強迫性神経症

強迫性神経症は、神経症の中で最も遺伝傾向が高いといわれています。よくみられるものに「強迫観念」「強迫行為」があり、これは不合理だと自分で理解しているのにやめられないのが特徴で、やめようとすると「不安」が起こります。重症になると強度の不安感に襲われ、数時間以上にわたり強迫行為を続けることがあります。強迫観念を必ずしも本人が不合理と思っておらず、妄想に近い観念を抱いていることがあります。

何度も同じことを繰り返すということは、通常でも見られる行為かもしれませんが、日常生活に支障がある場合は、治療の必要があります。特にこの疾患は、思春期から青年期にかけて多く見られますが、中高年でも見られ、幅広い世代で発症します。ストレスが原因で発症するわけではありませんが、過度のストレスによって、一時的に悪化させる要因になる事があるようです。環境の変化、生活スタイルの変化によって、発症する場合もありますので注意が必要です。

発症のきっかけには、学業不振や進学、過労、引越し、異性関係、入学、卒業、就職、結婚・出産、育児の悩みなどがあります。不合理という自覚がない場合もあり、不登校や家庭内暴力の背景にメンタル疾患が隠れている場合もあるようです。この頃の強迫神経症は、本人の気持ちで治せるものでもありませんし、周囲の理解が必要になってきますし、専門医にかかることも必要です。家族、学校などへも理解と協力が得られるようにしていきます。スムーズな作業や行動ができなくなるので、仕事を続けられなくなったり、人間関係を遠ざけて引きこもりのような状態になる場合もあります。

原因は、ストレス因子が直接の原因とされていますが、メンタル疾患では軽症と思われがちです。ストレスの積み重ねによって、周囲とのかかわり、人間関係などへの影響、他のメンタル疾患を引き起こすことが考えられます。ストレスが原因ですので、早いうちにストレスをなくすことで症状は改善されます。診察やカウンセリングを通して、自分の性格や行動パターンを振り返り、ストレスが何か、そのストレスへどう対応していくか、そのストレスに、いかに強くなるか（ストレス耐性を高める）を考え、理解し洞察を得られるようにするといいでしょう。

精神療法や薬物療法などでも速やかに改善することもあります。適応障害の治療では、環境調整と周囲のサポートが必要ですが、本人の弱さ、甘えが原因と思われるケースもあります。本人が持っている適応能力を引き出すことが必要です。
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