神奈川絵美の「えみごのみ」

4月1日の“マジック”

つい先日、多摩方面で満開の梅を観たと思ったら。


明けて月曜、まるで魔法にでもかかったかのように
九段の桜が一斉に咲きそろった。



年度末のばたばたがひと段落し、
開放感に浸ってポカポカ陽気の下、
都心へ美術展&買い物に。


この日の私は……

福本潮子さんのトルファン綿の単衣に、
ルバース・ミヤヒラ吟子さんの花織の帯。
この間、awaiさんでいただいたばかりのブルーグリーンの三分紐に
オシドリちゃんを泳がせて。
帯揚げは(見難いですが)、帯締めと帯留めのポップなトーンに合わせて
黄色の蝶の飛び絞り。
お太鼓は光の加減で、柄が写らず残念


今回、〝桜”はスリーシーズンコートの色と襦袢の柄で。


--------------


さて、この日観た展示は……

楽しみにしていた、コチラ。

八代将軍 徳川吉宗の時代から、
オランダの書物がたくさん日本に入ってくるようになり、
最初は学者から、そして次第に庶民へと、
外国の「珍しいモノ、新しい知識」が広がっていった。
それらはやがて日本文化にも浸透し、価値観すらも変えていく。

この展示はそんな「カルチャーショック」を今に伝える
江戸中~後期の絵画を中心としたラインナップ。

例えば……

左は遠近法のはしり、
秋田藩士 小田野直武による「不忍池」の絵。
近景にくっきりした花をもってきて対比させる形式は「秋田蘭画」と称された。

なぜ秋田?
私もわからなかったのでウィキペディアで調べたところ、
簡単に説明すると、当時秋田藩(久保田藩)は財政難から脱却するため
鉱山開発を計画し、蘭学者であり地質にも詳しい平賀源内を秋田に呼んだところ、
そこで働いていた小田野直武に平賀が、遠近法を教えることに。
それがきっかけで、新しい絵画スタイルが生まれたそう。

右は円山応挙の眼鏡絵(レンズを通して見ると左右上下正しい位置に)。



左から、歌川広重の鳥瞰図
 同じく歌川の影絵
  そして右端は栃木(下野)藩士 土井利位が雪を顕微鏡で見て起こした
     「雪華模様」をもとにした印籠。

最初に戻って

チラ見せしているのは歌川国芳のだまし絵


……というワケで、
日本画が好きで、広重や国芳、応挙などをよく観ている人にとっては
新鮮味という点では物足らないかも知れませんが、
この展示は、画家ではなく、技法別にまとめられており、
当時何がきっかけで、どこへどんな風に広まったかと、
 どんなオリジナリティが加わって日本文化として定着していったかが
わかりやすく解説されていて面白いです。

例えば顕微鏡は、イギリスから輸入されたものを改良して使い勝手を良くしたりとか
 オランダから伝わった望遠鏡を模した際、周囲に金糸入りの布を巻いて美術的にも価値ある
  ものにしたりとか。
(日本人ってすごいなーと、素直に思います)

今、浴衣などの柄で人気の雪花絞りも、
もとは「学問」として雪を顕微鏡で観察し書物にしたものが、身分の高い層から庶民へ次第に
広まり、
着物や手ぬぐいの柄として図案化されたりとか。


観進めていくほどに、
江戸時代の人々のオドロキぶりやワクワク感が、イキイキと伝わってきます。
江戸絵画の知識を得るのも当然よし、の展示ですが、
当時のフィーバー(死語?)ぶりや、斬新な発想を形にする時代の勢いを肌で感じる、
私はそこに、この展示の醍醐味があると思いました。
サントリー美術館は「イヤホンガイドに外れなし」、で、今回も推奨です。


ところで……
私が子どものころ「コレ、どーなっているんだろう!?」と
不思議でならなかったものの一つが万華鏡でした。
江戸の庶民の気持ちを想像しながら、自分が子どものときはどうだったかな、と
振り返るのも、また楽しいもの。
みなさんの、不思議・ビックリ体験は何でしたか?



※サントリー美術館の公式サイトはコチラ

コメント一覧

神奈川絵美
香子さんへ
こんにちは
雨、恨めしいですよね…うちの近所もかなり散って
しまいました。
週末、小田原に花見&おでん祭り
行く予定ですが、どうかな…。
香子
例年定点観測していた九段の桜を
今年は行きそびれてしまいました (^-^;;
今日の雨で散ってしまったでしょうか、残念
神奈川絵美
U1さんへ
こんにちは
私、U1さんのブログへメッセージしようと思っていた
ところでした。確か以前、この展示にご興味をお持ち
とおっしゃっていたなーと思って。
さすが、チェック済でいらっしゃいますねー
展示点数、ちょっと少な目かもですが、
いろいろ勉強になる内容です。
良かったらイヤホンガイドを
東京の火の見やぐらレポも、楽しみにしています
U1
週末東京
こんばんは。
今週末、東京へ行きます。この展覧会を観る予定です。
楽しみです。
他にも火の見櫓を見るという目的があります(笑)。
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは~
あっ、武井武雄さんの展示? 高島屋カードで
割引なんですよねー行きたかったです。
花冷えの時期が過ぎると、本格的な帯付きシーズン
到来ですね。藍の木綿って、これからのウエットな季節に
マッチするとつくづく思います。
Tomoko
こんにちは。私もこちらへ行こうか迷いましたが、
機能日本橋高島屋へひとっ走り行ってきました。
同じく藍木綿(こちらはゆみはま絣)野帯つきで出かけましたが
木綿の単衣でちょうどいい陽気でしたよね。
今日はあいにくの雨ですが、帯つき姿にちょうどいい季節になりました。
神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
こちらの展示、会期がまだありますし、お時間あれば

トルファン、結構厚地なので、今ぐらいがちょうどいいかも
です。
何年も前ですが、浜美枝さんが真冬の2月に、
同じ福本潮子さんのトルファンをお召しになっていました。
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
こちらの展示、気になっていました。
なる程、面白そうですね。
ミッドタウンの桜も今が見頃でしょうか?
もう、トルファン着られたのね、そうですね~
暖かかったですものね。awaiさんのブルーの
三部紐が効いています♪ 春ですねぇ🌸
神奈川絵美
すずらんさんへ
こんにちは
そうでーす、じざいやさんでいただきました
もう5、6年前になるのでは…。
双子の片方かも。嬉しいです
桜、何とか持ちこたえて、週末まで楽しませて
欲しいですねぇ。
すずらん
こんにちは
もしかするとコートがオソロor限りなく双子かもしれません。
じざいやさんのですか?
明日は花散らしの雨のようですね。
本当に儚く美しいものです。
神奈川絵美
とうこさんへ
こんにちは
桜前線は2週間かけて、ゆっくり北上していくのですね。
私も、4月中旬に信州へ花見に行く予定です

トルファン…どうなんでしょうね。毎年着ていると、
微妙な色の変化などには気づきにくいのかも・・・。
でも確かに、しなやかさ、しっとり感は増していると
思います
神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは
いいな、いいな、ご近所ですものね。
今の時期、日中~夜はすごい人なので、
着物でもそんなに優雅にはいかず
朝のうちが快適ですよ~。
神奈川絵美
衣舞の袖さま
こんにちは~
びっくり! 一日違いだったのですね。
もしかして、お天気があまり良くない日だったのでは…
でも、ミッドタウン内なら美術館も、和のショッピングも、
カフェもあるし、みなさんと楽しいひとときを
過ごされたことと思います。
展示も、お友達と一緒だとより強く、記憶に残りますよね
とうこ
トルファンの季節なのですね。
色がだんだん、変わってくるのかしら。なんか、しっとりさも加味してきた感じ。素敵です。
こちらは、まだ朝は5℃くらい。数日前に日陰の雪置き場にまだ雪があるのを発見してしまいました。桜は二週間後くらいです。
はつき
ニアミス?
4月最初の日、私も九段方面に出かけて満開の桜を楽しんでました!
朝ヨガのついでにジャージ姿で自転車で、デスが^_^;。
絵美さんのように、お着物で優雅に楽しめば良かった…と、ちょっと後悔です。
衣舞の袖
一日違い!?
絵美 さま

お久しぶりです。
いつも読み逃げでしたが、楽しみにお邪魔しております。

実は30日に「きものでお花見の会」を催しまして、そのコースにサントリー美術館も
組み込んでいました。
一日違いでのニアミス(?)でしたね~
神奈川絵美
れいうささんへ
こんにちは
あはは、会社で江戸言葉! 「へい!“れ”の字」とか言いませんでした?そういえば私も会社員時代、殿とか姫とかふざけて呼び合ったひとときがあったような(笑)。

吹奏楽日記、拝読しました~。すごい、ジャズも演奏されたんですね。青春っていいですね
れいうさ
技法別にまとめられているなんて、面白そうですね。
作家別、時代別もいいけれど、
素人にはこういう企画が楽しいです。
どの国のどの時代にもタイムスリップできると言われたら、
私は迷わず日本の江戸時代を選びます!

会社員時代に時代小説ばかり読んでいた時期、
先輩への返事に「へい!」と答え、
確認を取るときに「先輩、これは〇○ですかい?」
と思わず口走ってしまった私です

そうそう、絵美さんに向けて吹奏楽の日記を書きましたよ
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
これだけ満開になってしまうと、もう桜の着物は…
という気分になりまして、
これからウエットな季節にかけて、トルファンが活躍
しそうです

鳥瞰図、ロマンがありますよねー。
人々にとってはまだ、
空を飛んで上から街を眺めるなんて
夢のような話でしたでしょうし。
サントリー美術館は切り口がいいんですよね。
私自身は広重、国芳、応挙のこうした技法は
すでに観て知っていましたが、
この展示では、時代の大きな気運として、
同じ時間軸に、ほかにどんな技法が興っていったのかも併せて把握できて、
江戸時代の活気を感じることができました
りら
桜の花と共に、またこのトルファン綿のお着物の時季になったのですね~。
コートと襦袢の桜が満開の時季にピッタリの合わせ方で素敵です!

またまた面白い展覧会が開かれていますねぇ。
江戸って、TVの時代劇を見ていると悪代官に苦しめられる農民とか~、お茶目な町娘とか~、馬に乗って砂浜を走る将軍とか~・・・もういいですね・・・
画一的なイメージになりがちですけど、実は世界の歴史の中でも稀にみるほど庶民は自由で闊達だったりしてるんですよねぇ。
広重の鳥瞰図、数年前こちらの日本の木版画展で見ました!
センスの良さに圧倒されましたっけ。
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