少し前にお会いした染色家 佐藤節子先生がそうおっしゃるのを聞き、
これは観に行かないと、と
仕事の合間にぱっと一幕見席をとって、歌舞伎座へ。
平日なのに、大賑わいで
手頃な席は一幕見も含め、完売だと窓口で聞きました。
私は……
季節先どりの藤をあしらった小紋に
藤田織物の"芽生え”八寸、そして久々に
定式幕の色が入った帯締めをしていきました。
詳しくは次回、紹介しますね。
清々しいほど見晴らしの良い、一幕見席です。
何度か行ってみて結局、一列目の中央、25番の席がもっとも
見やすいという結論に達しました。
さて、演目は……
鶴屋南北の於染久松色読販(うきなのよみうり)中、
今回はサイドストーリー的な、土手のお六と鬼門の喜兵衛の話。
百両欲しさに死人をすりかえ、「私の弟がそちらの暴力のせいで亡くなった」と
うその言いがかりをつけるも、肝心の?死人がお灸で生き返り、
弟にされた町人もひょっこりあらわれて、大失敗に終わる
悪党夫婦の物語。
私、思ったのですがこういう、憎たらしい役どころって
あまりリアルに見せると不愉快になるし、
だからといって控えめにすると伝わらないし、
とても難しいであろうところ、
さすがこのお二人はキャラを立たせながらもわざとらしくなく、
ああこういう人たちって現実にもいるよねーと思わせながらも
生々しくはない、見ていて気持ち良い美しさがあって
最後のさいごまで惹きこまれました。
まあその、令和の日本では今、24億円を窃盗したとか不正送金したとかの
話題でもちきりなので
百両≒今の一千万円すら何だか可愛く思え
お二人の(いい意味での)小悪党ぶり、トホホな顛末のおかしさが
はからずも引き立ったような気がします。
脇役の、おバカちゃんな丁稚や正直者の嫁菜売りも好演でした。
小ずるい番頭さんはちょっと私には、台詞が聞き取りにくかったかなあ。
次の神田祭はもう、ニザさま玉さまの魅力満開で
ただただ、うっとり。
特にニザさまは、どうしてその御年でこれほど
若くいなせな役を自然にこなせるのだろう、と驚きを禁じ得ません。
顔つきも姿勢も所作も、若者そのもの。
最後、花道で玉さまを抱き寄せたかと思うと
周囲のお客さんに見られちゃった!と照れに照れて
頭に手をやるなど、サービス要素も多く楽しかったです。
私はここで失礼し、最後の演目(四季)までは観られなかったのですが
ああ、いいものみたなあ、心の養分になったなあ、と
大満足でした。
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