポイント下落しています。今年は通年で消費税10%に上がった影響が出るので最低でもさらに2ポイント近く下がるのは確実で、もはや安倍政権下で8%も賃金が下がることはほぼ確定でしょう。


その上、今回のコロナショックとデフレスパイラルですから、賃金の下げ幅は10%にも及ぶ可能性がある。残念ながら安倍内閣は日本を貧困化させているのです」

ところが、政府見解は「景気は緩やかに回復している」との強弁を繰り返している。これには藤井氏も怒りを隠さない。


「科学的に見ても明らかな嘘。もはや犯罪的ですらあります」

その上にコロナショックである。百貨店は今年2月の売り上げで大丸松坂屋が21.8%減、高島屋で11.7%減、三越伊勢丹で15.3%減。大丸心斎橋店に至っては、45.5%減という凄まじい落ち込みだ。


旅行や出張の需要が大幅に減少したことから飛行機や新幹線などの交通機関、宿泊施設も大幅に売り上げが減ることは明らかだ。他にも大相撲が無観客試合になり、Jリーグは開幕延期。大学の卒業式などの催しは中止となるなど経済的な悪影響は甚大である。

 

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■コロナ&消費増税の「ダブル危機」で令和大恐慌へ…?
週刊現代(講談社)2020.3.12(小川匡則)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70975

 


■コロナショックで日本の失業率は6%突破、戦後最悪シナリオの中身 週刊ダイヤモンド(2020.5.26) 木内登英:野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト

2022-04-30 04:08:18 | 日記

 


■コロナショックで日本の失業率は6%突破、戦後最悪シナリオの中身

週刊ダイヤモンド(2020.5.26)

木内登英:野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト

https://diamond.jp/articles/-/238372

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・コロナショックで日本でも雇用情勢は急速に悪化、失業者は265万人増加、失業率は6.1%と戦後最悪に

 

そこで以下では、先行きの日本の失業者増加数と失業率を予測してみたい。

その際に参考とするのは、2008年9月のリーマンショック後の雇用情勢だ。


翌年の2009年7月には、失業率は5.5%と戦後最高水準にまで達したのである。

リーマンショック後には、実質GDPはそれ以前の水準から8.6%下落した。


一方この時期に、就業者数は196.9万人、2.9%減少している。

実質GDPの変化率に対する就業者数の変化率を示す弾性値は、0.34である。


景気の悪化に対して、企業はその3分の1程度の雇用調整を実施したことになる。

他方、今回の景気の悪化は、リーマンショック時を上回る可能性が高い。


筆者の見通しでは、実質GDPは2019年7-9月期のピークから11.6%下落する。

これは、リーマンショック後の景気の落ち込み幅の約1.3倍である。


リーマンショック後と同様に就業者数の弾性値を0.34とすると、労働者265万人が職を失う計算となる。

その場合、失業率はピークで6.1%に達する。


失業率は戦後初めて6%台に乗せるのだ。 

 

・「隠れ失業者」517万人を含むと失業率が11.3%まで上昇する深刻


ところで、失業者とは定義されないものの、休業状態にある実質的な失業者数は相当数に達するだろう。

そこで、実質GDPの減少分だけ就業者の調整が行われると仮定した場合の潜在的な失業者を、まず計算する。


そこから、実際の失業者数を引いた部分を「隠れ失業者」としよう。

隠れ失業者数は、リーマンショック時には355万人、今回は517万人になると推計できる。


その場合、隠れ失業者を含む失業率は11.3%まで上昇する計算だ。

実質的には、日本でも失業率は2桁に達すると予想することができるのである。

 

・リーマンショック時より雇用情勢が悪化しやすい面も


以上では、リーマンショック時の経験に即して、先行きの失業者増加数と失業率を推計した。

他方で今回は、リーマンショック時と比べて雇用情勢をより悪化させやすい要因もある。


リーマンショック時には、海外経済の悪化や貿易金融の混乱などによって、輸出の悪化が際立った。

その際に最も大きな影響を受けたのは、輸出型大企業であった。


それに対して現在では、最も大きな打撃を受けているのは飲食業など内需型サービス業である。

それらは、中小・零細企業が中心である。大企業と比べて中小・零細企業は雇用を維持する力が格段に弱いはずだ。


倒産や廃業に追いこまれることで、労働者が職を失うケースも多いだろう。

 

(中略)


政策が十分に機能しない場合失業者300万人超、失業率7%近くに


政府による雇用維持の政策、あるいは企業の経営維持を図る給付金、家賃支援策などが十分に機能しない場合には、中小零細企業で倒産、廃業あるいは雇用者の解雇の動きがより広範囲に広がることになるだろう。


そうしたケースで、景気悪化に対する就業者の減少の弾性値が、リーマンショック時の0.34の2割増し、つまり0.41になると仮定しよう。

その場合、失業者増加数は318万人と300万人を上回り、失業率はピークで6.9%と未曽有の7%水準に近付く計算となる。

 

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■コロナショックで日本の失業率は6%突破、戦後最悪シナリオの中身
週刊ダイヤモンド(2020.5.26)
木内登英:野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
https://diamond.jp/articles/-/238372


■消費落ち込み最大、4月11.1%減 全国で外出自粛響く 日本経済新聞(2020年6月5日)

2022-04-30 04:08:00 | 日記


■消費落ち込み最大、4月11.1%減 全国で外出自粛響く

日本経済新聞(2020年6月5日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60009710V00C20A6MM0000


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新型コロナウイルスの感染拡大で4月の国内消費が大きく落ち込んだ。

総務省が5日発表した家計調査で2人以上の世帯の消費支出は26万7922円と、物価変動の影響を除く実質で前年同月比11.1%減った。


減少率は比較可能な2001年以降で最大。

外出自粛でパック旅行費が97.1%減、外食が67.0%減などサービス分野を中心に壊滅的な数字となった。


00年に調査対象の世帯の範囲を変えたため単純比較できないが、総務省によると「確認できる1986年まで遡ってもここまでの落ち込みはない」。

前年を下回るのは消費税率を10%に上げた19年10月から7カ月連続。


支出の水準を示す季節調整済みの指数も前月比6.2%低い86.9と00年以降で最低となった。

4月は政府の緊急事態宣言が全国に出て外出自粛や買い控えが広がった。


総務省の担当者は品目別の消費支出の動向について「緊急事態宣言が出た頃から底に張り付いて動かなくなったものが多い」と説明した。

前年同月比6.0%減と5年ぶりの減少率だった3月より深刻な状況となった。


レジャー関連はパック旅行費のほか、遊園地入場・乗り物代が97.8%減、宿泊料が94.7%減、映画・演劇等入場料が92.7%減と落ち込んだ。

休業が相次いだ居酒屋などの飲酒代は90.3%減、レストランなどの食事代も63.3%減った。


外出機会が減ったことで交通運賃も軒並み急減した。

航空は94.5%、鉄道は89.9%、バスは71.5%、タクシーは69.8%の減少だった。


病院の診察料などの保健医療サービスも14.8%減。

「コロナ禍で診療を控える人が増えて患者数が激減した影響が出ている」(同)という。学習塾などの教育関連の支出も2.8%減った。


在宅勤務の拡大や入学式などの式典の縮小・中止で衣料品の需要も減った。

背広服は79.9%減、婦人用スラックスは61.5%減となった。


お祝い金や香典などの支出も急減している。


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■消費落ち込み最大、4月11.1%減 全国で外出自粛響く
日本経済新聞(2020年6月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60009710V00C20A6MM0000


■これまでとまったく違うヤバい円安が起きている~デフレマインドに支配されているのは日銀だけ~ 東洋経済 2022/04/02  小幡績 : 慶應義塾大学大学院准教授

2022-04-29 04:51:38 | 日記


■これまでとまったく違うヤバい円安が起きている~デフレマインドに支配されているのは日銀だけ~

東洋経済 2022/04/02  小幡績 : 慶應義塾大学大学院准教授 

https://toyokeizai.net/articles/-/578849

 

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円安はヤバい。

このままでは、日本経済は破綻への道をまっしぐらだ。


・これまでとまったく違う円安が起きたワケ


3月28日、為替は一時1ドル=125円を突破した。

これは、10年物国債利回りが0.25%に上昇したため、日銀は複数日にまたがって国債を決まった利回りで無制限に買い入れる連続指し値オペを初めて実施すると発表したことによる。

つまり、日銀は、長期金利を抑え込む姿勢を鮮明にし、為替トレーダーは、アメリカ中央銀行であるFEDとの方向性の違いが改めて鮮明になったことを嫌ったのだ。


29日、岸田文雄首相は原油価格・物価高騰への総合緊急対策を4月末までに取りまとめるよう関係閣僚に指示した。

そして、30日には、官邸に黒田東彦総裁が呼ばれ、岸田首相と1時間会談した。

これを受けて、円は1ドル=121円台まで戻した。


わざわざ誰もが知っているこの数日の円の大幅下落と乱高下を改めて描写したのは、今回の円の大幅下落は、これまでの円安局面とまったく違うことを改めて示すためである。


それは、ほぼすべての日本の人々が、円安を悪いことだと思っているということだ。

政治家たちまでもが、円安を止めるために躍起になっているのだ。

これは画期的だ。


そして、さらに驚くべきことは、その中で、日銀だけが円安を指向しているということだ。

これは、日本の戦後において初めての状況であり、まさに歴史的転換点なのである。


さらに、さらに、最悪なのは、これはあるべき姿の正反対であることである。


つまり、本来あるべき姿=通貨の番人たる一国の中央銀行にとってもっと重要なことは、自国通貨価値を維持すること、守ることであり、通貨価値を安易に毀損しようとする政治的勢力と戦い、通貨を「ポピュリストたち、経済を理解していない人々」から守り、価値を死守することが、唯一最大の役割なのである。


そのために、中央銀行の政治的独立性が重要なのであり、日本銀行も独立性を獲得するために、悲願だった日銀法の改正を21世紀に入る寸前、1997年になってようやく達成したのである。

 

・「通貨の番人」が自ら通貨価値を下落させようとした


それにもかかわらず、皮肉なことに、日銀自らが通貨価値を下落させることに躍起になり、政治家たちがそれを止めようとしているのである。

これがこの世の終わり、日本経済の終わりでなくて何であろうか。

これがヤバいことは、経済の素人にも一目瞭然である。

具体例も目の前にある。ロシアのウクライナ侵攻が起こる前の世界のリスクといえば、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の「ご乱心」によって「トルコリラの暴落を止めるため」などと称して、中央銀行に金利を下げさせて、暴落が大暴落を呼んでいたことだった。


つまり、トルコの破綻が新興国の通貨市場、金融市場に波及することを恐れていたのであった。

通貨価値が下落するとどれだけ悲惨になるかということは、トルコ経済を見ればわかる。

さらに、ロシアもルーブルが暴落し、この防止が最優先で、ウラジーミル・プーチン大統領は、原油や天然ガスの支払いにルーブルを強制しようとしたが、これもルーブルの価値を回復するためであった。


そもそも、自国通貨は強いほうが良い。

これは、経済学においては、はっきりと成立している。

そして、実際の経済においても、明白だ。

短期的な雇用維持、あるいは目先の需要喚起として、一時的には自国通貨が弱いことのメリットがある場合があるが、それを続けていれば、国富が目減りし、経済は衰退する。

これは、「日銀は庶民が苦しむ円安政策をすぐ変更すべきだ」でも書いた通りだ。


しかし、事態はより深刻である。本当にヤバいのである。

その理由は、冒頭で述べたように、日銀が、あえて円安が進むような金融政策をとったからである。


無制限指値オペの連日の実行だけでなく、それ以外の通常の国債買い入れを倍増させ、さらに、イールドカーブコントロール政策で明示的に約束している10年物の国債だけでなく、それ以上の満期、20年物などの超長期債までも、買い入れの予定になかったにもかかわらず、急遽買い入れを行ったのである。

 

・日銀だけがあえて円安を指向した


これは、大事件だ。

これを行えば、円が急落することは当然予想されたはずである。


しかし、それでもあえて行ったのである。

しかも、明示的にコミットしている10年国債金利0.25%を死守するだけでなく、それ以上の期間の金利をも低下させようと、積極的にサプライズを起こした買い入れを行ったのである。


これは、大事件どころか、「大大大事件」である。

なぜ、こんなことを日銀が行ったのか。


日銀は、これまでも金融政策に失敗したことは何度かある。

もっとも大きなものは、1985年のプラザ合意後の急激な円高に対して、金融緩和を継続したことである。

この結果、国内不動産市場、株式市場、そして実体経済にも、日本の歴史上最大のバブルに拍車をかけることになった。

これは、円高不況と言われ、政治的に「何がなんでも円高を止めろ」、という政治の圧力に抵抗できなかったからである。


これは失敗だが、当時としてみれば仕方がない面もあり、理解できる。

しかし、今回は、政治的な圧力は逆方向なのである。


輸入価格の高騰による物価高を抑える、

そのために円安はなんとしても抑える、という政治的圧力なのである。


しかし、それに抵抗して、円安を指向したのである。

しかも孤軍奮闘して、日本銀行だけが円安をあえて指向したのである。

 

 

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これまでとまったく違うヤバい円安が起きている~デフレマインドに支配されているのは日銀だけ~
東洋経済 2022/04/02  小幡績 : 慶應義塾大学大学院准教授 
https://toyokeizai.net/articles/-/578849


■金利上昇なら債務超過も 袋小路の日銀がいまだに金融緩和を唱える隠された理由 論座 2022年04月28日 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

2022-04-29 04:51:18 | 日記

 

■金利上昇なら債務超過も 袋小路の日銀がいまだに金融緩和を唱える隠された理由

論座 2022年04月28日 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

https://webronza.asahi.com/business/articles/2022042600007.html


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・「インフレ下の低賃金」が定着した日本


3月の消費者物価指数が前年比0.8%上昇したのに対し、企業物価指数は9.5%も上昇した。

今は企業が物価上昇の痛みを負担している形だが、いずれ限界がきて消費者物価に転嫁される。


日本銀行の黒田東彦総裁は「この物価上昇は持続しない」(4月22日の米国講演)と語るが、コロナ禍もウクライナ侵攻も長期化が予想され、物価のすう勢は変わらないだろう。


一方、今年の春闘は賃上げ率が例年並みの2%強にとどまり、「インフレ下の低賃金」の構図が定着。

生活はじりじり苦しくなっている。


円安の直接的な理由は、米国が長年の金融緩和・低金利政策に終止符を打ち、正常化とインフレ抑制に向けて強力に動き出したことにある。


米国はゼロ近辺だった政策金利を3月に0.25%上げた。

5月には0.5%上げ、年内に3%程度にする見通しだ。

金融緩和で膨らんだ保有資産を圧縮する「量的引締め」にも進む。

 

・日銀は「指し値オペ」で低金利を市場に徹底


一方、日本は9年前にアベノミクスが始まって以来、低金利と金融緩和を今も続けている。

このため日米の金利差が拡がり、投資家は低金利の円を売って金利が高いドル資産(米国債など)を買っている。

これで円安(ドル高)が進む。


ところが日銀は円安に歯止めをかけるのではなく、逆に拍車をかけるような対応をしている。


4月下旬に行った「指し値オペ」がそれである。

10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れるという市場操作で、「金利は0.25%以上には上昇させない」と宣言したのに等しい。

投資家は安心して一層の円売りに走った。


黒田総裁や鈴木財務相は「急速な円安は好ましくない」「悪い円安だ」と、円安を口先でけん制しているが、市場では誰も本気にしていない。

 

・発行国債の半分を保有、金利上昇なら巨額の評価損


日銀や政府が、円安・物価高の原因である金融緩和の是正に動こうとしない理由はなにか――背景にあるのは、日銀の財務内容の異常な悪化である。

日銀はこの9年間、金融緩和策に沿って国債を買い続け、資金を政府と市場に供給してきた。

その結果、保有する国債残高は長期・短期合わせて528兆円に膨らみ(上のグラフ)、発行国債の約半分を占めている。


このうち長期国債(503兆円)の平均利回りは0.226%(21年度上期決算)である。

現在の市場の長期金利もこれに近い水準にある。


ところが、仮に金融正常化に移行して1%でも長期金利が上昇する(価格が下がる)と、日銀には「逆ザヤ」が発生する。

発行国債の半分を保有するので膨大な額(兆円単位)の評価損が生じる。


9年間の金融緩和で、日銀の財務は金利上昇に対して極めて脆弱になった。

この裏事情が知れ渡れば、国債も円も日銀自身も信認を失うだろう。


日銀が4月に「指し値オペ」で長期金利を抑え込んだのは、5月末の決算公表を前に評価損発生を防ぐのが目的だったという見方が出ている。

さらに7月に参院選を控えているという政治判断があったのかもしれない。

 

・当座預金でも巨額の損失、債務超過の恐れ


また日銀の当座預金口座には、銀行などから、緩和されても使い道のない余剰資金が預けられている。

9年間で残高はどんどん膨らみ、541兆円に達している。


日銀が金利を上げる場合は、この当座預金に支払う金利を引き上げる手法をとる。

仮に正常化して金利を1%引き上げると、日銀の支払い金利は5.4兆円増える。

日銀の年間純利益は約1.2兆円なので、損失の垂れ流しが始まり、簡単に債務超過に陥ってしまう。


これでは永遠に金融正常化に移行できない。

これほどの金利上昇リスクを抱えた中央銀行は先進国に例をみない。


同じ問題は政府の財政にもある。

金融緩和によって国債の発行残高は1000兆円を超えた。

財務省の試算では、1%の金利上昇でも国家予算の利払い費は6、7年後に約10兆円増える。

この費用をどのように捻出するのか、こちらも深刻な問題だ。

 

・進むも退くもできない袋小路に


円安の進行を放置すれば物価は上がる。

かといって円安・物価高を抑えるために正常化(金利上昇)に向かえば、日銀の巨額の評価損や債務超過が現実になる。

政府財政もひっ迫する。


つまり今、日銀は現状放置も正常化もできない袋小路に入ってしまった。

ひたすら物価上昇が一時的で終わるのを願っている。

投機筋から足元を見られている。


日銀が毎年出す「金融政策の点検」は、エコノミストらの再三の指摘にもかかわらず、自らの財務悪化に一切触れようとしない。

国民の目からそらしているとしか思えない。


円安の元をたどれば、日本の経済停滞、国力低下という構造的な要因に行き当たる。

「日本売り」という表現が流行っている。

人口減少、貿易収支の赤字、財政規律の緩み、日銀の財務悪化等々……。


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金利上昇なら債務超過も 袋小路の日銀がいまだに金融緩和を唱える隠された理由

論座 2022年04月28日 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

https://webronza.asahi.com/business/articles/2022042600007.html