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苑内での大寄せ用に建てられた、比較的新しい茶室「弘庵(こうあん)」で
一服のお薄をいただいた。
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写真左手、ガラス越しに少し見える、
10畳ほどの広間。
40代くらいの男女がすでに上座の方に座っていたので、
私は遠慮して、離れた下座の方に。
しつらいにはあまり凝っておらず、
椿?侘助?が一輪、壁かけの花器に挿してあったのと
一幅の掛け軸のみ。
流れるような筆跡で、はっきり読めなかったので、
お茶を運んできてくださった方に尋ねると、
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-春風が人を迎え入れてくれる-だったか、
-春風が吹くように優しく人を迎え入れてくれる-だったか
よく覚えていないけれど、
季節を感じさせる、いい言葉だなあと思った。
そのことを伝えると
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相手もにこやかに。
それまで、掛け軸に気を留めていなかった、先のカップルが、
私たちの短いやりとりを聞いて、慌てて振り返りお床を見る。
書家の名前も聞いたのだけど、方南さんとしか聞き取れず。
1980年にお亡くなりになった、墨蹟研究でも有名な田山方南さんなのかな。
茶室内は撮影禁止だったので、筆致は頭の中にしかないけれど
ネットで調べると、似ているような・・・。
有楽苑を訪れてからすでに1カ月近くが経ち、
本物の春風がそろそろ、吹いてくるころかな。
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先ほどまで、NHKアーカイブで、澤地久枝さんのインタビュー番組を
観ていました。
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85歳という高齢にも関わらず、
語尾までしっかりとした語り口、言葉の選び方も的確で
飾らずまっすぐに、聞く側の心に入ってくるお話に、
思わず聞き入ってしまいました。
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お召し物は、結城に間道…?
「私は母親に、良い着物を着せてあげられなかったので、
代わりに自分が着ようと思って、50代から」と
ご著書で読んだことがある言葉を、インタビューでもおっしゃっていました。