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種子に綿毛の付いた植物はいろいろあるが、このベニバナボロギクの綿毛はふんわかと柔らかな感触は大好きだ。野草で綿毛の代表はタンポポだが、球状になった綿毛をそっとつまんでみると案外にも針のような種子の足に弾力性がある。オキナグサの長い綿毛も幼いころ頬っぺを膨らしてふーっと吹いて遊んだものだ。
ベニバナボロギクの綿毛をそっと指で触れても綿毛はすぐに風には乗らないで、柔らかな優し気な感触はしばらく指先にまとわりつく。息を吹きかけてもタンポポのように一気に旅に出ようとしないで綿毛が小さな束を作り根元に落ちていく。それにしてもこのふんわりした柔らかさは極上だ。
ボロギクさんは、原産がアフリカとのこと。ベニバナの呼び名は赤い色だから納得いくがボロギクとなぜ呼ぶのだろうか。真白な綿毛がボロ布をまとっているようだと言うのだろうか。それでは、ベニバナボロギクさんが気の毒だ。淡い赤い色した花はぱっと開くことはなく気恥ずかしそうに咲いている。愛(いと)しい人でも密かに待っているかのように。
恋しやとボロギク咲きて野昏れゆく(はしちゃんの句)より