今では、年に一度の必殺になってしまったが、やはり必殺はいいなあ・・・と思ってしまったのが6月28日放送の「必殺仕事人2020」だった。
ストーリーはいつものように悪に翻弄されて、犠牲になった人の恨みを晴らすというお約束のものだが、大昔のシリーズからこの作品は、時の社会風刺を織り込むのが特徴。
オイルショックの頃は「油の抜け荷(密輸)」を取り上げていたし、今回の作品では振り込め詐欺が「親騙し」として登場。
さらには半グレやひきこもりなども登場し、悪の総権化がなんと奉行という・・・って、写真は記事とは関係ありません(念のため)
昨年の記事では、飯豊まりえが登場し、それ以前の山本美月とともに、どうして小生のお気に入りの女優さんばかりと書いたが、今回は小生が知らない森川葵さんという女優さんだった。
だが、彼女もしっかり騙され、殺される・・・必殺の欠点というべきか、しかたないお約束で、必ず犠牲者が出ないとことは始まらないという・・・
もっとも水戸黄門なども犠牲者が出るのがお約束なのでいたしかたないか・・・だが、今回の森川葵のケースには思わず感情移入してしまった。
それにしても、毎回「あっ、こいつが絶対悪だ」と思わせてくれて、しっかりその通りになるのはつまらんともいえるが、安心もする。
そうそうその一方で、ついでにいえば、今の殺しの手口には意外性がなく、もうひとつ物足りない。かつての中条きよしの三味線の糸のような・・・
それでもなお、クライマックスに入り、ファンファーレが鳴ると、それだけでテンションが上がる。このテーマが鳴ればもう気分はアゲアゲだ。
暗闇に潜み、悪の屋敷に潜入した仕事人が、画面に映ると、このテーマが・・・うわわ、たまらん。
冷静に考えると、これらのテーマは時代劇とは関係ない曲調なんだが、それでもなおこれらが鳴るとシーンが頭に浮かぶ人は多いはず。
それだけ、皆さんも仕事人に頼みたい人がいるに違いない・・・小生にももちろん・・・っても警察に通報されないようにしなくっちゃ(苦笑)
かくして車の中で、必殺メロディ集を聞いている小生でした・・・(汗)
この「必殺2020」都合で後半しか観られず全体像がつかめなかったのが残念でしたが、聴けた範囲では「音楽=BGMは以前の旧作を踏襲」と聴きました。思い出しますのはかつて「ハリウッド?の関係者が来日した際に日本の時代劇を観た際の感想が、日本的音楽を期待したがハリウッド的な洋楽だった」と。おそらく時代的には「大江戸捜査網中盤頃」であり、やはり西洋人の捉え方は違うなぁと。お師匠様の言われる「何か音楽が違うなぁ」と言う感想は実は最もなのですね。かつての東映時代劇映画等での音楽=作曲家起用等は現在とはかなり違っており出てきた音楽も異なりました。
しかし既に当時から「鐘ゃ太鼓、三味線に尺八」等の楽器がメインでフューチャーされていた形跡は無く既に根本は洋楽化されておりましたね。但し一番異なるのは「リズムとオーケストレーション」でした。必殺が放映開始されるずっと以前の「水戸黄門=木下忠司先生」の音楽BGM等は「まさに和洋折衷メロディーは極めて日本的ながらリズムや管弦楽法は洋楽そのもの」でしたから。この「必殺シリーズの音楽」は当初より首尾一貫「平尾昌晃氏の音楽が貫かれて」おり、昭和のグレートメロディメーカーの放った なんとも格好良いメロディーとサウンド 更に主にコンビ組んでいたアレンジャーの竜崎考路さんの素晴らしいアレンジ」により、「大江戸、水戸、更には渡辺兵夫節、山下毅雄節とも全然誓った、とにかくスマートスタイリッシュ、センスのきらりと光る全く独自の平尾必殺節」を創造されたのです。
途中一部「森田公一さんやアレンジャーが変わった事」もありましたが、基本は全て平尾節でしたね。
もしもほかの作曲家なら、もしかして此処まで印象的な音楽は創られなかった?と推測します。
何故ならこの必殺音楽成功のキーは「平尾昌晃氏が音大でのクラシック出身では無かった事」です。
よくよく平尾氏の必殺BGMを聴きますと、、、「何か全て歌が聞こえる? 」のです。お師匠様はどうお感じになられますか? 嗚呼っこれこそが平尾昌晃氏の必殺音楽の神髄であると感じました。 敬具
といいますのは、小生車の中で必殺のファンファーレ集を聞きながら走っていることが多いのですが、気が付くと、トランペットの節に勝手な歌詞をつけて歌っている自分に気が付くのです。このコメントを拝見し、「あ、それは私だけではなかったんだ」と安心した次第。このことをいずれブログで紹介しようか・・・なんて考えていたタイミングでのこのご意見、まさに必殺級の鋭さです。
ときに、この必殺や大江戸捜査網などのBGMは、まさに洋楽なのですが、なぜか我々の頭の中には時代劇的な空気を感じさせてくれるのはなぜ・・・と以前より考えておりました。大石様のような分析などできない小生ですが、なんとなくわかったような・・・
とはいえ大江戸捜査網(これも確か初期は捜査網を「アンタッチャブル」と読ませていたような)の殺陣のシーンのBGMはシンフォニックな感じなのに対し、必殺のそれはトランペットのファンファーレのおかげでドラマチックさが強調され、そしてその後のトランペットのメロディが演歌チックなものという、まさに平尾マジックなのかもしれませんね。
エンディングテーマといい、平尾マジックは永遠に・・・かもです。