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小生お気に入りの噺家のひとりの三遊亭兼好の会である、「人形町噺し問屋」に誘われ、先日出かけてきた。
聞くとコロナ禍で1年以上中断していたという。それでパンフの方にも、お久しぶりね・・・なんて書いてあるんだ。
さて、開演にあたりいきなり兼好が挨拶に登場。いつもの通り早口でまくしたてるが、その内容の面白いこと・・・すっかりやられてしまったが、気が付けば25分も経っていた。
ちょっと長い挨拶だったが、冗長にもならず聞かせるのはさすがである。そして開口一番、けろよんの登場だ。
初めて聞くが、情報によればしっかりした前座という噂・・・と思いつつ聞いたが、やはり前座にしてはしっかりした感じ。ネタは「雑排」だった。
続いて兼好の登場。芝居系のマクラから始まったので、七段目か? とも思ったが、下座は揃ってなさそうだし・・・と聞いていたら「四段目」だった。
生では久しぶりに聞くが、現三平が大昔やっていたのを思い出した。もちろん比べるのも失礼なぐらいで、兼好の手にかかるとこんなに面白いかと・・・
以前も書いた記憶があるが、兼好の師匠の好楽は先代正蔵と圓生の流れをくむ貴重な存在。笑点での地味なムードのまま見ているともったいない。
そのため、兼好も変則な噺家に見えて、実は芝居の基礎もしっかりしていて、付け焼き刃ではないことがよくわかる。
中入りをはさみ、ヒザに出てきたのが岡大介。カンカラ三線という楽器一本で歌う芸人だ。歌の内容は政治風刺などで、その点では松元ヒロにも近いかと。
そして、再び兼好の登場。四宿の話題から廓系のネタかと思っていたら、始めたのが「居残り佐平治」だ。
小生が初めてこのネタを聞いたのは、国立小劇場の落語研究会で圓生がやったのを聞いたときだった。
それ以降、何人もの演者で聞いているが、そのどれとも違う兼好ワールドに完全にやられてしまった。
どこか黒い部分があり、ドスの効いた佐平治を演じていた圓生や談志、華やかなムードに包まれる志ん朝に対し、こちらの佐平治はあくまで明るい。
それがいかにも兼好流だという感じか・・・終演後、同行三人で話したのは、もはや圓生を継ぐのは兼好しかいないのではないかって・・・意外に思われるかも知れないが。
逆に圓生が今存命なら、彼の芸をどう見ていたんだろうと・・・けっこう評価していたのではと。
正統派に見えない正統派・・・それが兼好の本当の評価かも知れない。
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