ぼくは
毎年この畑の隅っこに芽を出し
健やかな花を咲かせ
まるまると育つ
ぼくの上に
大きく拡がる柿の木も
秋が深くなり北風が泣き始めると
赤い葉っぱがみんな放れていくよ
そんな日が来ると
つゆ草色した空を駆け抜ける千切れ雲を
ぼくはいつも
眺めやっているんだ
友達は
みんな地中に帰って
ぼくは畑の片隅で独りぼっちになり
赤い柿の葉っぱが
「おおーい淋しくはないかー」って
地上すれすれに風乗り遊びを始めるよ
畑の隅っこに忘れ去られて
淋しくないはずないよ
晩秋の風にさらされる
ぼくの淋しさは
小屋に居眠るふりしている
はしちゃんは
知っているよ