
路地で折れかけた紫陽花の一枝をみつけ
自宅に持ち帰りミルクピッチャーに。
浅い青のまま、季節を閉じ込めて。
5月最終週の週明け、文京区へ取材。
この日の天気予報は…雨のちくもり。


取材は午後7時すぎからだから、と
本塩沢のきものを衣桁にかけたのだけれど、
弱い雨がしとしと、降り続いている。


天気予報を信じていたのに、
したくをする時間になっても、しとしと、しとしと。


そう思って、着てしまったけれど、
とうとう、止むことがなかった。
仕方がないので、雨ゴートを……

本塩沢に、首里花織の八寸帯。
仕事きものとして、今までの経験から好感度では1、2を争うコーデ。
果たして、この日の取材先の医師は、
(私より数歳上の男性)
取材が終わったとたん、「あの、お着物……」と口を開き
-初めてです、着物の人……-
-印象に、残りますね……-
抑揚がなく、小声で淡々としているのに、
じわじわと、ゆっくりたたみかけるようにおっしゃるその口ぶりが
単に感心した、興味深い、という心もち以上の
衝撃の強さを物語っているようで。
ちょっとリアクションに迷い
「何かのときにはよろしくお願いします

営業トークに逃げてしまった。
天気予報には裏切られたけれど、
この本塩沢は、私の期待を裏切らない。