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明けて月曜、まるで魔法にでもかかったかのように
九段の桜が一斉に咲きそろった。
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年度末のばたばたがひと段落し、
開放感に浸ってポカポカ陽気の下、
都心へ美術展&買い物に。
この日の私は……
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福本潮子さんのトルファン綿の単衣に、
ルバース・ミヤヒラ吟子さんの花織の帯。
この間、awaiさんでいただいたばかりのブルーグリーンの三分紐に
オシドリちゃんを泳がせて。
帯揚げは(見難いですが)、帯締めと帯留めのポップなトーンに合わせて
黄色の蝶の飛び絞り。
お太鼓は光の加減で、柄が写らず残念
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今回、〝桜”はスリーシーズンコートの色と襦袢の柄で。
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さて、この日観た展示は……
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楽しみにしていた、コチラ。
八代将軍 徳川吉宗の時代から、
オランダの書物がたくさん日本に入ってくるようになり、
最初は学者から、そして次第に庶民へと、
外国の「珍しいモノ、新しい知識」が広がっていった。
それらはやがて日本文化にも浸透し、価値観すらも変えていく。
この展示はそんな「カルチャーショック」を今に伝える
江戸中~後期の絵画を中心としたラインナップ。
例えば……
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左は遠近法のはしり、
秋田藩士 小田野直武による「不忍池」の絵。
近景にくっきりした花をもってきて対比させる形式は「秋田蘭画」と称された。
なぜ秋田?
私もわからなかったのでウィキペディアで調べたところ、
簡単に説明すると、当時秋田藩(久保田藩)は財政難から脱却するため
鉱山開発を計画し、蘭学者であり地質にも詳しい平賀源内を秋田に呼んだところ、
そこで働いていた小田野直武に平賀が、遠近法を教えることに。
それがきっかけで、新しい絵画スタイルが生まれたそう。
右は円山応挙の眼鏡絵(レンズを通して見ると左右上下正しい位置に)。
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左から、歌川広重の鳥瞰図。
同じく歌川の影絵。
そして右端は栃木(下野)藩士 土井利位が雪を顕微鏡で見て起こした
「雪華模様」をもとにした印籠。
最初に戻って
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チラ見せしているのは歌川国芳のだまし絵。
……というワケで、
日本画が好きで、広重や国芳、応挙などをよく観ている人にとっては
新鮮味という点では物足らないかも知れませんが、
この展示は、画家ではなく、技法別にまとめられており、
当時何がきっかけで、どこへどんな風に広まったかと、
どんなオリジナリティが加わって日本文化として定着していったかが
わかりやすく解説されていて面白いです。
例えば顕微鏡は、イギリスから輸入されたものを改良して使い勝手を良くしたりとか
オランダから伝わった望遠鏡を模した際、周囲に金糸入りの布を巻いて美術的にも価値ある
ものにしたりとか。
(日本人ってすごいなーと、素直に思います)
今、浴衣などの柄で人気の雪花絞りも、
もとは「学問」として雪を顕微鏡で観察し書物にしたものが、身分の高い層から庶民へ次第に
広まり、
着物や手ぬぐいの柄として図案化されたりとか。
観進めていくほどに、
江戸時代の人々のオドロキぶりやワクワク感が、イキイキと伝わってきます。
江戸絵画の知識を得るのも当然よし、の展示ですが、
当時のフィーバー(死語?)ぶりや、斬新な発想を形にする時代の勢いを肌で感じる、
私はそこに、この展示の醍醐味があると思いました。
サントリー美術館は「イヤホンガイドに外れなし」、で、今回も推奨です。
ところで……
私が子どものころ「コレ、どーなっているんだろう!?」と
不思議でならなかったものの一つが万華鏡でした。
江戸の庶民の気持ちを想像しながら、自分が子どものときはどうだったかな、と
振り返るのも、また楽しいもの。
みなさんの、不思議・ビックリ体験は何でしたか?
※サントリー美術館の公式サイトはコチラ