三遊亭円楽引退

落語界の大御所・三遊亭円楽が２２日、現役引退の意向を表明した。司会をしていた「笑点」の卒業会見で、「落語をやるのは無理な気がする」と引退を示唆したものという。

　確かに、噺家という商売で滑舌に影響する病気は致命的ではある。記憶力もかなりつらいようだ。しかたがないが７３歳・・・潮時かも。
　笑点の司会は実に２３年勤めたという。その笑点も今年で番組４０周年。その卒業式典での引退宣言だったようだ。

　円楽は、名人とうたわれた三遊亭円生の弟子として入門、早くからその才を認められ、立川談志、古今亭志ん朝、橘家円蔵とともに、四天王と呼ばれていた。
　小生が学生の頃は、まさに四天王が大御所の円生・小さん・正蔵らに追いつこうという時期であり、いつ彼らの高座を見ても勢いを感じた。

　特に円楽の高座は、やや臭さはあったものの、談志や志ん朝の人情噺とは一味違い、けっこう好きであった。
　テレビ番組で、小生一緒に出演させてもらったことがある。そんなことを思い出した。円生が小さんとぶつかり、協会を分裂させたときも素直についていった。

　そんな噺家らしい噺家がまた一人引退した。すでに志ん朝は鬼籍に入り、談志もガンであと何年聞けるか・・・時代を感じてしまう。
「かつて桂文楽は、高座で固有名詞を忘れて『勉強し直してまいります』と言って、引退した。私もこれからもう１度落語をやるのは無理な気がする。」と円楽は言ったらしい。


　さすがに、円楽を大名人文楽と並べるのはちょっと・・・であるが、一線を引く決意は潔い。師匠の円生は死ぬ直前まで現役だったが、これはこれで立派だ。
　一方、円楽の後任の司会は歌丸。大喜利メンバーには、春風亭昇太が新加入、病気療養中の林家こん平の代役として出演している林家たい平が正式メンバーに昇格した。

　昇太は今、若手で輝いている噺家の一人だ。このチャンスをぜひ活かしてほしいが、芸が俗にならないことを祈りたい。
　読者の皆さんも、円楽の「薮入り」や「淀五郎」などの噺をDVD等で聞く機会があればぜひお勧めしたい。

　聞けば、５６歳から人工透析を続けているという。やはり噺家って、健康とはほど遠い生活が宿命なのかも知れないなあ・・・小生も気をつけようっと。