神奈川絵美の「えみごのみ」

日本なのにね

この日は文京区の病院へ。


取材先のプロフィールを調べると、
エリート街道をまっしぐらの教授で、
写真も、挨拶文も、なんだかとってもまじめそう……。

(着物でも大丈夫かな)不安になったが、
あまり派手にならなければいいかな、と、スッキリしたコーデにしてみた。


さすがにポインセチアは、インパクトが強かったかなと反省し、
今回はなす紺の結城と、ルバースさんの花織の帯。
帯締めもシンプルに、着物の色に合わせて。


ところが。


「失礼します」
古びた研究棟、はがれた壁や暗い電球を気にしながら
教授室のドアをノックし、入ってみると……。

「やーいらっしゃい! お待たせしてすみませんでした」
先客が長引いちゃって……

そこには、肩書きがなければ
新橋の駅前で夜な夜なよたっている中間管理職のような、
小太りでニコニコ、ちょい赤ら顔のおじさんがいた……!

「ほー、いつも着物なんですか」
   「は、はい。し、4、5年前から……」→まだ環境に適応できていない
「珍しいですねえ」
そして彼は、一呼吸おいて一言
「日本なのにね」


それ以上、着物に対するコメントはなかったが、
帰宅後も最後の言葉がずっと心に残っていた。
そりゃ、誰も彼も「日本だから」と和服を着だしたら、
それはそれで、おかしな光景だろうけれど、
着物が「珍しい」と見られるのは、少し寂しいな。
いつだったか、「着物はコスプレですからぁ」と言った
呉服販売スタッフがいたが、
私はそういう感覚ではないなあ。

と思いつつ、一方で、
もし「この日は必ず、自国の正装または民族衣装を着ること」
という日が制定されたら、
今の日本はさぞ、バラエティに富んだ装いが見られるだろうなぁ、とも。
スクランブル交差点に、色とりどり、デザインさまざまな
服がひしめき合って…と想像すると、
(ちょっとしたファッションショーみたい!)ワクワクしてきた。


想像をめぐらすその舞台は、何故か秋葉原。


……やっぱり私も実は、コスプレ志向なのかしら。

コメント一覧

神奈川絵美
はつきさんへ♪
こんにちは はつきさんの場合は、そうなのですね。私は逆に、「実利を考える」とつまらなくなってしまうタイプなんです。
私にとっては、着物を着ることを躊躇しているかも知れない“心の中の自分”に、理屈で納得させているような気がして……。
もちろんそれは「日本人だから」というのも同じで、理屈で自分の心にシールしちゃっているような気がします。


ホントの気持ちはどうなの? と自身に問うたときに、「理由はなくても、むしろデメリットやリスクがあったとしても、今の私は着物が着たい、ただそれだけなんだ」という答えが出たときに、私は何も余計なことは考えず、着物を楽しんでいるように思います。
ウフフ、私、「うう脳」人間(インプットもアウトプットも右脳)なので
はつき
私の場合
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
皆さんのコメント読んで、いろいろ考え、私の場合、着物は「日本人だから」着るというより、「実利的メリットがあるから」着るんだなということに思い当たりました。
変に冷えない、着る物を体型に合わせて調整できる、そして自分では気づいていなかった女性性を表現できる(気がする(^^;))。もし「日本人だから着物を着ましょう」と言われたら、おへそがちょっと横についている私は絶対着ないだろうなあと(笑)。
でもメリットって着てみないとわからないんですよね。その一歩を踏み出すきっかけは、日常に着物を着る人の姿を見かけることなのかもしれません。
神奈川絵美
yuelinさんへ☆
こんにちは コメントありがとうございます
そうですよねえ、一般化するにはやはり着方が複雑なのかなあ、と文字通り「複雑」な気分になります。

肩幅がっしりのアスリートが浴衣となると、私は微妙なんじゃないかと思うのですが、確かにブレザーは芸がないような。和服を品よくアレンジしたコスチュームができたらいいですよね
yuelin
せめて…
もう少し、(皇室とか、結婚式とか)正装に着物を着るということと、日常着としての着物が定着してくれれば、と思います。
いつも思うのは、夏のオリンピックの開会式。どう見ても似合っていないブレザーとかを着ないで、浴衣を着たらいいのに!
(この問題は皆さん一番感じていること?それぞれ一家言あるようで、コメントも盛り上がっていますね~。かく言う私も!)
神奈川絵美
りらさんへ★
こんにちは そうですよね。私もコスプレ目的で着るのが悪いと思っているわけでは全然ないです。私自身にはそういう感覚はないなあということで…。
売り手の問題ですが、やっぱり、「ちゃんとした良いものを適正な値段で」というごく当たり前のことができていないところが、まだまだあるのではないかなあと思ったりします。
神奈川絵美
セージグリーンさんへ♪
こんにちは おっしゃる通り、セルフ突っ込みだったのだと思います まあ、外交では配慮しなくてはならない場面もあるのでしょうけれど、配慮のしかたというか、率直に言って「センス」がねぇ…と思うことはありますよね。
神奈川絵美
すいれんさんへ♪
こんにちは まあ、着物を着ることは「いつもと違う自分」になれる、という一面もありますので、その延長に「コスプレ」があるのは自然な流れかな、とも思います。
でも、当然ながら、着物=ぜんぶコスプレ、ではないわけで…。私は普通の生活で普通にファッションとして楽しみたいなあと思うんですよね…。
神奈川絵美
きむらさんへ☆
こんにちは 着物も「晴れ着」だけではなくて、いろんなTPOに応じたスタイルがあるんだよ、ということがもっと広まるといいなあと思うんですよねー。きもの雑誌でもたまにそういうコンセプトの記事がありますが、どうもリアリティが少ないようにも思います。ビジュアル重視だから、キレイすぎるのかなあ
りら
うーむ・・・・
私は、コスプレ認識になってしまった現状には様々な背景があって、仕方ない部分もあると思っています。
その背景の一端は売る側の姿勢も大きく関係していたわけですし・・・・なぁどとこちらで語ってはご迷惑ですが~。

何にせよ、一人でも、場が許す限りお着物を着てらっしゃる(しかもいつも楽しそうに)絵美さんはとても素敵だと思います。
セージグリーン
日本なのにね、なるほどね。
教授の、着物を着る人を珍しいと仰った、ご自分の言葉へのセルフ突っ込み(下品な言葉で、ごめんなさい)ですね。

先日のASEANの記念撮影が、胡錦濤主席に着物を着せるのは申し訳ないからとの理由で、ノーネクタイの容疑者スタイルになった、あの恥ずかしさと言ったら,例えようもありませんでした。
着物がダメなら、せめてビートルズのように藍色の法被、それがダメなら西陣のネクタイぐらい締めればよかったのに。


すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
茄子紺にピンク、完璧ですね。

でも、コスプレとは 悲しいです。
私も日本の民族衣装として、きものを着てますから。外国の人は誇りをもって、自国の衣裳をきますが、日本人ももっと誇りをもって着てほしいな・・・その中に、個性もいれながら。
きむら
そうですよねぇ
私も民族衣装デー賛成です。
どこを歩いても着物着物。
訪問着だろうが木綿だろうが着物であればいいって言うのは見てみたいですね。

神奈川さんの様にお仕事でも着物となると今回のコーデはビジネスっぽいですよね。
着物でもビジネス向けって見えるのは本当に着物をビジネスもプライベートも使い分けてる感があるのが素晴らしいと思いました。
神奈川絵美
運動会の足袋さんへ☆
こんにちは おお、ちょっとしたチャット状態かも

>フツ~の会社でフツ~のOLさんたちが
そうですよね。それもそんな「キレイなおべべ」でなくて、木綿とかウールとか、あと私のスーツ着物みたいなものとか、力仕事だってできます位のさりげない着物がもっとポピュラーになるといいなあ。
神奈川絵美
RUBEさんへ★
こんにちは ウフフ、そう言われれば、私も6年前まではまったく着物を着られなかったのでした。
まあでも一方で、着物を着始めてから、人生で何か大きな変化があったかというと、そんなことないんですよね。
もちろん、着物好きな方との交流が増えたり、お茶などの文化に目覚めたり、と楽しいことはいーっぱい増えましたが、仕事に何かすごく影響したとか、生活ががらっと変わったとか、そこまでのことはないし…。

ファッションの許容性が高い東京(近郊)という環境もあるのかもしれませんが、着物だからと構えず、普通に着ていて大丈夫かな、と個人的には思うのですが…。
運動会の足袋
コスプレ感覚なのは・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/tanbishugi
「大正浪漫」とか
成人式に現れる「お女郎さん」みたいに
着崩した一派とか
あの辺りじゃないかと思うんですよねぇ~。

『民族衣装を着用のこと』って、
以前のブータン王国みたいですネ♪
(当時のワンチュク国王が
 けっこうタイプでした♪)

むしろ、フツ~の会社で
フツ~のOLさんたちが
毎日キモノで出社しても全然OK!
という世の中になって欲しいわ~~★
神奈川絵美
かんなママさんへ☆
こんにちは 今回の教授に「お、着物も結構いいじゃん」と思ってもらえていたら嬉しいのですけど

洋服も、いろんなデザイナーが「その時代の常識」を壊しながら、新たなスタイルを提案してきたんですよね。伝統が…と眉をひそめる人もいるかも知れませんが、着物も一度そういうブレイクスルーがあってもいいのかな。
神奈川絵美
やっぴーさんへ♪
こんにちは 私も、洋服も着物も同じワードローブにあって(気持ちの上で)、自然に選べればいいと思うのですが…。

しかし同じく、着たい洋服がないし、それ以前に、もう洋服のトレンドがさっぱりわからなくなっています
神奈川絵美
Tomokoさんへ☆
こんにちは まー、「日本人ならいつも着物を着るべし」ってのも極論ですしね。家で着ていなくても雑巾がけしなくても、それはいいと思うのですが、普段の装いに「着物」という選択肢があることが、もっと普通になればいいんですよね。

着物の着方…改まった席ではきっちりした着付けが望ましいでしょうけれど、もっと簡略化できればいいのになあとは思います。
RUBE
そう言われると
たしかにね。
着物着れない日本人ですものね。
私も4年ほど前は着れなかったし(笑)
かんなママ
http://blogs.yahoo.co.jp/kannaoooo
絵美さま、こんばんは♪

いつも着物でお仕事をされている絵美さまに対し
「珍しいですね」と思われ、日本なんだから、本当は、もっと多くの人が普段着物を着たり、お仕事の時も着物を着たりしていても不思議じゃないのにね。と考えたんだと思いました。

国民総着物デ― 良いかも知れませんね(笑)
自分なりのファッションとして着物を楽しむとしたら、色んな着方の人が現れると思いますよネ(^o^)
やっぴー
う~ん
「日本なのにね」ですかあ~。
そうですねえ、明治以来諸外国に追いつけ…でしたもんね。

今の私は、洋服を着るように着物を着る…ですかね(笑)
着たいと思う洋服が無いとも言いますけれど
Tomoko
たしかに日本人なんですけども~
こんにちは。
この問題って、なんといいますか、着物をまったく持たずまったく着ない方々がそれを嘆く姿を見るたび、いつもこちらもなんだか複雑な思いを抱きますです。
もっとも、そういう自分も毎日着て生活(料理や掃除、ことにお風呂掃除や雑巾がけやなんか)しているワケではないので、そう考えると、ますます頭ん中がこんがらがってきてしまうんですけども・・・。
しかし、なんでこんな着方になってしまったんでしょう?江戸初期くらいまでの細帯びでゆるやかに着る着姿ではなぜいけないんでしょう?
一つだけずっと強く想い続けているのは、一人でも多くの人に着物を着てもらえると嬉しいな~ってコト、それだけデスわ~。
神奈川絵美
ルリ子さんへ♪
こんにちは なるほどお、そうですよね、自分の国の衣装なのに自分で着られない人がいるという事実こそ「珍しい」ですよね。

日本人の特性として、細かいところまで気がついちゃうので、長い歴史の中で着物の着方も複雑化しちゃったんでしょうかねぇ。
ルリ子
確かに・・・日本の正装
http://linaruli.weblogs.jp/
絵美様、こんばんわ。

ある方のお話のなかで「日本人だけです、自分で自国の国民衣装が着られない人がいるのは」といわれたのを覚えています。

韓国のチョゴリ、インドのサリー、など皆自分で着ることができる。 「日本なのに珍しいですね」に先生の複雑な思いを感じますね。
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