気持ちがいい朝だ。
昨夜の居酒屋の気持ちが続いているのか、仲間と一緒に起きると言う朝は楽しい。
小学校の宿泊学習の気分・・・それに似た感じだろうか。
RZ氏は早々に宿を出て行った。
今日泊まる場所は京都だそうだ。
実は自分が今夜泊まる予定の、京都“輪嘶舎(りんせいしゃ)”を言う民宿。
ライダー専用の格安宿で、購読していた月刊誌“OUT RIDER”に出ていて気になっていた宿。
今日、明日と連泊するつもりだ。
昨夜居酒屋でその宿の話をしたら、面白そうとRZ氏が話に乗ってきたのだ。
ルートが違うようなので、また今夜と言う事で一度サヨナラをした。
ユースの前で写真を撮る。
高台にあるユースから見ると、最近CMで話題になっている倉敷市役所が見える。
“市役所に、こんな立派な建物が必要でしょうか?”
CMで名指しで批判されるのは可哀想だと思っていたが、実物を見ると・・・ラブホテルみたいだな・・・それが正直な感想だった。

<右がXT氏こと植山さん、左に見える白い建物が倉敷市役所(笑)>
倉敷の観光名所、美観地区を散策に向かう。
市内を流れる小川を囲むように、江戸時代のような街並みが続いている・・・。
この地区に入る前は、普通に都会の景色が続いていたのに、一歩入ると江戸時代。
この感覚のずれを楽しみつつ歩く。
しかしどこか作られた街を歩いている気分だ。
まるで映画のセットの中を歩いているよう。
XT・FZR両氏も同じ感想を持ったようだ。
長居は無用の感想で、3人は再びバイクのエンジンを掛け直した。

工事中の瀬戸大橋を見に行く事にする。
鷲羽山と言う場所に、橋が一望できる公園があると言うので目指してみた。
夏のような日差しの中、3台のバイクは走る。
荷物満載の俺達。
信号で止まっていると、注目されているのがわかる。
どう見えるのだろう?
旅人よと思うのか?それとも、汚い連中と思うのか?
本人達は心の中で誇らしげに思っているのだ。
俺達は馬の代わりにバイクを駆る騎馬民族だ。
気分だけは・・・。
瀬戸大橋に到着。
その大きさに本当に驚いた!
海の上に橋がかかってる・・・海上から橋までの高さも想像を絶している。
これどうやって作ったんだ!?
凄さと共に、不思議さばかりを感じてしまう。
感慨に浸りながら写真をパチリ。

岡山市内にお金を下ろしに行くと言うFZR氏とはここでお別れ。
FZR氏は明日の夜、京都の民宿“輪嘶舎”に泊まる。
今夜はRZ氏、明日の夜はFZR氏と同泊の予定となっている。
楽しい京都の夜になるかな。
XT氏・・・植山さんと2台で大阪方面に向けてバイクを走らせる。
地元で道が分かるよと言う植山さんに先導してもらい、車が多い国道を一路東へ。
大阪に入る前、神戸のスタンドで休憩を取る。
トイレから出てくると、植山さんがいない。
どこいったんだろうなと思っていると、自分を呼ぶ声が聞こえた。
声がする方に歩いていくと、植山さんは誰かと話をしている。
その隣には巨大な荷物を積む何か・・・リヤカーか?
何だこりゃ?
一緒に話を聞いて本当に驚いた。
この男性、2年前に北海道を出発、リヤカーに寝泊りしながら九州を目指す旅人だった。
旅立ってから2年!?
この荷物満載リヤカーを引っ張って歩くだって!?
桁外れな男がいたものだ。
植山さんと、“凄いのに会ったな”と呆然とバイクに戻る。
植山さんは、自宅を通り越して大阪城まで案内してくれた。
その心遣いが本当に嬉しかった。
時間は既に夕方。宿に入る時間を考えるとギリギリの観光となってしまったのが残念。
せっかく大阪に来たのだから、お好み焼きでも・・・と大阪城の公園に出ていた出店で買って食べてみるも、味はそれなり。
植山さんは、“これが大阪のお好み焼きと思わんでくれ”と何度も言っていた。

お別れの時が来た。
たった2日だったが、植山さんとは何か通じるものを感じていた。
旅へのスタンス、その行動力。
あこがれに近いものを自分は感じていたのかもしれない。
住所を交換しあい、京都までの道を再度教えてもらいお互い別の道を走り始めた。
植山さんは明石に戻る。
自分は通勤の車で混雑する京都への道へ。
軽く手を振り走り始めた。
京都までの道は大きな道だったが、本当に混雑が酷かった。
バイクですり抜けするのも気を使う程だ。
京都まで後何キロあるんだ?標識のキロ数はなかなか減ってはくれなかった。
京都に到着した時には既に夕闇に包まれていた。
中学生の修学旅行で来てはいたが、京都を実際にバイクで走るのは初めて。
地図で民宿の場所を確認して走り出すも、直ぐに道がわからなくなる。
民宿に近いのは分かってるのに・・・民宿が見つからないのだ。
一体何度同じ道を走ったのだろう。
唐突にライダー民宿“輪嘶舎”の看板が見えてきた。
本当にホッとしながら、エンジンを切る。
昔ながらの街並みの中、それに溶け込むように佇む“輪嘶舎”。
民宿と言うより普通の旧家だ。
エンジン音を聞いていたのだろう主人が、紹介も早々に家に導き入れてくれ、直ぐに風呂へ通された。
風呂で旅の汗を流し、居間に戻ると近くにあるお好み焼き屋を紹介してくれた。
この宿は食事が朝のみなので、夕飯は外で食べる必要がある。
RZ氏の姿が見えないと思っていたが、既に外食に向かってしまった後だったようだ。
近所のお好み焼き屋まで徒歩で5分程度だったろうか。
小さな店でお客は二人のみ。
紹介されてきたと言うと、お薦めの品を焼いてくれた。
表面がカリカリで中身は具沢山。
関東で食べるお好み焼きとは根本的なところが違う味。
ビール一杯で一体何枚食べた事だろうか。
幸せな気持ちで民宿に帰ると、RZ氏も帰ってきていた。
夜はコーヒーをいただきながら“輪嘶舎”主人山内さんのバイク話を聞く。
ライダー専用民宿を運営している事もあり、山内さんもライダーだった。
年齢は60を軽く越えているだろう。乗っているバイクは大型のスポーツバイクだった。
しかも山内さん、日本を飛び出しヨーロッパを舞台にツーリングをするライダー。
世界の話、京都の話。
大先輩ライダーの話す物語は、気持ちを海外へと連れて行ってくれる。
夜更けまで話を聞かせてもらい、勉強になったことも多かった。
仕事は何してるんだ?
山内さんの質問は胸に突き刺さった。
自分もRZ氏も現在無職だ。
“無職か・・・まあ、こんな世の中だ。仕事は大事だと思うけど、せっかくのチャンスだ。色々なものを見て、それでもう一度考えればいいよ。”
そう語る山内さんは建材を取り扱っている社長さんのようだ。
自宅にもカラフルなタイルが置いてあった。
まるで先輩の家に泊まりに来たようだ。
そんな感覚をもちつつ、ふかふかな羽毛布団に包まれる。
凄いオジサンだよな。
暗い天井を見上げつつ、RZ氏にそう声を掛けると、彼もクスッと笑った。
凄いや、オジサンライダー。
つづく・・・・。
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天気:晴れ時々曇り
時間:9:00~19:00
距離:289km
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昨夜の居酒屋の気持ちが続いているのか、仲間と一緒に起きると言う朝は楽しい。
小学校の宿泊学習の気分・・・それに似た感じだろうか。
RZ氏は早々に宿を出て行った。
今日泊まる場所は京都だそうだ。
実は自分が今夜泊まる予定の、京都“輪嘶舎(りんせいしゃ)”を言う民宿。
ライダー専用の格安宿で、購読していた月刊誌“OUT RIDER”に出ていて気になっていた宿。
今日、明日と連泊するつもりだ。
昨夜居酒屋でその宿の話をしたら、面白そうとRZ氏が話に乗ってきたのだ。
ルートが違うようなので、また今夜と言う事で一度サヨナラをした。
ユースの前で写真を撮る。
高台にあるユースから見ると、最近CMで話題になっている倉敷市役所が見える。
“市役所に、こんな立派な建物が必要でしょうか?”
CMで名指しで批判されるのは可哀想だと思っていたが、実物を見ると・・・ラブホテルみたいだな・・・それが正直な感想だった。

<右がXT氏こと植山さん、左に見える白い建物が倉敷市役所(笑)>
倉敷の観光名所、美観地区を散策に向かう。
市内を流れる小川を囲むように、江戸時代のような街並みが続いている・・・。
この地区に入る前は、普通に都会の景色が続いていたのに、一歩入ると江戸時代。
この感覚のずれを楽しみつつ歩く。
しかしどこか作られた街を歩いている気分だ。
まるで映画のセットの中を歩いているよう。
XT・FZR両氏も同じ感想を持ったようだ。
長居は無用の感想で、3人は再びバイクのエンジンを掛け直した。

工事中の瀬戸大橋を見に行く事にする。
鷲羽山と言う場所に、橋が一望できる公園があると言うので目指してみた。
夏のような日差しの中、3台のバイクは走る。
荷物満載の俺達。
信号で止まっていると、注目されているのがわかる。
どう見えるのだろう?
旅人よと思うのか?それとも、汚い連中と思うのか?
本人達は心の中で誇らしげに思っているのだ。
俺達は馬の代わりにバイクを駆る騎馬民族だ。
気分だけは・・・。
瀬戸大橋に到着。
その大きさに本当に驚いた!
海の上に橋がかかってる・・・海上から橋までの高さも想像を絶している。
これどうやって作ったんだ!?
凄さと共に、不思議さばかりを感じてしまう。
感慨に浸りながら写真をパチリ。

岡山市内にお金を下ろしに行くと言うFZR氏とはここでお別れ。
FZR氏は明日の夜、京都の民宿“輪嘶舎”に泊まる。
今夜はRZ氏、明日の夜はFZR氏と同泊の予定となっている。
楽しい京都の夜になるかな。
XT氏・・・植山さんと2台で大阪方面に向けてバイクを走らせる。
地元で道が分かるよと言う植山さんに先導してもらい、車が多い国道を一路東へ。
大阪に入る前、神戸のスタンドで休憩を取る。
トイレから出てくると、植山さんがいない。
どこいったんだろうなと思っていると、自分を呼ぶ声が聞こえた。
声がする方に歩いていくと、植山さんは誰かと話をしている。
その隣には巨大な荷物を積む何か・・・リヤカーか?
何だこりゃ?
一緒に話を聞いて本当に驚いた。
この男性、2年前に北海道を出発、リヤカーに寝泊りしながら九州を目指す旅人だった。
旅立ってから2年!?
この荷物満載リヤカーを引っ張って歩くだって!?
桁外れな男がいたものだ。
植山さんと、“凄いのに会ったな”と呆然とバイクに戻る。
植山さんは、自宅を通り越して大阪城まで案内してくれた。
その心遣いが本当に嬉しかった。
時間は既に夕方。宿に入る時間を考えるとギリギリの観光となってしまったのが残念。
せっかく大阪に来たのだから、お好み焼きでも・・・と大阪城の公園に出ていた出店で買って食べてみるも、味はそれなり。
植山さんは、“これが大阪のお好み焼きと思わんでくれ”と何度も言っていた。

お別れの時が来た。
たった2日だったが、植山さんとは何か通じるものを感じていた。
旅へのスタンス、その行動力。
あこがれに近いものを自分は感じていたのかもしれない。
住所を交換しあい、京都までの道を再度教えてもらいお互い別の道を走り始めた。
植山さんは明石に戻る。
自分は通勤の車で混雑する京都への道へ。
軽く手を振り走り始めた。
京都までの道は大きな道だったが、本当に混雑が酷かった。
バイクですり抜けするのも気を使う程だ。
京都まで後何キロあるんだ?標識のキロ数はなかなか減ってはくれなかった。
京都に到着した時には既に夕闇に包まれていた。
中学生の修学旅行で来てはいたが、京都を実際にバイクで走るのは初めて。
地図で民宿の場所を確認して走り出すも、直ぐに道がわからなくなる。
民宿に近いのは分かってるのに・・・民宿が見つからないのだ。
一体何度同じ道を走ったのだろう。
唐突にライダー民宿“輪嘶舎”の看板が見えてきた。
本当にホッとしながら、エンジンを切る。
昔ながらの街並みの中、それに溶け込むように佇む“輪嘶舎”。
民宿と言うより普通の旧家だ。
エンジン音を聞いていたのだろう主人が、紹介も早々に家に導き入れてくれ、直ぐに風呂へ通された。
風呂で旅の汗を流し、居間に戻ると近くにあるお好み焼き屋を紹介してくれた。
この宿は食事が朝のみなので、夕飯は外で食べる必要がある。
RZ氏の姿が見えないと思っていたが、既に外食に向かってしまった後だったようだ。
近所のお好み焼き屋まで徒歩で5分程度だったろうか。
小さな店でお客は二人のみ。
紹介されてきたと言うと、お薦めの品を焼いてくれた。
表面がカリカリで中身は具沢山。
関東で食べるお好み焼きとは根本的なところが違う味。
ビール一杯で一体何枚食べた事だろうか。
幸せな気持ちで民宿に帰ると、RZ氏も帰ってきていた。
夜はコーヒーをいただきながら“輪嘶舎”主人山内さんのバイク話を聞く。
ライダー専用民宿を運営している事もあり、山内さんもライダーだった。
年齢は60を軽く越えているだろう。乗っているバイクは大型のスポーツバイクだった。
しかも山内さん、日本を飛び出しヨーロッパを舞台にツーリングをするライダー。
世界の話、京都の話。
大先輩ライダーの話す物語は、気持ちを海外へと連れて行ってくれる。
夜更けまで話を聞かせてもらい、勉強になったことも多かった。
仕事は何してるんだ?
山内さんの質問は胸に突き刺さった。
自分もRZ氏も現在無職だ。
“無職か・・・まあ、こんな世の中だ。仕事は大事だと思うけど、せっかくのチャンスだ。色々なものを見て、それでもう一度考えればいいよ。”
そう語る山内さんは建材を取り扱っている社長さんのようだ。
自宅にもカラフルなタイルが置いてあった。
まるで先輩の家に泊まりに来たようだ。
そんな感覚をもちつつ、ふかふかな羽毛布団に包まれる。
凄いオジサンだよな。
暗い天井を見上げつつ、RZ氏にそう声を掛けると、彼もクスッと笑った。
凄いや、オジサンライダー。
つづく・・・・。
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天気:晴れ時々曇り
時間:9:00~19:00
距離:289km
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