
出張時は八寸か、許されるなら半幅が断然ラク!
というわけで、今回はスーツ着物+アーガイル柄の八寸帯に。
これも“仕事コーデ”のラインナップに入れておこう

ランチは味噌煮込みうどんの有名店で。
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つゆはとーっても美味しかったけど、うどんが硬いよ~

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(ここからはシリアスな病気の話題になります。ご興味のない方はとばしてください)
さて、この日の取材テーマは「脳腫瘍」。
悪性のものは、体にできるがんとは違う性質、特徴を持ち、
ゆえに取材する側としても難しい領域の一つだ。
話し手は有名大学病院の教授で、
大学の枠を超えた集まりでも座長を務めるほど地位、実力とも高い医師。
しかし、一般にもたいへんわかりやすいお話しで、
1時間半があっと言う間に感じるほど、会話がスムーズに進んだ。
今は治療法に限りのある病態についても、
「将来は、こんなこともできるかも知れない」と、展望をお話しくださったときの
高揚した感じ、キラキラしたお顔だちが今でも脳裏に焼き付いている。
取材後、同席したクライアント側の営業さんが、私を褒めてくださった。
「さすがインタビュー慣れしていますね」
-ここまで深い話は、我々ふだん、なかなか聞けないのです。
先生、ノリノリだったじゃないですか。-
そんな、くすぐったいような言葉を素通りさせながら、
私は2年前のある日のことを思い出していた。
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2年前の冬。その日も脳腫瘍の取材だった。
取材先は、今回とは別の病院の、私より少し年上と思われる中堅の医師だ。
おもなテーマは、病理学上もっとも悪性度が高いとされる
「膠芽腫(グリオブラストーマグリオーマ)」。
事前に勉強したものの、やはり難しい。
でも、今までの取材経験から、
インタビューの要領は得ているので、何とかなるのではないかと
今思えば「えいやっ」という気持ちだったかも知れない。
しかし、落とし穴は思わぬところにあった。
知識が足りない部分は、その都度聞けば、どの医師も丁寧に教えてくれる。
(わからないのに、質問が恥ずかしいからとそのまま流してしまうことが一番いけない)
でも、このときの取材は、この病気に対する私の基本スタンスが
「なっていなかった」のだ。
この取材は、言うまでもなく書籍を制作するためのものである。
だから、どうしてもインタビュー側の心理として
「書籍のネタとして読者の気を惹く=売りになる」言葉を引き出したがる。
そこで、
有効な治療法がほとんどないとされ、予後も思わしくないこの病気に対し、
あるアプローチのもと臨床研究を行っているというこの医師に
「それで、成果は出ているんですか? どのくらい、いいんでしょうか?」
といったような、「成果」=読者の惹きになる内容 ばかりを問うてしまった。
そのときの、医師の曇った表情は、
時間が経つにつれ鮮明に思い出され、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
なにしろ難治性の病気。
国の限られた予算で、ようやく研究開始までこぎつけたことが
当時の「成果らしい成果」だったのだ。
-この病気と向きあっている患者さんや医師の気持ちに立つことが
できなかった-
2年間、何かにつけ思い出し、そのたびに、のどが詰まるような感じがしていた。
そして今回、また取材の機会が与えられると聞いて、
今度はそうなるまい、と心に決めていた。
でも。
以前の先生はその後別の病院に移ってしまい、
取材対象から外れてしまった。
できれば同じ医師に会って、
成長した自分を見てもらいたかった。
あのときの、気まずいムードを一掃したかった。
(……というのは、たいへん独りよがりな願いだけれど。)
せめてこれからは
2年前の医師が見せた悲しそうな表情に代えて、
今回の医師が、
もしかしたら自身が生きているうちには実現まで行かないかもしれない
治療のアイデアについて、
眼を輝かせながら話してくださったその表情を忘れずに、
医学と、仕事と、向き合っていこう。