神奈川絵美の「えみごのみ」

情熱と静寂の舞台 - ロシオ・モリーナ日本初公演 -

アート関係のつてで
染色家 佐藤節子先生より、渋谷オーチャードホールでの
フラメンコ公演のご招待にあずかった。


この日の装いは……

フラメンコとは何一つ関連性のないコーデだけど
佐藤先生とお会いするので、先生作の蒲公英の帯を。
着物は、生憎の雨模様だったので、水に強い大島紬。
帯揚げは薄オレンジの絞り。帯締めは京都の「むら田」さんのもので、
蒲公英帯のときには「お決まり」と言っていいほど、よく合わせている。


佐藤ファミリーと。
総勢15名ほど、1階席のほぼ真ん中という素晴らしい席をご用意くださり大感激。
(二列後ろに、U崎竜堂、A木耀子夫妻が)

先生のお召し物は……

新緑を思わせる木版のお着物に(右上は柄のアップ)、
抽象柄の帯。
先週、オペラを観に行った際、先生の妹さんが締めていたものと色違い。
どちらも、濃い色の着物にも薄い色の着物にも合いそうですね。

「あらぁ、たんぽぽ」
座席でみなさんにお太鼓をお見せしたら、佐藤先生、とても嬉しそう。
昨年、今年とこの蒲公英モチーフが人気で、
帯も着物もいくつかお嫁に行ったのよ、と話してくださった。



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さて、私にとっては初めてのフラメンコ鑑賞。

座長はロシオ・モリーナという弱冠30歳の若手舞踏家で、
スペインの芸術・ダンス・文化の中でももっとも栄誉ある賞の
受賞歴がある。
日本舞踊にも伝統的に受け継がれている作品と、創作があるが
フラメンコも同じで、
今回の公演は、彼女が過去10年間に発表した代表作から、見せ場を
盛り込んだオムニバス的なプログラムとのことだった。


素ではあどけなさが残る顔立ちだが……


舞台では「強く妖艶な女性」。
約1時間半のステージを、ほとんど出ずっぱりで務めたのに、
息切れ一つしない。
常に体の芯がまっすぐで、腹筋が強そう。
国宝級のプロなので当然といえば当然だが、どんなに激しいタップを踏んでも
足がもつれたり、カラダが前かがみになったり、リズムが乱れたり、
そんな気配がみじんも感じられない。

舞台演出も私には新鮮で、
フラメンコ、と聞くとどうも、騒がしくやたら明るいバー&レストランで
大勢の人が手拍子を打ち、……といった派手なシーンを想像してしまうのだが、
実際は

こんな風に、ギターとカンテ(歌)が端にいて、
バイレ(踊り手)が一人~演目によって二、三人、
舞台を広く使って踊る、ただそれだけ。
質素な椅子や、演出に使う砂の入った器などがあったものの、ほとんど「舞台美術」とは
いえない地味なもの。
背景も、ときどき赤や青、黒、など変化はあったが、あくまで踊りが主役。


そもそも「ロシオ・モリーナ舞踏団」といっても、
カンテ1、ギター2、男性のバイレ3(兼カンテ)、
そしてロシオ本人、のたった7人で
音楽といえばギター、声、そして手拍子、何かを叩く音くらい。
しかしその中で踊るロシオの、ダイナミックな肢体の動きは情熱があふれ出ていて、
フラメンコ=お祭り騒ぎの中で観る余興、という先入観が見事に吹き飛んだ。

「……知っているつもりで、全然知らなかったね、フラメンコのこと」
終演後、思わず隣にいたライブ友のBさんに、こうもらした。

残念だったのは、演目の解説がまったくなくて、
踊りやカンテにどんな意味があるのが
何をあらわした作品なのかがわからなかったこと。
舞台脇に字幕のように一言、掲示されていればより親しみがわいたかな。


百聞は一見にしかず。ご興味ある方は下の動画を見てみてくださいね。

コメント一覧

神奈川絵美
香子さんへ
こんにちは
長嶺ヤス子さん! 私も名前は知っていますが、
ステージを観たことがなく…。
今回、結構カルチャーショックを受けました。
フラメンコって、思っていたよりずっとリズム重視だし、
肉体も使うなあ・・・などなど。

確かに!佐藤先生の帯、スペイン風ですよね
神奈川絵美
とうこさんへ
こんにちは
私もフラメンコを生で観たのは、今回が初めてです
伝統芸能なのに、(創作が入っているからか)
舞台の雰囲気も含めて、前衛的だなあと思いました。

ライブ後はすぐ解散だったのですが、
ライブ前にフレンチの軽食レストランで、
お友達3人とおしゃべり(うちお一人はフラメンコを
習っているということで)。盛り上がりました
香子
フラメンコと言えば長嶺ヤスコさん…と
すっごく古いイメージなワタシです(年がバレバレ…笑)
絵美さんのタンポポ帯お久しぶり♪
そして佐藤先生の帯! 色合いがスペインっぽいわ~
とうこ
タンポポ帯、春ですね!素敵だなあといつも思っておりましたが、佐藤先生の作品なのですね。
フラメンコ、直に見たことないのですが、体の中まで波動が響きわたりそうですね。
帰りに余韻を、バルで・・・アー~~都会が羨ましいだあ!!
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
いやーフラメンコ、私にはちょっとしたカルチャーショックでした。
記事にはカンテや手拍子(パルマというのですね)のことまで触れられなかったのですが、おっしゃる通り、素人が適当にできるものではないですよね~すごく複雑!
あのリズム、日本にはないかも…。
以前、りらさんが、カンテは難しいと話してくださいましたが、実際に観てようやく、実感できたと思います。

タベルナは知っていましたが、ダブラオという言葉は
知りませんでした。そうそう、そういうところでのショーのイメージが強くて…ロシオ・モリーナの作品は、
芸術として一段高みにのぼったような、厳粛さがありました。
りら
なんか変だったなぁ・・・と、今気が付きました!
×タベルナ
○タブラオ
でした~。失礼いたしました。
りら
待ってました!
タンポポ帯も、公演のお話しも・・・
帯の明るい感じがアンダルシアっぽく、今の時季のフラメンコに合ってます!

最初に素晴らしい公演をご覧になるって、とても良いことですよねぇ。
私もビッグネームの大きな公演を見る機会は本当に少ないので、日本でのフラメンコ公演の状況はとても羨ましいです。

そうそう、タベルナ(居酒屋)やバルなどのショーの時ってとても賑やかな印象があるりますよね~。
でも実は観客が手拍子を打つのはご法度だったりするんです。
コンパス(リズム)をとても大事にしますから、ずれた手拍子は邪魔になってしまうんです。
ハレオ(掛け声)は皆どんどんかけて良いんですけど。
それゆえ、フラメンコの中心はパルマ(手拍子)だと言われることもあるくらいなんですよ。
指揮者もメトロノームのようなリズム刻みもなく、踊りと唄とパルマとがピッタリ合う、邦楽にもそういう部分がありますが、本当に「息が合う」というのを実感する瞬間ですね。
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